英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

勝手にブログ大賞

2012-03-12 20:16:24 | その他
 ドラマのレビューをアップする際、他の方のブログにトラックバックをします。当然、記事を拝見するわけですが、感心したり参考になったりと素晴らしい記事が多いです。その上、迅速にたくさんの記事を書いておられ、感服します。
 今日は『平清盛』の記事をアップしましたが、やはり大河ドラマはアップされている記事数が多いですね。正直、読むのも大変なのですが、今回(今回だけではないのですが)、特に感服した記事がありました。これはご紹介しなければ! と今回の記事です。

★大爆賞(大爆笑)
一言居士!スペードのAの放埓手記……「平清盛 第10話 感想「義清散る」」
 視点は鋭いのですが、その突っ込み方が体操の内村選手の技の切れとフィギュアスケートの安藤選手の過剰な表現力で将棋の羽生マジックのように読み手の平衡感覚を失わせるほどの破壊力。「ひとりで爆笑」というのは語彙的にはおかしいのですが、それほどの強力なので、このネーミングとなりました。
 特に源氏親子の活躍ぶりを称賛する?件(くだり)は強烈です。
「源為義(小日向文世)に至っては一瞬しか映らないサブリミナル効果扱いですが、源頼朝(岡田将生)も爺さんは検非違使で何かやってんじゃないですかと適当です。」

★演技賞
(自称)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート ……「義清、恋に敗れて出家する/平清盛 第十回『義清散る』 」
 ブログ名が大そうなので、怖い方かと思いましたが、記事は実に誠実です。私も、大河ドラマのレビューをするのは久々だったので、今期初めてこの方のブログを拝見しました。
 今回のレビューは、俳優さんの演技を実によく見ていらっしゃいます。感服しました。

★大賞
平成エンタメ研究所……「平清盛 第10回「義清散る」~自分の美学に殉じた男」
 今回の第10話の主人公は佐藤義清(西行法師)でしたが、彼の乱心(出家)が唐突に感じました。が、その疑問を腫らしてくださったのが、この方の記事です。そう言われると、なるほど、そうだったのかと納得しました。
 平清盛の番組サイトで解説欄を設け、彼に担当していただきたいと思ったほどです。
 今回の大河ドラマ、『歴史ヒストリア』のような解説番組が欲しいですね。

 勝手に、ご紹介してしまい申し訳ありません。この他にも、感心、感服するブログは多いです。ご紹介できなくて申し訳ありません。また、機会がありましたら、ご紹介したいと思います。
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『平清盛』 第10話「義清散る」

2012-03-12 16:46:13 | ドラマ・映画
義清、乱心す
 番組タイトルは「義清散る」でしたが、興味を惹きたかったのと最後の桜が散る中での義清(藤木直人)と清盛(松山ケンイチ)の別れのシーンを重ね合わせたかったのかな。それにしても、桜が散りすぎでしょう。
 熱くなりそうにない二人、義清と璋子(檀れい)が取り乱して、つかみ掛かったり、首を絞めたりと、豹変しすぎの気もします。「いつものママ(璋子)じゃない!」とネネちゃん風に雅仁親王(松田翔太)に叫んで欲しかったくらいである。とにかく、息子を大切に思ったり、義清を庇おうとしたり、璋子は普通の人になってしまった感があります。まあ、それが義清の想いだったのだが。
 で、その仕掛け人の義清は、璋子の心が鳥羽院(三上博史)にあるのを悟り、乱心してしまう。文武に秀で、男前、男女の機微も察知でき、歌の心もある完璧な武士(もののふ)だったが、一度のつまずきに崩れ、璋子の心を掴むことに躍起になることを恥じ、出家してしまうとは……
 それはともかく、かわいい娘を足蹴にするなんて……しかも、正面から……

理解し難いねじれたふたり
 今まで何の興味も示さなかったのに、突然、鳥羽院に想いを寄せる璋子、そんな璋子の想いに気づき、わざと冷たく関心がない振りをする鳥羽院。もう勝手にしてくれという感じ。
 今回、義清が退場と言うことで、宮廷内、特に璋子と鳥羽院云々は意味があるが、主人公の平清盛とは直接関係ないことが多すぎる。昼の帯ドラマのドロドロ劇場はいい加減にして欲しい。
 おかげで、ライバルの源義朝(玉木宏)はワンカットだけ。サイトのあらすじによると、「東国において次第に武名をとどろかせ、着々と家臣を増やしていた」らしいが、「着々と」と言うより、「あっと言う間」とか「いつの間にか」と言って方がいいような気がする。

