英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season15 第5話「ブルーピカソ」

2016-11-10 22:20:26 | ドラマ・映画
視聴直後「おお!そうだったのか!」と感心させられた一作だが……

≪贋作を本物と思わせる決定的なアイデア≫
“発見された作品が偽物とすり替えられた”という事実を作ったことにより、元の作品が本物だと思い込ませる」
………“偽物が偽者にすり替えられるはずはない”という思い込みを利用した巧妙な詐欺だ。


 このような詐欺の手口は過去の推理作品に使われた記憶はある。
 しかし、「すり替えられたのではなく、止めていた鋲を取り換えただけの同一作品だった」というのが“すり替えの真相”というのは、ないような気がする。(もしかすると、『怪盗キッド』あたりが、このようなトリックを使用しているかもしれない)
 私は、“鋲の違いで贋作に気づいた”という画商の古澤(堀内正美)の言葉に囚われ。「鋲が欠けていた作品」=「本物」と思い込んでいた。……まさに、≪してやられた……≫
 貴和子の「これ(中村夫人の画)は本物です」という言葉を、磯田(坂西良太)が端から否定していたことを考えると、“本物は存在しない”という結論に達しなければならなかった。…………不覚だった。

≪意外な犯人≫
 上記の“もともと発見された作品が贋作であった”というトリックに気がつけば、筒井(下総源太朗)も詐欺グループの仲間で、三上を殺害したと気付けるのだが…スルーしてしまった。………不覚。
 


 …………そんなわけで、確かに、「おお!そうだったのか!」、「してやられたなあ」と感心した。しかし、よくよく考えてみると、お座成りにしている部分が多い。
・貴和子(森尾由美)と古澤、さらに、金持ちの未亡人・中村沙織(新橋耐子)の人間関係が都合よすぎ。
 25年前に“道ならぬ恋”に落ちかけた喜和子と古澤だが、思いとどまり貴和子は中村夫人の世話でシアトルの美術館へ。8年前のブルーピカソ事件の際も帰国せず、昨年、中村夫人の夫の死去を知り帰国するというのは、あまりにも都合よすぎ。
・貴和子らに策がなさ過ぎた
 ブルーピカソの出現させ、三上(斉藤陽一郎)を追い詰めたが、磯田には動じた様子はない。それなら、今度は古澤が三上に電話をするなど働きかければ、三上が白状するか、三上と磯田が動きを見せ、尻尾を掴むこともできたかもしれない。
・失態を重ねた古澤
 応援していた三上が描いた贋作を見抜けなかったことに加え、鋲の細工を許した管理の甘さは追及されても仕方がない(最初の段階で贋作を見抜けなかった点についてはある方も指摘されていました)


 脚本は坂上かつえ氏。
 過去には『相棒 season14』の第11話「共演者」を担当している。
 私はこの話の感想記事
「いきなり、“カレンが正真正銘、恵子の娘である”ことが明かされるのは、視聴者にとっては、急転直下過ぎ」
と書いている。
 また、最近、再放送で『天使が消えていく』(土曜ワイド劇場、原作:夏樹静子、出演:賀来千香子、西郷輝彦、京野ことみ)を視聴した。衝撃のラストのどんでん返しで、“やられた感”を味わった。
 もし、再放送で観る機会があるといけないので詳しいことは書けないが、登場人物のキャラと実際の行動が合致しないなどのご都合的な点も多かった(原作がそうなのかは不明)。

 とにかく、≪面白かったけれど………≫と感じることが多い脚本家さんである。
 
 

 
【ストーリー】番組サイトより
 転落死を遂げた画家の死因は自殺か他殺か?
 数十億円の絵画“ブルーピカソ”が事件を呼ぶ!

