毎日新聞は本当に面白い記事が多いです。
時には記者同士で対立する意見を普通に載せていたりしており、
自由闊達な社風が窺えて興味深いところ。
今日は、職場に漂う閉塞感を伝えるこの報道を。
「最近、若手の質が下がった」との言い訳がましい言説が多いですが、
果たしてそれは正しいのか検証する必要があります。
日本経済のマクロの動向を見る限り、上層や中堅に責任のない筈がありません。
このままでは危ない! 日本の会社組織「パラサイトミドルの憂愁」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080529dde012040005000c.html
” 5年間の滞米生活を終え、日本に帰国して驚いた。みんななんか疲れてい
る。通勤電車で小耳に挟む乗客の会話が暗い。苦い酒を飲んだのか、怒り
ながらぶつぶつ独りごちる酔客も。日本人よ、どうしたの。
◇ 超能天気、バブル世代=「なんかぬるい」
「日本の会社組織は機能不全を起こしている」と警告するのが、ジャーナ
リストで「パラサイト・ミドルの衝撃」(NTT出版)の著者、三神万里
子さん。
2010年時点で全人口を一列に並べると、ちょうど真ん中になる中位年
齢は、日本45歳、米国36歳、世界全体29歳。2030年には日本は
53歳となり、米国39歳、世界34歳とさらに差が開く。
80年代に55歳だった定年はいま60歳、すぐ65歳になり、将来は撤
廃されるかもしれない。部長や課長につく年齢はどんどん上がっていく。
まるで蜃気楼(しんきろう)、砂漠の逃げ水のようではないか。そうなる
と社員はどうなるか。
「鈍化していきます。特に現場から離れて本社で働くようになると、危機
感も一日の重みも減っていく。そのうち自分が知らないことは価値がない
と思うようになる」と三神さん。
45歳。転職も頭をかすめるが業界全体が見えるほどの経験を積んでいな
い。子どもの教育費、親の介護、自分の健康も怪しくなってきた--。い
ろいろ考えると、定年まで今の組織にしがみつくしかないと腹を決める。
こうして会社に寄生する中間管理職「パラサイト・ミドル」ができあがる
のだ。
★ロス・ジェネ、怒る
働き盛りの女性社員と夜の銀座に飲みに出た。酒の力を借りて、上司への
憤まんをぶちまけてもらうためだ。
マスコミ業界の村田美香さん(30)=仮名=は43歳の上司が悩みの種
だ。手柄は自分のものにし、失敗は部下の責任にするタイプ。年功序列を
信じていて、50歳になったらそれなりの給与と待遇をもらって当然と思
っている。でも、彼らの給与を稼ぎ出すのは自分ら若手だ。30代の同僚
は仕事ができるゆえに顧客を抱え過ぎ、うつ病になってしまった。
エンターテインメント業界の田中久美子さん(30)=同=の上司は50
代半ば。「だと思うよ」が口癖だ。めんどくさいのか、上に迷惑がかかる
と思うのか、正しい決断を下すのに必要な詰めをせず、大ざっぱな判断や
カンで片づける。その上司に「上がOK、といっているからOK」などと
言われると「状況が分かってないから、その判断なんですね」と叫びたく
なると言う。 コスト感覚ゼロの上司(45)も問題。好きな仕事をする
ことが存在意義。アーティストばりにこだわり、高い機材を使い何十時間
もかけ仕事をする。「短時間で終えパフォーマンスを上げてほしいのに立
場を考えていない。趣味やるなら脱サラしてからやって」
メーカー勤務の小島美紀さん(34)=同=の上司(46)は明るく乗り
がよい。外回りは若手に任せ、自分は情報収集と称して雑誌に読みふける。
飲み会の企画はうまい。不倫にうつつを抜かす40代半ばの上司は、会社
用に加え、プライベート用の携帯電話を手放さない。こんな上司たちに、
「忙しいときほど、少しは遊ばないとだめだよ」と言われると、腹が立つ。
「働くか、責任とるか、どっちかやってくれれば信頼できるのに」
