日本版SWFの話がややずれてきました。
外為特会の運用益でSWFを設立する案は棚上げのようです。
いずれにせよ私が以前「日本の年金運用の国内偏重は合理的なのか」
というエントリーで取り上げたように、年金運用体制及びGPIFの
見直し・改編は必至であると思われます。
公的年金運用で日本版SWF設立を提言へ=自民PT(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200806190075.html
” 自民党の国家戦略本部(本部長:福田康夫首相・党総裁)の「SWF検討
プロジェクトチーム」(座長:山本有二前金融担当相)は19日午前、7
月初めにも福田首相に提出する中間報告のとりまとめに向けて詰めの議論
を行った。
中間報告では、日本版政府系ファンド(SWF)の原資として公的年金を
筆頭に、政府系金融機関・経済産業省ファンド、外国為替特別会計を挙げ、
年金を含めた財政への貢献や金融市場のグローバル化の起爆剤に位置づけ
る方針。このうち外為特会については、為替市場への影響も考慮して中長
期的課題にとどめる。
会合では、事務局が提示した案に沿って議論が行われた。案ではSWFの
原資として筆頭に公的年金を挙げ、現状の年金運用について、7割程度を
利回りの低い日本国債など国内債券で運用している中で、運用目標である
3.2%の収益を達成するには国内債券以外の部分で高いリスクをとる必要
があるとし、「現状の方が高リスク運用」と指摘。また、運用実績を改善
させることで、年金給付額の引き上げにも寄与するとしている。
一方、ポートフォリオで7割近くを占めている日本国債運用を減少させる
ことの影響も「しっかり認識しなければならない」とし、まず第一段階で
残りの3割程度の運用改善を手掛け、運用実績や国の財政状況をにらみな
がら第二段階としてポートフォリオ全体の見直しに着手。第三段階で、世
界一の運用実績をめざすと段階的に積極化させていく姿を描いている。
この点について出席した議員から「ポートフォリオを変えないで実績をあ
げることは、逆に手足を縛ることになる。プロの人材を積極的に採用する
のであれば、ポートフォリオを含めてプロに任せるべき」と当初段階から
ポートフォリオ全体のあり方を含めて運用改善を図るべきとの指摘があっ
た。〔以下略〕”
「現状の方が高リスク」よりも「現状では国力低下は必至」と言った方が
正しいでしょうし、ポートフォリオを変えずに運用を改善できるかは
甚だ疑問ですが、この論議自体は非常に重要です。
多くの誤解があるような気がするのですが、
GPIFは既にしてSWF、即ち「政府系ファンド」そのものです。
「ノルウェー年金基金」と何が違うのでしょう。
日本には膨大な石油資源はありませんが、
原資としての巨額の金融資産はあります。
この金融資産を活かせずに目先の配分ばかりに血眼になっていれば、
「オランダ病」ならぬ「日本病」と呼ばれるようになるでしょう。
(有り余る金融資産を活用できずに少子高齢化で衰退する、という症状)
ところで運用比率における日本国債ですが、
少なくとも6割、できれば5割にまで落とす必要があると考えます。
代わりに増やさなければならないのは外国債と外国株式、
もしくは日本のグローバル輸出企業の株式です。
私が以前書いたように、公的年金運用をリスク別に数タイプに分け、
(「日本国債重視」「日本株式重視」「海外債券・株式重視」等)
それぞれのリスク・リターンの相関を明示して
国民に選択させるという案も面白いと思いますが。
カナダ中央銀行のカーニー総裁は今週、
「我々のライフタイムで最大の商品価格ショック」
との極めて的確に事態を見通した言葉を発しております。
…… これほど切れ味鋭い分析が日銀からも出て欲しいもの。
今のうちに資産の海外シフトを進めておかなければ
後で日本社会が悲惨な状態に陥るのは必至です。
悲鳴をあげて政府の補助金を求める業界が急増していますから。
今年初めから何度も書いているように、商品高は我々を貧しくします。
エネルギー・穀物をはじめとする商品高をヘッジできるかどうか、
それだけの金融知識と運用能力があるかどうかが、