 ある休日、右京(水谷豊)が亘(反町隆史)と訪れていた絵画のオークション会場でちょっとした騒ぎが起こる。出品されていた三上史郎(斉藤陽一郎)という画家の絵画に、三上自身が「こんな駄作に価値はない」とオークションを拒否する騒動を起こしたのだ。その夜、三上が歩道橋から転落死する。
 伊丹(川原和久)たち捜査一課は、自殺と他殺の両面から捜査を開始。すると、画家としての三上の育ての親といわれるオークション会社の社長・磯田(坂西良太)と三上の間に確執があったことが判明する。
 事件に興味を持った右京は、亘と共に磯田の会社を訪れる。すると、磯田と社員の貴和子(森尾由美)が言い争う声が耳に入る。聞けば、持ち込まれた“ブルーピカソ”の真贋鑑定で意見が対立しているという。ブルーピカソとは、友人の自殺を目の当たりにしたピカソが、青い絵の具で暗いタッチの絵ばかりを描いていた“青の時代”と称される作品群のことで、持ち込まれた絵画が偽物だという磯田に対して、貴和子は本物の可能性が高いと主張しているという。
 実は、その持ち込まれた絵画というのが、いわく付きの作品で、8年前に贋作とすり替えられ、ずっと行方不明になっていたものらしい。そんな中、三上が転落死する直前、歩道橋で何者かと争っていたという目撃情報が飛び込んでくる。さらに右京は、すり替え事件の舞台となった画廊で、三上がかつて個展を開いていたことを突き止めて…!?

8年前のブルーピカソすり替え事件と
画家の不審な転落死に意外な関係が…!?
特命係が名画をめぐる時を超えた因縁に迫る!
           
ゲスト:森尾由美

脚本:坂上かつえ
監督:藤岡浩二郎
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『IQ246 華麗なる事件簿』 第4話

2016-11-08 15:46:11 | ドラマ・映画
「2016秋ドラマをいくつか…」
「続・2016秋ドラマをいくつか…」
「2016秋ドラマをいくつか… “その3”」
から、単独記事に昇格しました。
(『キャリア ~掟破りの警察署長~』……南(髙嶋政宏)の人生観や刑事観があまりにも独善過ぎ。視聴はするが記事にはしない
 『Chef ~三ツ星の給食~』……光子(天海祐希)のパワフルさと荒木平介(遠藤憲一)の味わいある表情が面白いだけ。記事は省略)


 前回あたりから法門寺沙羅駆(織田裕二)のアクの強さにも慣れてきた(麻痺した)。賢正(ディーン・フジオカ)の透明さと和藤奏子(土屋太鳳)の真っ直ぐなボケが沙羅駆のアクをうまく中和しているのかもしれない。
 今回の犯人はピアニストの二本松由里(国仲涼子)。美人女性なので沙羅区の追及もソフト(アクが弱い)で、二人のやり取りにコクがあり面白かった。

★相変わらず冴えない事件のカラクリや真相

・防犯カメラのデータの差し替えは誰がどうやって行ったのか?
・グループフルーツのエピソード(好き嫌い、薬との相性)などはご都合主義で、なくても良い

 映像的には殺害シーンからフェードアウトする際にグレープフルーツの黄色が印象的とか、沙羅駆が疑念を抱くきっかけなどの要素ではあるが、足がつく(証拠)と成り得る危険性や持ち運びの不便さなどのリスクを考えると、不可解な行動としか思えない。
・強盗に見せかけるフェイクだが、フェイクとしては不合理すぎる
 暗証番号の入手、被害者にドアのロックを外させなければならない難関を突破しておき、財布や時計のみの窃盗、あるいは強奪では割が合わない。その上、殺人まで犯すのは、侵入までの手口とは相反している。
 「読書中に襲われた」のも「音楽鑑賞中に襲われた」も大差がなく、「コンタクト+眼鏡」の不自然さを生み出すための脚本家の都合でしかない(しかも、ありふれた推理)。
・恋愛関係のもつれによる殺意ならともかく、土門(金田明夫)との親子間の行き違いと治療放棄で殺意にまで及ぶものだろうか?
 由里に怪我をさせたのが土門だが、恨みを持ち加害者でもある土門に手術や治療を任せるものだろうか?