彼女たちは口をそろえる。「バブル世代は超能天気。なんかぬるい」。実
は私もバブル世代。ああ、耳が痛いです。〔以下略〕”
ちょうどその通りの人を知っているので、
思わず爆笑してしまいました。
「大企業病」との言葉がありますが、もしかすると
日本の企業社会自体が「大企業病」なのかもしれません。
私の知っている優秀な人は、企業の枠内から外に出ています。
若しくは組織の屋台骨を支えているかの、どちらかです。
この件に関しましても、「腐敗した組織にとどまってはならない」
との一般原則が成り立つのではないでしょうか。
▽ タイトル、かぶっていますよね。
… フォローとして、「世代論の陥穽」も記しておきます。
世代ごとに特徴を分けて理解するのは簡便な手法ですが、
同時に、余りにも安易に過ぎる道でもあります。
力のある人材は「世代論」をぶち破ります。
その枠内にとどまることはできません。
「とどまることがない」のではなく「できない」のです。
(例えば、小泉元首相を世代論で語れるでしょうか)
出世したり、本が売れたり、名前が売れたりすることはあります。
それ自体はいつの時代もよくあることです。
しかしそれ以外に、時代を創る人々が確かにいます。
真の意味で多くの人々を勇気づけ、立ち上がらせる人々。
「この人がいなければ、このような社会にならなかっただろう」
「この人がいたからこそ、現在の我々がある」と言われる人々。
本物の人材と偽物の人材の違いは明白です。
偽物は自分で宣伝します。他人が信用してくれないからです。
(ひどい場合は、自分で「本物」だと言い始めます)
本物は自分がやりたいことをただひたすら実行しているだけです。
他人が勝手に宣伝してくれます。やめてくれと言っても宣伝します。
世代論は総じてこうした人々の姿を捉えません。
ただ、不満の矛先を提供するだけであり、
それが世代論の最大の欠点です。
時には記者同士で対立する意見を普通に載せていたりしており、
自由闊達な社風が窺えて興味深いところ。
今日は、職場に漂う閉塞感を伝えるこの報道を。
「最近、若手の質が下がった」との言い訳がましい言説が多いですが、
果たしてそれは正しいのか検証する必要があります。
日本経済のマクロの動向を見る限り、上層や中堅に責任のない筈がありません。
このままでは危ない! 日本の会社組織「パラサイトミドルの憂愁」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080529dde012040005000c.html
” 5年間の滞米生活を終え、日本に帰国して驚いた。みんななんか疲れてい
る。通勤電車で小耳に挟む乗客の会話が暗い。苦い酒を飲んだのか、怒り
ながらぶつぶつ独りごちる酔客も。日本人よ、どうしたの。
◇ 超能天気、バブル世代=「なんかぬるい」
「日本の会社組織は機能不全を起こしている」と警告するのが、ジャーナ
リストで「パラサイト・ミドルの衝撃」(NTT出版)の著者、三神万里
子さん。
2010年時点で全人口を一列に並べると、ちょうど真ん中になる中位年
齢は、日本45歳、米国36歳、世界全体29歳。2030年には日本は
53歳となり、米国39歳、世界34歳とさらに差が開く。
80年代に55歳だった定年はいま60歳、すぐ65歳になり、将来は撤
廃されるかもしれない。部長や課長につく年齢はどんどん上がっていく。
まるで蜃気楼(しんきろう)、砂漠の逃げ水のようではないか。そうなる
と社員はどうなるか。
「鈍化していきます。特に現場から離れて本社で働くようになると、危機
感も一日の重みも減っていく。そのうち自分が知らないことは価値がない
と思うようになる」と三神さん。
45歳。転職も頭をかすめるが業界全体が見えるほどの経験を積んでいな
い。子どもの教育費、親の介護、自分の健康も怪しくなってきた--。い
