みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

政府も無制限に補助金を出せるわけではない - 穀物高騰で最も苦しむ国は、この日本

2008-06-13 | いとすぎから見るこの社会-全般
何かあるとすぐ責任者を袋だたきにする一方で、
「政府が何とかしてくれる」という
矛盾した意識を強く抱いている日本人。
(余りにもその意識が強過ぎて、自覚できないほどです)

… 遂に、責任転嫁ができない問題に直面しました。
正確に言えば、既に直面していたのに目を背けていたのです。

商品高に対してどう対処すべきか、
我々国民一人一人が考え抜かなければなりません。

飼料高騰:政府・自民、畜産酪農家支援 総額738億円決定(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/food/news/20080612dde007020061000c.html

” 政府・自民党は12日、飼料価格の高騰に悩む畜産・酪農業を支援するた
 め、総額738億円の緊急追加対策をまとめた。加工用牛乳(バターや脱
 脂粉乳の原料)の生産者に支給する補給金の単価を1キロあたり30銭引
 き上げ、11円85銭とするほか、肉牛農家や養豚、養鶏業者に対する各
 種対策を拡充・新設する。
 政府は今年度の畜産・酪農対策費を前年度比5割増の1871億円とした
 ばかりだが、飼料高騰に歯止めがかからないため、異例の追加策を講じる。
 肉牛については、子牛の保証価格(取引価格が下回った場合、差額分を補
 償)を、乳用種で1頭あたり3000円引き上げ、11万6000円など
 とする。
 このほか、乳牛、肉牛、養豚農家に対する各種助成を増額・新設する。養
 鶏業者に対しては、鶏卵価格安定制度(取引価格が基準価格を下回った場
 合、差額の9割を補償)の基準価格を1キロあたり6円引き上げ、191
 円とする。”

 → 畜産業者はより一層苦しむようになるでしょう。
   それを買う消費者も同様です。
   新興国が輸入穀物と食肉の消費を急激に増やしており、
   「海外産の穀物を安く買えた時代」は
   しばらく戻ってこないでしょう。
   或いは、数十年というスパンで続くかもしれません。

   世界経済が急激に落ち込めば話は別ですが、
   それはそれで日本経済に大打撃を与えます。

経済最前線:養鶏業者、破綻急増 飼料価格高騰が直撃(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/food/news/20080612ddm008020114000c.html

