英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2023年度NHK杯将棋トーナメント 準決勝 羽生善治九段-藤井NHK杯保持者 その3

2024-03-29 14:33:17 | 将棋
間が空いてしまいました。(「その1」「その2」
……何を書くつもりだったのか……え~と………

 そうそう、まず、幻の妙手▲6三桂について
 この手については、「その2」で詳しく述べているので、《何を今更?》と思われることだろう。

 復習すると………
・第5図より、羽生九段は▲3六飛と角取りに逃げ、△5九角成▲同銀と進み、ほぼ互角。(△5九角成では△3七角成が正着で、後手が優勢だった)
・第5図では、▲6三桂と打てば、羽生九段が有利~優勢で勝ちやすい将棋になったはず。 


《ちょっと、この▲6三桂は浮かばない!》というのが巷の評判。
 そして、《藤井八冠は▲6三桂が見えていた!》(感想戦で、藤井八冠は「▲6三桂で自信がなかった」旨の言葉を発していた)
 でも、この▲6三桂って、そんなに見えにくい手なのだろうか?
 第5図の局面であるが、先手としては3三の成桂は4三に動かしたい。しかし、図からすぐ▲4三成桂とすると、△3八とと飛車を取られて、手負けになる。
 しかし、▲4三成桂の前に▲6三桂△同金を利かせておけば、▲4三成桂△3八とには▲5二銀と打つ手が成立しそう(実際にこう進めば先手勝勢。詳しくは「その2」
 この思考過程は、普通、行いそうな気がする。
 ▲3三桂成とする筋はずっと視野に入っており、桂成りの後、▲4三成桂と銀を取る手も自然な手の流れだ。そして、飛車当たりになっている第5図の局面になれば、攻め手を加速する▲6三桂が指し手の上位候補に上がってきそうに思える。
(藤井八冠がどの局面で▲6三桂が見えたのかは不明)
 

△3四歩(第6図)での▲3四同成桂について

 ▲3四同成桂は順当な手である。ただし、△同銀▲同飛△3三銀と受けられ、▲3六飛と引くことになっては、後手陣から先手の駒影が消えてしまっている。対する先手陣には4七にと金が残っている。しかも、手番は後手。(ただし、△3三銀では△4三銀が正着。△3三銀だと3二の金が浮いているので、▲7六角のような攻防手が生じている)
 ▲3四同成桂は無難な手だが、“無難”で済む局面ではなかった。▲3四同成銀では▲4三成銀と貪欲に指すべきであった。これに対し、△3五歩と飛車を取るのは▲6三桂△6一玉▲3四角で先手優勢。▲6三桂に△同金は▲5二銀で先手勝勢。なので、▲4三成桂には△同金と取ることになるが、▲4五飛△4四歩▲4七飛で手順にと金を消去でき、本譜とはかなり得(ほぼ互角だとは思う)


とにかく、ここ数年の羽生九段は、終盤になると踏み込みが浅くなる。貪欲さが足りない……そんな気がする。
コメント
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