ろいろ考えると、定年まで今の組織にしがみつくしかないと腹を決める。
こうして会社に寄生する中間管理職「パラサイト・ミドル」ができあがる
のだ。
★ロス・ジェネ、怒る
働き盛りの女性社員と夜の銀座に飲みに出た。酒の力を借りて、上司への
憤まんをぶちまけてもらうためだ。
マスコミ業界の村田美香さん(30)=仮名=は43歳の上司が悩みの種
だ。手柄は自分のものにし、失敗は部下の責任にするタイプ。年功序列を
信じていて、50歳になったらそれなりの給与と待遇をもらって当然と思
っている。でも、彼らの給与を稼ぎ出すのは自分ら若手だ。30代の同僚
は仕事ができるゆえに顧客を抱え過ぎ、うつ病になってしまった。
エンターテインメント業界の田中久美子さん(30)=同=の上司は50
代半ば。「だと思うよ」が口癖だ。めんどくさいのか、上に迷惑がかかる
と思うのか、正しい決断を下すのに必要な詰めをせず、大ざっぱな判断や
カンで片づける。その上司に「上がOK、といっているからOK」などと
言われると「状況が分かってないから、その判断なんですね」と叫びたく
なると言う。 コスト感覚ゼロの上司(45)も問題。好きな仕事をする
ことが存在意義。アーティストばりにこだわり、高い機材を使い何十時間
もかけ仕事をする。「短時間で終えパフォーマンスを上げてほしいのに立
場を考えていない。趣味やるなら脱サラしてからやって」
メーカー勤務の小島美紀さん(34)=同=の上司(46)は明るく乗り
がよい。外回りは若手に任せ、自分は情報収集と称して雑誌に読みふける。
飲み会の企画はうまい。不倫にうつつを抜かす40代半ばの上司は、会社
用に加え、プライベート用の携帯電話を手放さない。こんな上司たちに、
「忙しいときほど、少しは遊ばないとだめだよ」と言われると、腹が立つ。
「働くか、責任とるか、どっちかやってくれれば信頼できるのに」
彼女たちは口をそろえる。「バブル世代は超能天気。なんかぬるい」。実
は私もバブル世代。ああ、耳が痛いです。〔以下略〕”
ちょうどその通りの人を知っているので、
思わず爆笑してしまいました。
「大企業病」との言葉がありますが、もしかすると
日本の企業社会自体が「大企業病」なのかもしれません。
私の知っている優秀な人は、企業の枠内から外に出ています。
若しくは組織の屋台骨を支えているかの、どちらかです。
この件に関しましても、「腐敗した組織にとどまってはならない」
との一般原則が成り立つのではないでしょうか。
『パラサイト・ミドルの衝撃 サラリーマン― 45歳の憂鬱』(三神万里子,NTT出版) |
▽ タイトル、かぶっていますよね。
… フォローとして、「世代論の陥穽」も記しておきます。
世代ごとに特徴を分けて理解するのは簡便な手法ですが、
同時に、余りにも安易に過ぎる道でもあります。
力のある人材は「世代論」をぶち破ります。
その枠内にとどまることはできません。
「とどまることがない」のではなく「できない」のです。
(例えば、小泉元首相を世代論で語れるでしょうか)
出世したり、本が売れたり、名前が売れたりすることはあります。
それ自体はいつの時代もよくあることです。
しかしそれ以外に、時代を創る人々が確かにいます。
真の意味で多くの人々を勇気づけ、立ち上がらせる人々。
「この人がいなければ、このような社会にならなかっただろう」
「この人がいたからこそ、現在の我々がある」と言われる人々。
本物の人材と偽物の人材の違いは明白です。
偽物は自分で宣伝します。他人が信用してくれないからです。
(ひどい場合は、自分で「本物」だと言い始めます)
本物は自分がやりたいことをただひたすら実行しているだけです。
他人が勝手に宣伝してくれます。やめてくれと言っても宣伝します。
世代論は総じてこうした人々の姿を捉えません。
ただ、不満の矛先を提供するだけであり、
それが世代論の最大の欠点です。