-写真の部屋-

奥野和彦

2019-11-12 21:29:46 | 写真


国道16号線。

せっかくのきれいな月の夜に
月を撮らず。


例えば編成がドラム、ベース、エレキギター 、とあんな感じで
自分の思想をビートに乗せて歌えばロック。
本人がそうだと言えばそうなのだが
ロックの姿をしてはいるが歌謡曲というのもあって
それは何か違うんだな、というのは分かる。
ロックだと突っ張っていても
「俺の考えを聴いてほしい」 シャウトなのか
「俺の歌が売れてほしい」 シャウトなのか。

写真はどちらかと言えば
商品なりモデルなり状況なりの
説明のためのイラストレーションとして利用されることが多く
その中で、単にイラストレーションとして終わらず
話題性を持って取り上げられると
その人の特性とか仕事ぶりが評価されたりするが
初めから、イラストの役割は持たず
「俺の考えを見てほしい」で撮られた写真は
なかなか分かってもらうのが難しい。

普通、カメラマンがカメラを向けるような物は
写っていなくても
今の時代や自分を包む空気がそこに写っている。
絵画と違って
人の手で塗り込める事のできない「写真」という装置
だからこその独自の力。
共感を持たれようと、目を背けられようと
見た者には何らかの心の揺らぎを与えるような
事が出来ないか。
文章にしてみれば、そんな事なのだが
ずっと考えて来て
未だに途上なのであるが。