みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

日本の会社を蝕むパラサイト・ミドル?! -「熱血漢を冷笑、若手の激務は無視、人事にしか興味がない」

2008-06-06 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
毎日新聞は本当に面白い記事が多いです。
時には記者同士で対立する意見を普通に載せていたりしており、
自由闊達な社風が窺えて興味深いところ。

今日は、職場に漂う閉塞感を伝えるこの報道を。
「最近、若手の質が下がった」との言い訳がましい言説が多いですが、
果たしてそれは正しいのか検証する必要があります。
日本経済のマクロの動向を見る限り、上層や中堅に責任のない筈がありません。

このままでは危ない! 日本の会社組織「パラサイトミドルの憂愁」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080529dde012040005000c.html

” 5年間の滞米生活を終え、日本に帰国して驚いた。みんななんか疲れてい
 る。通勤電車で小耳に挟む乗客の会話が暗い。苦い酒を飲んだのか、怒り
 ながらぶつぶつ独りごちる酔客も。日本人よ、どうしたの。
  ◇ 超能天気、バブル世代=「なんかぬるい」
 「日本の会社組織は機能不全を起こしている」と警告するのが、ジャーナ
 リストで「パラサイト・ミドルの衝撃」(NTT出版)の著者、三神万里
 子さん。
 2010年時点で全人口を一列に並べると、ちょうど真ん中になる中位年
 齢は、日本45歳、米国36歳、世界全体29歳。2030年には日本は
 53歳となり、米国39歳、世界34歳とさらに差が開く。
 80年代に55歳だった定年はいま60歳、すぐ65歳になり、将来は撤
 廃されるかもしれない。部長や課長につく年齢はどんどん上がっていく。
 まるで蜃気楼(しんきろう)、砂漠の逃げ水のようではないか。そうなる
 と社員はどうなるか。
 「鈍化していきます。特に現場から離れて本社で働くようになると、危機
 感も一日の重みも減っていく。そのうち自分が知らないことは価値がない
 と思うようになる」と三神さん。
 45歳。転職も頭をかすめるが業界全体が見えるほどの経験を積んでいな
 い。子どもの教育費、親の介護、自分の健康も怪しくなってきた--。い
 ろいろ考えると、定年まで今の組織にしがみつくしかないと腹を決める。
 こうして会社に寄生する中間管理職「パラサイト・ミドル」ができあがる
 のだ。
  ★ロス・ジェネ、怒る
 働き盛りの女性社員と夜の銀座に飲みに出た。酒の力を借りて、上司への
 憤まんをぶちまけてもらうためだ。
 マスコミ業界の村田美香さん(30)=仮名=は43歳の上司が悩みの種
 だ。手柄は自分のものにし、失敗は部下の責任にするタイプ。年功序列を
 信じていて、50歳になったらそれなりの給与と待遇をもらって当然と思
 っている。でも、彼らの給与を稼ぎ出すのは自分ら若手だ。30代の同僚
 は仕事ができるゆえに顧客を抱え過ぎ、うつ病になってしまった。
 エンターテインメント業界の田中久美子さん(30)=同=の上司は50
 代半ば。「だと思うよ」が口癖だ。めんどくさいのか、上に迷惑がかかる
 と思うのか、正しい決断を下すのに必要な詰めをせず、大ざっぱな判断や
 カンで片づける。その上司に「上がOK、といっているからOK」などと
 言われると「状況が分かってないから、その判断なんですね」と叫びたく
 なると言う。 コスト感覚ゼロの上司(45)も問題。好きな仕事をする
 ことが存在意義。アーティストばりにこだわり、高い機材を使い何十時間
 もかけ仕事をする。「短時間で終えパフォーマンスを上げてほしいのに立
 場を考えていない。趣味やるなら脱サラしてからやって」
 メーカー勤務の小島美紀さん(34)=同=の上司(46)は明るく乗り
 がよい。外回りは若手に任せ、自分は情報収集と称して雑誌に読みふける。
 飲み会の企画はうまい。不倫にうつつを抜かす40代半ばの上司は、会社
 用に加え、プライベート用の携帯電話を手放さない。こんな上司たちに、
 「忙しいときほど、少しは遊ばないとだめだよ」と言われると、腹が立つ。
 「働くか、責任とるか、どっちかやってくれれば信頼できるのに」
 彼女たちは口をそろえる。「バブル世代は超能天気。なんかぬるい」。実
 は私もバブル世代。ああ、耳が痛いです。〔以下略〕”

ちょうどその通りの人を知っているので、
思わず爆笑してしまいました。

「大企業病」との言葉がありますが、もしかすると
日本の企業社会自体が「大企業病」なのかもしれません。

私の知っている優秀な人は、企業の枠内から外に出ています。
若しくは組織の屋台骨を支えているかの、どちらかです。
この件に関しましても、「腐敗した組織にとどまってはならない」
との一般原則が成り立つのではないでしょうか。




『パラサイト・ミドルの衝撃 サラリーマン― 45歳の憂鬱』(三神万里子,NTT出版)

▽ タイトル、かぶっていますよね。






… フォローとして、「世代論の陥穽」も記しておきます。

世代ごとに特徴を分けて理解するのは簡便な手法ですが、
同時に、余りにも安易に過ぎる道でもあります。

力のある人材は「世代論」をぶち破ります。
その枠内にとどまることはできません。
「とどまることがない」のではなく「できない」のです。

(例えば、小泉元首相を世代論で語れるでしょうか)

出世したり、本が売れたり、名前が売れたりすることはあります。
それ自体はいつの時代もよくあることです。

しかしそれ以外に、時代を創る人々が確かにいます。
真の意味で多くの人々を勇気づけ、立ち上がらせる人々。
「この人がいなければ、このような社会にならなかっただろう」
「この人がいたからこそ、現在の我々がある」と言われる人々。

本物の人材と偽物の人材の違いは明白です。
偽物は自分で宣伝します。他人が信用してくれないからです。
(ひどい場合は、自分で「本物」だと言い始めます)
本物は自分がやりたいことをただひたすら実行しているだけです。
他人が勝手に宣伝してくれます。やめてくれと言っても宣伝します。

世代論は総じてこうした人々の姿を捉えません。
ただ、不満の矛先を提供するだけであり、
それが世代論の最大の欠点です。

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