台湾の 春一番に 吹かれたり
馬糞 Bafun
時差一時間の偏西風の逆風を突いて二時間余、博多から一気
に台北に着陸した。
そこから車で10分ほどのところに、新幹線の桃園駅がある。
高雄まで新幹線だと90分でゆく。
在来線の特急だったら、5時間ほどかかるらしい。
桃園駅は、閑散としていた。
周りには店もなく、駅舎内のセブンイレブンで昼飯を買うことにした。
コンビニといっても、国が変わると、売っているものも珍しい。
春雨ドンブリとでも言うべきものを買った。
お湯を入れてくれと頼んだら、そのままレンジにいれた。
なんと、調理した汁ごと入っていたのだ。
カウンターに山済みされたひび割れたゆで卵らしきものも買った。
気温は20度を超えていただろう。
戸外でも寒くはなかったが、強風に煽られたので、結局、閑散とし
た近代的な駅の座席で食べることになった。
春雨どんぶりも、味付のゆで卵も、日本にはない台湾らしい味でお
いしかった。
その後も、コンビニエンスはとても重宝した。
甘い漢方茶にはなじめなかったが、高山烏龍茶は最高においしかっ
た。
値段も50円ほどである。
台湾ビールも40元ほど、1元が2円67銭が今日の相場だから、日
本円で107円ほどである。
⇒ http://quote.yahoo.co.jp/m5?a=1&s=TWD&t=JPY
【円高景気を望む】
円高は、海外旅行にはありがたいことだった。
円高で不況だなどというが、海外の産物が安く買えるのだし、円
の価値があがるのだから、基本的には喜ばしいことである。
車や家電製品が売れなくなったのは海外市場が不況だからである
し、東京株式市場が低迷するのは、日本に政治的な信用がないか
らに他ならない。
決して、円高不況ということではない。
急激な円高が、為替差益の損失負担となったということはあるが、
それも、事前に回避する手段があるし、たいした問題ではない。
海外市場の不況、消費低迷が最も大きな輸出産業への打撃であ
る。
だから、円高は大いに歓迎すべきことなのである。
おいしい台湾料理は500円もあれば楽しめた。
おいしい薬膳のしゃぶしゃぶ料理は千円程度だった。
そうは言っても、免税店で押し切られて買った高雄のからすみは、
町の海産物店の4倍から5倍の高値だったのには驚いた。
台湾烏龍茶も日本の新茶とさほど変わらない高額だった。
円高でも、商売が下手だったら、結局損をするのが海外の買い
物である。
損をしたくなければ、市場調査が欠かせないということだ。
【台湾と日本の課題】
今回の台湾旅行で気づいたことがいくつかある。
一つは、台湾が安心してタクシーに乗れる先進国であるという発
見である。
しかも、安い。
為替のレートは、100 Taiwan元が277円程度だったが、台北駅か
ら総統府裏手のホテルまで、5,6分の乗車ではあったが、230円程
度だった。
バンコクでは、おそらく20バーツ、55円程度であろうが、必ずといっ
てよいほど、ぼったくり値段を吹っかけてくる。
日本、台湾、韓国以外の国で、法治国としての安心感が行き渡っ
ている国はない。
この点で、タイもインドネシアも、チャイナもベトナムも、近代国家と
は言いがたい。
しかし、水洗トイレで、「トイレットペーパーを流すと紙詰まりを起こす
ので、汚物入れに入れてください」というのには気分が悪かった。
町の状況を見ても、衛生的な国家としては、まだまだ課題が残って
いる。
その原因は、水に溶けるトイレットバーパーが作れないという問題
と、水に溶けない紙に対応できる水洗トイレが作れないからであるら
しい。
韓国も同様であるらしい。
台湾、韓国にしてそうであるから、アジアの事情である。
そうしてみると、日本が如何に理想的な国家であるか、先進的な
国家であるかが分かるのである。
もっとも、政治の三流が不況と国家独立の危機を招いているので
はあるが・・・。
李登輝元総統ほどの政治家がいてくれたら、どんなにか誇らしいこ
とであろうかと思う。
せめて、顧問として、国外ブレーンとしてでもよいから、その叡智を
借りるわけには行かないものか。
さて、台湾観光の課題として気づいたことがほかにもある。
空港やホテルにインターネットサービスがあるのはありがたかった
が、日本語入力ができないというのがいかにも不便であった。
台湾の若者とは、全く言葉が通じなかった。
日本と台湾は、もっと、言葉の相互学習、放送の相互化、円通貨
利用の便宜など、経済文化の互換性を高める必要がある。
それは、企業努力で実現できることである。
中国を恐れて、政治のみならず、教育のレベルでも、台湾問題はタ
ブーとなっているのは情けないことである。
教育まで、内政干渉を許す日本が、果たして独立国家といえるの
か、疑問である。
「台湾独立宣言」には、微妙な政治的駆け引きがあるであろうが、
台湾と言う実質的な独立国家であり、日本にとって欠かせない政治
的、経済的国家を知らないという状態では日本の未来が危うい。
台湾についての書籍は多くはないが、次の二冊は、大いに参考
になった。
『李登輝 台湾の主張 ・・・新しい台湾は何を目指すのか』
黄 文雄著 『台湾は中国の領土になったことは一度もない』
台湾の悲劇というべきは、本気で国づくりをしようとした日本領土
化の時代が太平洋戦争で撤退し、そのあとに、中華民国亡命政府
の植民地となったことにあると考えるに至った。
総統府の堅固な建物をみるにつけ、日本人の気概、なみなみなら
ぬ国作りの覚悟が伝わってくる。
これに対しして、中華民国亡命政府の時代には、いずれ、大陸にも
どるという仮の宿に過ぎなかったことから、あらたな建造物やインフ
ラ整備に力を尽くすことがなく、日本が残した財産を使い続けたの
だと言う。
これも、戦争の悲劇というべきだろう。
その、中華民国亡命政府の植民地となったことから、弾圧が始
まった。
それが、1947年2月28日に始まる、2・28事件と白色テロといわれ
る恐怖政治である。
処刑された台湾人は3万人以上に上る。
いつ、誣告され、いつ官憲に囚われて処刑されるかわからないと
いう恐怖で、安心して眠れない時代が、1988年の李登輝総裁誕生ま
で続くのである。
民主国家台湾の誕生から、まだ日が浅い。
揺れ動く台湾の民主主義を支える役割が、日本にあるのではな
いか。
【独立国家台湾の印象】
台湾は、もはや「中華民国」ではない。
台湾国としての歴史を始めている民主国家である。
繁栄すべき独立国家の実質を備えている。
その実質が、経済文化の相互交流として深められればよいことで
ある。
独立宣言をするしないというのは、政治的な駆け引きとタイミング
の問題に過ぎない。
日本の政治の三流が、そのタイミングを遅らせているのかもしれ
ないが・・・。
しかし、空母配備のタイミングは差し迫っている。
なんとしても、中国の空母就航を許してはならない。
そのためにも、両国が空母配備を急がなければなるまい。
日本も台湾も、島国であり、海洋国家なのであるから、海の生命線
を守るのは国防の要だからである。
台湾は、まさに、危機の差し迫った日本の生命線であるということ
を自覚して対策を急がなければならない。
そのために、自民党が崩壊し、民主党分裂に連鎖し、新政党を結
党することが不可避となった。
心ある政治家よ、結集して国家独立の危機を救え!
梅士 Baishi