【その他の感想など】
・昆布と鰹ダシをを再現した化学合成液を飲んだ奏子が発した「すごいおいしい」という表現は許せないなあ
・賢丈(寺島進)と警視総監(篠井英介)の将棋の指し手が順当なものだったので嬉しい
・奏子のお約束(毎回、睡眠薬を飲まされる)は、なかなか面白い

【ストーリー】番組サイトより
 ある日、都内にある地上50階建てタワーマンションの最上階の一室で、大学病院の外科系統括部長を務める医師の土門賢治(金田明夫)の他殺体が発見される。凶器は土門の部屋にあった置物と果物ナイフの二つで、現場状況から土門は読書の最中、不意に背後から置物で頭部を殴られ、その後に果物ナイフで背中を二度刺されていた。
 土門は半年前に妻と死別しており、子供もおらず一人暮らしだった。警察は、金品などが盗られている状況から強盗殺人だと判断する。だが、犯行時刻とされる時間帯にマンションの十数台ある防犯カメラには不審人物は映っておらず、土門の部屋につながるエレベーターはコンピューター制御で50階に行くには暗証コードが必要なため、マスコミは事件を「天空の密室殺人」だと騒ぎ立てる。
 事件の情報を嗅ぎ付け賢正(ディーン・フジオカ)や奏子(土屋太鳳)と共に現場に乗り込んできた沙羅駆(織田裕二)は、現場を検分し遺体に掛けられていたメガネと果物皿にあったグレープフルーツ、そしてジャズのCDばかりが並べられている棚の中に1枚だけある未開封のクラシックのCDに着目。それらの物証から沙羅駆は土門の殺人は強盗に見せかけた犯行ではないかと仮説を立て、怨恨の線で犯人を追うべきだと判断する。
 そして沙羅駆はいくつかの手掛かりを頼りに、土門の部屋に残されていた唯一のクラシックCDの演奏者である女性ピアニスト・二本松由里(国仲涼子)に事情を聞きにいく。

脚本:栗本志津香
監督:坪井敏雄


第1話 脚本:泉澤陽子 監督:木村ひさし
第2話 脚本:泉澤陽子 監督:木村ひさし
第3話 脚本:泉澤陽子 監督:坪井敏雄
コメント (2)
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相棒 season15 第4話「出来心」

2016-11-05 15:43:49 | ドラマ・映画
一言で言うと、
≪面白かったけれど、ミステリー度は低かった≫
実は
≪ミステリー度は低かったけれど、面白かった≫
と言った方が正確な感想なのだが、
『相棒』なのでミステリーのクオリティについては妥協したくない。

今回のタイトルは「出来心」
 平井(風間杜夫)「お国ことばを聴いて母を思い出し、ひったくり犯の逃亡を阻止してしまったことを“出来心”だった」と後悔する(それがきっかけで自身の詐欺行為が露見した)
 右京「そのおかげで、警察で取り調べを受け留守にすることとなり、殺人犯に出くわすことがなく、難を逃れたのではないか。それは神様が助けてくれたのではないか」と。
 平井「神様を利用して詐欺(美人局)をしていた自分を、神様が助けるはずがない」
 右京「それこそ神様の“出来心”だったのでは?」

           …………………………………………神様の真意はともかく、面白いオチだった。

 また、やたら色っぽい尾形留美子(内田慈)との詐欺コンビネーションも滑稽味があり憎めない。
 特命係に協力しているが二心(復讐心)を抱いている青木(浅利陽介)も絡み、人情劇として面白かった。
 青木が留美子の誘惑に陥落する様は絶品だった。



連続殺人事件についてはお粗末だった。
 衝動的に女性を殺害、しかも、2回も殺害しているので、留美子に巻き上げられたネックレスが重要証拠と考え、それを奪い返しに行くのは強引な筋書き。留美子たちがネックレスと殺人事件との関係に気付く可能性や、奪い返す際の危険性を考えると、リスクの方が遥かに大きい。
 ドラマ的にも殺人犯の正体は明らかだった。


脚本は山本むつみ氏
 過去に、season12 第15話「見知らぬ共犯者」season13 第13話「人生最良の日」(タイトルを見た瞬間、ダメさを思い出してしまう)、season14 第16話「右京の同級生」を担当している。
 人情的なドラマ性に重きを置いているようだが、今回はその部分が面白かっただけに、事件のミステリー度が低かったのが残念である。

 
【ストーリー】番組サイトより
詐欺師の男がひったくりを撃退してヒーローに!?
同じ頃、一人暮らしの若い女性を狙った殺人事件が発生して…


詐欺師の平井(風間杜夫)は、地域住民の悩み相談に乗る“青空らくだの会”という団体を装い、美人局で金をせしめていた。その日も、会社員風の男をまんまと陥れ、金を下ろさせるために一緒にコンビニのATMへ。そのさなか、女性がひったくりにあっている現場に遭遇。一旦は「取り締まるのは警察の仕事」と、立ち去ろうとした平井だったが、女性の悲鳴に反応し、体を張って犯人から荷物を取り戻す。同じ現場に居合わせた右京(水谷豊)は女性を保護。しかし、そのどさくさに紛れて会社員風の男が逃げたため、平井も後を追って走り去ってしまった。右京と一緒にいた青木(浅利陽介)は、とっさに一部始終を撮影してSNSで公開。その動画は、“消えたヒーロー”としてすぐ話題になった。