” 養鶏業者の破綻が昨年以降、急増している。穀物価格の高騰で飼料コスト
 が膨らむ一方、鶏卵価格への転嫁が進まないためだ。東京商工リサーチに
 よると、昨年1年間に倒産した養鶏業者は前年を10件上回る17件、負
 債額は1.6倍の計約110億円に上り、統計のある89年以降件数で2番
 目、負債額で最高になった。今年も4月までに3件倒産し、負債額は計約
 43億円に達した。業界では「日本の養鶏業は崩壊する」との声も出てい
 る。
  ● 値引き迫られ
 遠州灘を望む静岡県掛川市の高台。山を切り開いた約60ヘクタールの敷
 地に、鶏舎と卵のパック詰め工場が並ぶ。約70万羽を飼う遠州エッグの
 養鶏場だ。窓なし鶏舎にケージを10段も重ねる飼い方が珍しくないが、
 開放型鶏舎に2段だけ。鶏の健康重視のためだが、売値への反映は難しく、
 昨夏ごろには当時の採算ライン(1キロ=150円前後)より40円の値
 引きを迫られた。
 一方、飼料代は1年で1トン当たり1万円も高騰。年商数十億円の県内最
 大手で、当時販売会社と生産会社に分かれていたが、昨年6月、計約90
 億円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
 今年1月、再生手続きの認可を受け再出発。生産体制を半分にして飼料調
 達先を見直し、販路拡大に力を注いだ。5月、商社系飼料会社と鶏卵販売
 会社幹部ら3人が遠州エッグを訪れた。赤堀芳典社長(47)は、のびの
 び育つ鶏を見せた後、事務所で卵を割った。厚みのある卵黄と張りのある
 卵白。販売会社幹部が「いいですね。鮮度も長持ちしそうだ」とうなずい
 た。
 〔中略〕
 岐阜養鶏農業協同組合の種鶏(しゅけい)舎(岐阜県可児市)。採卵用鶏
 の親「種鶏」が、コメをもみ殻ごと混ぜた飼料で育てられている。同農協
 は昨年11月、地元産米で鶏を育てる県の実験に参加。飼料用稲は、岐阜
 県養老町の農家が生産した。稲わらを発酵させ牛に、コメ約188トンは
 鶏に与え、鶏飼料に通常含まれているトウモロコシ約60%を50%に引
 き下げた。国が稲の生産者に支給する1トン当たり6万2000円の助成
 金がなければ引き合わない
が、後藤徳彦専務理事は「普通の餌で育てた鶏
 と変わりない。低コストの稲も研究されている。輸入頼みでない養鶏の第
 一歩」と語る。
 牧草や稲わらも食べる牛と違い、鶏はトウモロコシなど輸入穀物への依存度が
 高く、生産費に占める飼料代の比率も牛の40%程度に対し約65%と大きい。
 農水省によると、採卵用鶏向け配合飼料の小売価格は今年4月時点で前年より
 約1万1250円高い1トン=7万6330円。一方、「客が卵に求めるのは
 安さ。1キロ200円を超える価格には抵抗が強い」(中堅スーパー)ため価
 格転嫁は難しい。
  ● 計画生産廃止
 地域ごとに生産量を国主導で割り当てる「計画生産」が、04年に廃止された
 ことも響いた。自由化で、大消費地の首都圏に大手業者が続々と参入し、競争
 が激しくなった。05年は鳥インフルエンザ騒動で生産が減り、東京市場で1
 キロ=200円前後まで上がったが、その後急落。07年7月には145円ま
 で下がった。2月以降は180~190円台に回復しているが、卵の消費が減
 る夏場には再び下がるとみられている。
  ● 基金も枯渇し
 日本鶏卵生産者協会の菊地実常務理事は「昨年から倒産や廃業の話を頻繁に聞
 くようになった」と指摘。畜産業者に飼料の値上がり分の一部を補填する「配
 合飼料価格安定基金」も枯渇しつつあり
、全国農業協同組合連合会(全農)の
 鶏卵部門を担当する「全農たまご」の河上雄二鶏卵課長は「この状況が続けば
 大手、中小を問わず経営は成り立たなくなる」と危機感を募らせる。”

毎日新聞の力の入った記事です。
コメを混ぜた飼料で育てている鶏の話も出ており、
消費者の値段へのこだわりの強さも分かります。

残念ですが今後、鶏卵業者は次々に淘汰されてゆくでしょう。
それとともに鶏卵価格はじりじり上昇します。
差別化に成功し国産飼料をうまく利用している
ごく一部の高価格帯の鶏卵生産業者は生き残れますが ……
(穀物高騰へのコスト抵抗力が強いからです)

もしそれを防ぎたければ、予算(=税金)投入しかありません。
鶏卵価格が下がらないのに、国民がそれに同意するでしょうか。


政府も永遠に補助金を出すことはできず、
穀物高が続けば更に養鶏業者が苦しむことになり、
消費者も安い卵を買うことができなくなります。

かつて日本が貧しかったとき、鶏卵は「病人の滋養食」でした。
穀物高が続けば、鶏卵が贅沢品に戻る日が必ず来ます。

このままでは低所得者は得体の知れない外国産の液卵を買い、
或いは牛乳(穀物依存度が低め)と芋類の摂取を
増やさざるを得ない、そのような状況に陥ります。

    ◇      ◇     ◇     ◇

私は年頭に「貧しくなる日本」の話をしました。

かなり前から予想されていたこと、ただそれだけです。




『食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日』(柴田明夫,日本経済新聞出版社)





『大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代』(日本経済新聞社)

それが嫌であれば商品高へのヘッジ、
即ち海外投資・外貨投資しかありえません。

現在、穀物を輸出する先進国の為替レートは次の通り。

 米 → およそ108米ドル/円
 加 → およそ105加ドル/円
 豪 → およそ101豪ドル/円

例えば今年1月にFXで2倍程度の低リスク投資をしておけば
米ドルは金利差益分がプラスになっていますし(+8%ほど)、
加ドルはタイミングにもよりますが±0~8%ほど、
豪ドルに至っては5豪ドル/円も上昇しているので+25%。

(注:今後はどうなるか誰にも分かりません。各自で御判断下さい)

生産者であっても、消費者であっても、
原料高・物価高のヘッジをせざるを得なくなるのではないでしょうか。

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