今後の日本社会の命運を左右します。
外為特会の運用益でSWFを設立する案は棚上げのようです。
いずれにせよ私が以前「日本の年金運用の国内偏重は合理的なのか」
というエントリーで取り上げたように、年金運用体制及びGPIFの
見直し・改編は必至であると思われます。
公的年金運用で日本版SWF設立を提言へ=自民PT(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200806190075.html
” 自民党の国家戦略本部(本部長:福田康夫首相・党総裁)の「SWF検討
プロジェクトチーム」(座長:山本有二前金融担当相)は19日午前、7
月初めにも福田首相に提出する中間報告のとりまとめに向けて詰めの議論
を行った。
中間報告では、日本版政府系ファンド(SWF)の原資として公的年金を
筆頭に、政府系金融機関・経済産業省ファンド、外国為替特別会計を挙げ、
年金を含めた財政への貢献や金融市場のグローバル化の起爆剤に位置づけ
る方針。このうち外為特会については、為替市場への影響も考慮して中長
期的課題にとどめる。
会合では、事務局が提示した案に沿って議論が行われた。案ではSWFの
原資として筆頭に公的年金を挙げ、現状の年金運用について、7割程度を
利回りの低い日本国債など国内債券で運用している中で、運用目標である
3.2%の収益を達成するには国内債券以外の部分で高いリスクをとる必要
があるとし、「現状の方が高リスク運用」と指摘。また、運用実績を改善
させることで、年金給付額の引き上げにも寄与するとしている。
一方、ポートフォリオで7割近くを占めている日本国債運用を減少させる
ことの影響も「しっかり認識しなければならない」とし、まず第一段階で
残りの3割程度の運用改善を手掛け、運用実績や国の財政状況をにらみな
がら第二段階としてポートフォリオ全体の見直しに着手。第三段階で、世
界一の運用実績をめざすと段階的に積極化させていく姿を描いている。
この点について出席した議員から「ポートフォリオを変えないで実績をあ
げることは、逆に手足を縛ることになる。プロの人材を積極的に採用する
のであれば、ポートフォリオを含めてプロに任せるべき」と当初段階から
ポートフォリオ全体のあり方を含めて運用改善を図るべきとの指摘があっ
た。〔以下略〕”
「現状の方が高リスク」よりも「現状では国力低下は必至」と言った方が
正しいでしょうし、ポートフォリオを変えずに運用を改善できるかは
甚だ疑問ですが、この論議自体は非常に重要です。
多くの誤解があるような気がするのですが、
GPIFは既にしてSWF、即ち「政府系ファンド」そのものです。
「ノルウェー年金基金」と何が違うのでしょう。
日本には膨大な石油資源はありませんが、
原資としての巨額の金融資産はあります。
この金融資産を活かせずに目先の配分ばかりに血眼になっていれば、
「オランダ病」ならぬ「日本病」と呼ばれるようになるでしょう。
(有り余る金融資産を活用できずに少子高齢化で衰退する、という症状)
ところで運用比率における日本国債ですが、
少なくとも6割、できれば5割にまで落とす必要があると考えます。
代わりに増やさなければならないのは外国債と外国株式、
もしくは日本のグローバル輸出企業の株式です。
私が以前書いたように、公的年金運用をリスク別に数タイプに分け、
(「日本国債重視」「日本株式重視」「海外債券・株式重視」等)
それぞれのリスク・リターンの相関を明示して
国民に選択させるという案も面白いと思いますが。
カナダ中央銀行のカーニー総裁は今週、
「我々のライフタイムで最大の商品価格ショック」
との極めて的確に事態を見通した言葉を発しております。
…… これほど切れ味鋭い分析が日銀からも出て欲しいもの。
今のうちに資産の海外シフトを進めておかなければ
後で日本社会が悲惨な状態に陥るのは必至です。
悲鳴をあげて政府の補助金を求める業界が急増していますから。
今年初めから何度も書いているように、商品高は我々を貧しくします。
エネルギー・穀物をはじめとする商品高をヘッジできるかどうか、
それだけの金融知識と運用能力があるかどうかが、
今後の日本社会の命運を左右します。