土曜日の野球が終わったあとの中華日増し屋で
昨秋の写真展を見に来てくれたコーチが言う。
「お金をかけた機材があって、お金をかけて
特殊な被写体を手に入れられれば撮れる、という
写真より、奥野さんの写真の方が好きなんですよね」
奥野さんの写真と言ってるけれど、世の中にそういう写真は
沢山あって、そのコーチにしてみれば
私の写真を「そういう写真」の例に挙げて好きと
言ってくれたのであって、ではどういう写真かというと
「何でも無いものをポンと切り取ってるんだけど
いいなあとこっちも思うんです。」と。
自分も30年前に1冊の「そういうモノクロ写真集」と
出会って、以来修行中の身なのである。
特殊でない普通の生活と言うか人生というか
その中から切り取る1枚だから共通性があるのかも
しれない。 或は昔同じような陽光の下で
同じような駅前の風景を見た既視感が重なって
懐かしさなどと伴って良いと感じるのかもしれない。
のだが、それは一度はまると強烈で
本当にその情景を見た事が記憶になっているのか
その写真を見た事が記憶になっているのか
分からなくなるくらい、写真によっては
強く脳のイメージに刻み込まれる。
そういう写真を撮りたいし、見せたい。
例によってこの写真論を誰が見るか、見ないか
鼻で笑うか、感心するか 知らないが
これまでして来た事、考えて来たことの覚えとして。
これからしようと思う事の出発点として。
「SLOW CREEK」フォトアルバムにアップしました。
見に来て下さった方、改めてありがとうございました。
見てない方も、是非どうぞ。