いい奴状態の清盛
 璋子に義清を庇うよう懇願したり、義清を会食に招こうとしたり、義清をいろいろ心配する清盛、「いい奴状態」=「脇役」である。
 義清との別れのシーンは、見せ場ではあったにせよ、ここ数回は、傍観者で自分の意志で動くということがない。長いシリーズなので、歴史や周囲の人物にスポットを当てるのは構わないし、あった方がドラマに厚みが出て面白いと思うが、このままだと、ただ歴史を追う主人公になってしまう。さすがに、周囲の登場人物が「兼継は偉い奴じゃ」と何もしていない主人公をもてはやす『天地人』のようにはならないと思うが……

風紀委員長の頼長
 いろいろ気がついて、秩序を守ろうとする風紀委員長のような藤原頼長(山本耕史)であるが、刑事ドラマのように証拠を揃え追求するが、そこまでで終わってしまい、青春ドラマの風紀委員や、『ちびまる子ちゃん』の丸尾君状態に留まっている。

画面が汚いと叱られたが
 どこかの知事に叱られたが、先週の篝火のシーンや今週の桜の別れシーンは映像的には非常に素晴らしかった。

【ストーリー】(番組サイトより)
 1139年、得子(松雪泰子)は、わが子・躰仁(なりひと)を東宮(とうぐう:皇太子のこと)に立てようと考える。崇徳天皇(井浦新)の中宮・聖子(大谷英子)の父である関白・藤原忠通(堀部圭亮)に接近し、躰仁を聖子の養子とすることを認めさせ、躰仁は思惑どおり次の帝となった。
 東宮誕生の知らせを聞いた平清盛(松山ケンイチ)と佐藤義清(藤木直人)は、朝廷内の不穏な空気に国の行く末を案じる。自分たち武士が国を守らねばと熱っぽく語る義清を、清盛は心から頼もしく思うのだった。
 一方、義清が待賢門院璋子(檀れい)に接近したことに気づいた璋子の女房・堀河局(りょう)は義清を誘い出し、二度と璋子を訪ねるなと彼にくぎをさす。
 そのころ、僧たちによる強訴(ごうそ)が頻発し、清盛ら平氏一門はしばしば勅命を受けて彼らと戦闘。朝廷の中で、平氏の武力の重要性をさらに高めていた。一方、源義朝(玉木宏)は、東国において次第に武名をとどろかせ、着々と家臣を増やしていた。
 元服後も相変わらず奇行を繰り返す雅仁親王(松田翔太)は、得子と出くわすなり、彼女を挑発。得子も「あなたは鳥羽院(三上博史)ではなく、先の院・白河の子なのではないか」と親王を攻撃する。それを聞きつけた雅仁の母である璋子が取り乱して得子につかみかかったため大騒動となる。
 そのうわさを耳にして璋子を心配した義清は、ひそかに彼女を訪ねる。だが義清は、彼女の心が本当は鳥羽院にあると知り、逆上して思わず首を絞めてしまう。駆けつけてきた清盛が止めに入り、堀河局の計らいで義清は逃がされ、何とか事なきを得たものの、その様子は内大臣・藤原頼長(山本耕史)に見られていた。頼長は義清を呼び出し、鳥羽院の前で彼の所業を暴いていく。しかし、鳥羽院は義清をとがめなかった。そこに現れた璋子に向かい鳥羽院は、璋子が誰と何をしようと自分は何も感じないと言い放つ。
 館に帰った義清は、満開の桜の下で我が身の無力感に絶望していた。遊んでいた妻と娘が駆け寄ってきた。娘から手渡された花びらを見つめてほほ笑んでいた義清は、やがて険しい表情に変わり、突然娘を蹴落とし去っていく。
 駆けつけた清盛に義清は「出家する」と言う。朝廷の乱れの種は、人を愛する心がねじ曲がり、どす黒くなった醜(みにく)い心であり、美しく生きたいと思う自分は、その醜さにまみれる覚悟がないと告げる。清盛は義清を思い直させようとするが、義清の決心は変わらず、その場で髻(もとどり)を切り落とす。京随一のもののふといわれた佐藤義清は乱世の舞台に立つことなく世捨て人となった。
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さくら

2012-03-11 22:26:55 | その他

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「五輪代表選考」考

2012-03-10 23:23:47 | スポーツ
 明日(3月11日)の 名古屋ウィメンズマラソンで五輪代表選考レースが終了します。(男子は4日のびわ湖毎日マラソンが最終)で、その前に、まとめておきたいので、慌てて書いています。

 まず、選考方法ですが、私も正確に知らないので、「マラソン五輪代表 決定」で検索を掛けたところ、『毎日JP』の「質問なるほドリ」というコーナーの「マラソンの五輪代表はどう決めるの?」という質問ページがヒットしました。

以下引用です。

質問なるほドリ:マラソンの五輪代表はどう決めるの?=回答・井沢真


 <NEWS NAVIGATOR>

 ◇4レース成績基に選考 「本番で活躍」への期待も加味

 なるほドリ マラソンのロンドン五輪日本代表が12日に決まるそうだね。代表は、どうやって決めるの?

