高校野球における試合前のシートノックは
一つの様式美である。
それだけを見ても十分価値があるぐらい。
球場で高校野球を見るなら、試合時間より少し
前に行って是非それを見てほしい。
少年野球でも、中学生でもプロ野球でも
それはあるが、高校野球が一番見応えがある。
糸を引くように選手から選手へボールが渡り
少しの無駄もない個人と全体の動き。
もちろん、普段の練習量の少ないチームからは
美しいシートノックは見られない。
やってる側も実は一種のパフォーマンスと意識している
部分もあり、試合に向かってその高揚感は
高まってゆく。
野手一人一人がホームそばまで上がって整列し
大抵の場合、シートノックの最後は
高ーいキャッチャーフライで終わる。
監督も腕の見せ所。真上にフライを打ち上げるのは
なかなか難しいもので、それを一発で決め、
ナイター照明よりも高く上がったフライを
野手全員が大声でハッパをかける中
キャッチャーがいい音を立ててミットに収める。
お侍がカチッと刀を鞘に収めるように。