そんな中、都内のマンションで若い女性の絞殺死体が発見される。伊丹(川原和久)たち捜査一課は、一か月前にも同様の事件が起きていることから、同一犯による連続殺人の可能性を視野に捜査を開始する。一方、右京は、「お礼を言いたい」というひったくり被害者からの頼みで、亘(反町隆史)と共に走り去った男を捜すことに。早速、現場付近で捜索を始めた2人は、ひょんなことから“青空らくだの会”の事務所にいた平井と知り合う。平井から妙な雰囲気を感じ取った右京は、警察関係者であることを伏せて言葉を交わすが…!?

特命係と詐欺師が、奇妙な“化かし合い”で対決!!
人生相談を装う団体と絞殺事件の接点とは…
右京と亘は、巧妙な罠を見破り、罪を暴けるのか!?

ゲスト:風間杜夫

脚本:山本むつみ
監督:藤岡浩二郎
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渡辺竜王の発言「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」について ~伝達力と読解力~

2016-11-03 13:40:45 | 将棋
一部で渡辺竜王へのバッシングが激しい

 渡辺竜王の動きを整理すると、
・三浦九段の指し手や離席について他の棋士から指摘され疑念に感じ、島理事に相談
・極秘七者会議を開き、三浦九段への疑念が深まった
・三浦九段聴取の常務会に同席

となる。
(今回の騒動全体については「三浦九段不正疑惑、出場停止問題 その1その2その3」を参照ください)

 この一連の行動について憶測や非難がされており、渡辺竜王が弁明したが、これについて世間(バッシング派)がさらに非難を強めている。
 渡辺竜王へのバッシングについては誤解による処がかなりあると思われる。それについて考察したいが、あまりにもポイントがあり過ぎて、どこから手を付けてよいものか……


(渡辺竜王の弁明について時系列に沿って考察するのが常道だが、ポイントが絞れないので、まず、)
★渡辺竜王が弁明(自分の真意と世間の認識にズレがある)を発した記事の考察
『三浦九段の将棋不正疑惑に渡辺竜王が初言及…「三浦さんを処分してほしいとは言っていない」』
(2016年11月1日1時22分 スポーツ報知)より引用(抜粋)
 10月12日に連盟から出場停止処分を受けた(12月31日まで)三浦九段は、挑戦者として同15日開幕の竜王戦7番勝負に出場することが決まっていた。複数の報道では、タイトル保持者として迎え撃つ立場だった渡辺竜王が自ら主導し、三浦九段の処分を連盟側に強く進言したと伝えられてきた。
 これに対し、当の渡辺竜王は「三浦さんを処分してほしいとは全く言っていないですし、ファンの皆さんや棋士の間にも本意とは違う形で間違って伝わってしまっています」を否定。また「(三浦九段を処分しないなら)竜王戦は指さない(出場しない)。タイトルを剥奪されても構わない」などと発言したとされることについても、事実ではないとした。


 上記『「当の渡辺竜王は「三浦さんを処分してほしいとは全く言っていないですし、ファンの皆さんや棋士の間にも本意とは違う形で間違って伝わってしまっています」を否定。』となっていますが、『~」と否定』だと思われます。


 渡辺竜王の言葉は、10月31日に連盟が開いた「不正疑惑に関する報告会」終了後のインタビューのものと思われるが、記者会見や声明文やブログ記事と違い、状況を整理し言葉を吟味して発したものではないので、主旨が正確に伝わらない危険性がある。
 例えば、「三浦さんを処分してほしいとは全く言っていないですし」は、≪「三浦さんを処分してほしい」とは言っていない≫という意味だけでなく、≪「処分してほしい」と解釈された言動すべてを否定≫したと受け取られる可能性もあり、実際そう解釈した人も多いようだ。
 この言葉の中で、問題と特に感じるのは“全く”という言葉。渡辺竜王は、「処分してほしい」と言っていないことを強調したかったのだろうが、“全く”を入れてしまうと、≪「処分してほしい」と解釈された言動すべてを否定≫と思われてしまう可能性が高くなってしまう。

