英彦山の 天狗の鼻も 紅くなり
馬糞 Bafun
【生涯スポーツ・修験の道】
修験の山で知られる英彦山に着いたのは午後3時頃であった。
「一時間もあればぐるっと回れるだろう・・・。」
案内図を見定めて山道に入った。
「日暮れまで二時間半ほどか・・・。」
飲料水が尽きた頃、すれ違った登山の夫婦が声をかけてくれた。
「ここから先はまだ険しいですよ」
こちらの道ももう少し大変ですよ・・・。
いや、知らぬが仏かな。
お互いさまか・・・。
なるほど、行けば行くほど、もう引き返すのは嫌だと思うほどの難
所、アップダウンの連続だった。
ときに走り、時によじ登った。
せっかく登りつめたのに、また下った。
見上げる杉木立を紅い天狗が面白がってついてきているようだった。
天狗に笑われてはならじと、また走った・・・。
・・・ ハァ~ ハァ~ ハァ~
とうとう、「鬼杉」でへとへとになった。
5時になっていた。
屋久杉を思わせる貫禄の古代杉だ。
鎌倉か、平安か・・・都に隔たる山中ではあるが、現代が青二才に
感じられる。
歴史や伝統の存在感である。
下山道を「しゃくなげ荘」まで降りた。
温泉が目当てだった。
汗びっしょりだったから・・・。
(あっ、着替えがない・・・)
ああ、最悪の修験道!
人生を感じさせる修行だったなぁ・・・。
生涯スポーツ!
天狗の下駄からのぞいた空は、秋晴れだった。
それから3日間、ロボコップになった。
しかし、自分の身体が実感できると言うのは、気持ちよい。
不機嫌を追放せよ。
微笑みは愛である。
運動不足を追放せよ。
試練は楽しめるものである。
Bafun