 こういった「“発信者”と“受信者”のズレ」がこの記事の主題であり、後述するつもりであるが、一旦、それについては脇に置いて於き、“処分要請発言”の真偽について調べてみよう。


 渡辺竜王の“処分要請発言”が表に出たのは、棋士への臨時説明会が開かれた10月21日。
将棋連盟、来週中に調査委発足 強く対応求めていた渡辺竜王「タイトル剥奪されても構わない」
『産経ニュース』より)
 将棋の三浦弘行九段(42)が対局中に将棋ソフトを不正使用した疑いが浮上し、出場停止処分になった問題で、日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)は21日、来週中に顧問弁護士を中心とした調査委員会を発足させ、本格的な調査に乗り出す方針を発表した。
 これに先立ち、同日午前、東京と大阪の将棋会館で棋士への臨時説明会が開かれ、羽生善治棋聖(46)や佐藤天彦名人(28)ら約140人の棋士が参加。約2時間におよんだ非公開の説明会で島朗常務理事(53)は、7月末の対局で三浦九段に不自然な離席があるとの指摘が発端だったことを報告。さらに今月3日の対局でたびたびの離席と不自然な指し手に疑惑を抱いた渡辺明竜王(32)が、「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」と、連盟幹部に強く対応を求めていたことを明らかにした。


 問題の「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」の発言は、この記事によると、臨時説明会で島理事からの棋士への説明の中での表現。しかも、産経の記者がこれ(連盟幹部に強く対応を求めていたこと)を聞いたのが、記者会見の場、あるいは会見後に島理事の口からなのか、あるいは、臨時説明会後に参加棋士によるものだったのかが分からない(渡辺竜王は対局中で説明会には不参加)。
 なので、「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」の言葉そのものを発したかどうかは怪しい(それに結び付けられる発言はあった可能性はある)。
 さらに、「連盟幹部に強く対応を求めていた」というのが、渡辺竜王の要請から感じた理事会の印象なのか、説明会での説明から受けた参加棋士の印象なのかも分からない。

 とにかく、「疑念がある棋士と指すつもりはない。タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」という言葉と、「連盟幹部に強く対応を求めていた」という表現が相まって、【渡辺竜王が強硬姿勢を示したという印象】を受けた人が多かったのではないだろうか?

 私は、今回の騒動について、 「その1」「その2」「その3」 の記事を書いてきた。渡辺竜王に関しては、
・三浦九段の不正疑惑の指摘を受け、自らも疑惑を抱いた
・疑惑の存在を知りながら連盟が問題を放置し、竜王戦開催中に問題が発覚し、連盟が放置していた事実が世間に明らかになることは最悪の事態であると考え、島理事に相談
・七者会議で三浦九段の指し手と離席状況を検証し疑惑を深める。“限りなくクロに近い”という印象で一致、常務会で三浦九段に聴取することに
 この会議について羽生三冠は「疑わしきは罰せずが原則」と後に表明。後付けの可能性もあるし、会議中その旨の発言をしたかは不明。
・常務会に臨席、「疑われた中では対局できない」(三浦九段)→「休場届を出せ」(理事)の流れとなる
 結果的に常務会に臨席したのが間違い。場に居なければ、竜王が“三浦九段処分”に直接関わったという事実(認識)は生じなかった
 あの場にいたのなら、処分に関与したと思われても仕方がない。せめて、休場届云々のおかしな流れを止めるべきだった。
・休場届不提出で「三浦九段の年内出場停止」が下され、竜王位挑戦者が丸山九段に変更される。
 ≪連盟が不正疑惑を放置し、竜王戦開催中問題発覚≫という最悪の事態は避けられたが、ほぼ最悪の結果(疑惑の確証なしで、“休場届不提出”という不合理な処分理由)を招いてしまった。

というのが私の認識である。


 「疑念がある棋士と指すつもりはない」というのは、三浦九段が不正を働いていると決めつけたわけではなく、「疑惑が生じている状況で竜王戦七番勝負を指せない」という意味。
 「タイトルを剥奪(はくだつ)されても構わない」というのは、私心で言っているのではなく、「タイトルを返上する覚悟で動議している」という意味であろう。
 

 その後の行動(常務会参加など)はおかしな点もあったが、将棋界を思って起こした言動が「ファンの皆さんや棋士の間にも本意とは違う形で間違って伝わってしまって」(取材での渡辺竜王のコメント)は、悲しいだろう。


 よく知った者同士でも行き違いはある。
 いきなり答えなければならないインタビューには、言葉足らずなどで真意が伝わらないことも多い。
 文字だと発信者の表情などが見えないので、誤った印象を受けることも多い。
 マスコミだと、インパクトを強くするため、言葉を置き換えたり、表現を強くすることが多い。
例えば『渡辺竜王、保身に走る 「三浦さんを処分してほしいとは全く言っていない」』などは、かなり恣意的な見出しである。

 発信者は出来るだけ正確に意図を伝えるよう努めなければならないし、
 受信者も第一印象や先入観に囚われないで、情報を吟味しなければならない。
(偉そうなことは言えないことは、私も重々承知しています)

 
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2016秋ドラマをいくつか… 「その3」

2016-11-02 17:00:20 | ドラマ・映画
「2016秋ドラマをいくつか…」「続・2016秋ドラマをいくつか…」 の続きです。

『IQ246 華麗なる事件簿』…第3話
 今回は法門寺沙羅駆(織田裕二)と賢正(ディーン・フジオカ)の信頼関係がテーマ
 「反発、実は信頼」という展開になるのは仕方がないが、バレバレなのが残念。
 ただ、第2話、第3話と和藤奏子(土屋太鳳)を含めた3人のやり取りは味が出てきた。反面、賢丈(寺島 進)に関しては、ここまで存在の必要性を感じない。


【感想など】
・滝乃川美晴(観月ありさ)の描き方が浅く、殺害実行に至るほどの動機には思えなかった。“カリスマ主婦モデル”という設定も疑問で、「金がすべて→殺人・社長の座」に合致していない。
・「花瓶の指紋」、「遠くにあった安い花瓶が凶器」、「共犯者(夫殺害の実行犯)を利用」「うめき声と花瓶の割れる音のタイムラグ」などのトリックや推理に目新しいものはなかった
・黒幕の“13”は、如何にして殺人の動機を持った人物を見つけるのだろうか?
・今回、今市刑事(真飛聖)と山田刑事(宮尾俊太郎)は“フェードアウト”しなかったなあ
・土屋太鳳さんは意外と身長が低い。
 法門寺瞳(新川優愛)とツーショットで実感。新川さんが長身でヒールで、土屋太鳳さんがローヒールの成果と思ったが、太鳳さんは155cm、新川さんは166cmとのこと。


『キャリア ~掟破りの警察署長~』…第4話
 南(髙嶋政宏)が、自分の独善さや傲慢さを反省する回。
 南の心の動きや、秋嶋方面本部長(東根作寿英)にキレる副署長(柳沢慎吾)や南を思う捜査課の面々などは面白かったが、事件のつくりが雑すぎだった


【感想など】
・誘拐犯が南に恨みを抱いていたが、万引きで捕まって取り調べを受けた時の南の態度が偉そうだったという他愛無い逆恨み。
 「南の雑な事件の扱い方が、更なる不幸を招いた」ぐらいにしてほしかった
・猟銃を盗んだ家から花瓶を持ち去り、花瓶を落として脅しと猟銃をほのめかすというのは、強引すぎ。金志郎(玉木宏)でないと気付かないだろう(盗みに入られた家人は猟銃がないことさえ気付かず)。
・やはり、“遠山桜”の如く、署長の証の警察手帳を振りかざし、犯人が慄くのは無理があり過ぎ
 そんなシーンを挿入するより、犯人を反省させる方が重要
・秋嶋方面本部長はその後どうなったのか?もう少し「ぎゃふん」と言わせてほしかった。副署長は大丈夫だったのだろうか?


『Chef ~三ツ星の給食~』…第3話 
光子(天海祐希)の奮闘ぶりや言動は面白いが、うまくいきすぎの感。
第3話で、ハードル(給食のルールを守りながら子供たちに“最高においしい”と言わせる)をクリアしちゃったよ~という感じ
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