 記者 日本陸上競技連盟が代表選考会の成績を基に理事会を開いて決定します。選考会は男女とも昨夏の世界選手権を皮切りに国内3大会を含めた計4レースです。国際陸連が設定した五輪参加標準記録A(男子2時間15分0秒、女子2時間37分0秒)突破者が対象で、選考基準は二つあります。一つは世界選手権の日本選手最上位のメダリストを内定することでしたが、該当者はいませんでした。二つ目は各選考会の上位選手を対象に「本大会で活躍が期待される競技者を代表選手とする」としています。コースの特徴、気象条件、レース内容など多様な観点から比較します。

 Q 代表は何人選ぶの?

 A 男女とも最大3人です。世界選手権は各5人ですから、五輪への道は狭き門です。

 Q 選考が難航したこともあるよね。

 A 90年代は、五輪など主要大会での実績や夏場のレースへの適性など、数字では測りにくい要素を重視する傾向がありました。女子では96年アトランタ五輪の時は、全選考会を通じて最速のタイムを出した選手が落選。00年シドニー五輪の時は選考会で2時間22分台の好記録を出した選手が代表を逃し、ハイレベルな争いとして今でも語り草です。04年アテネ五輪の時は、過去の実績よりも選考会の内容重視に方針転換され、シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんが落選しました。



 ほぼ私の認識しているようなものでしたが、驚いたこともありました。
 それは、「国際陸連が設定した五輪参加標準記録A(男子2時間15分0秒、女子2時間37分0秒)突破者が対象」という事項です。
 マラソン以外の陸上競技では3人出場できる標準記録Aとひとりのみの標準記録Bがあり、かなり高い記録が設定されています(日本記録以上の種目もあります)。水泳(競泳)も標準記録が設定されており、これもレベルが高いです。
 これに比べると、マラソンの参加標準記録は非常に難易度が低いレベルです。マラソンが盛んな国の五輪を目指す選手にとっては、ないに等しい基準です。そもそも、この基準は日本ではなく国際陸連が定めたものなので、低く設定されています。と言っても、市民ランナーにとっては勲章モノのタイムではあります。

 この五輪参加標準記録とは別に、このくらいのタイムで走らないと選びませんよという目安の記録が内示されます。五輪前のマラソン事情によってその設定タイムは上下しますが、確か今回の代表選考の設定タイムは女子の場合は2時間26分以内だったと思います(中継中にこう言っていたように記憶していますが、確かではありません)。
 大阪国際女子マラソンでは、あまりタイムについては言及されていなかったようです。ただ、横浜の木崎選手の優勝タイム2時間26分32秒がひとつの目安となっていたようです。福士選手は22分台が代表当確ラインと考えていたようです。(当確ラインというのは、最低限の「目安のタイム」とは別で、このタイムで日本人最高なら間違いないというものです)

 さて、タイムはともかく、このページでは、「参加基準が2つある」としています。
 ひとつは、「世界選手権の日本選手最上位のメダリストを内定する」というもの。この場合の世界選手権は五輪前年の大会に限ります。有力選手の一人の尾崎選手の場合は、世界選手権で銀メダルを獲得していますが、ロンドン五輪の3年前なので、対象外です。
 また、前年にメダルを取っても日本人の最上位でなければ無効です。五輪前年の2003年のパリの世界陸上で千葉真子選手が銅メダルを獲得していますが、野口選手が銀メダルを取ったので、野口選手が代表内定となった。ちなみにこの大会、坂本直子選手も4位入賞しています。
 この基準は、主観の挟む余地がなくはっきりしています。しかし、この基準も混乱を招く事態を呼んでいます(後述)。

 二つ目の基準は、各選考会の上位選手を対象に「本大会で活躍が期待される競技者を代表選手とする」としています。
 これが、曖昧すぎて、毎回混乱や騒動や論議を呼んでいます。非常にあいまいな基準です。陸連は「基準」という言葉の意味を誤解していると思いたくなるようなモノです。もちろん、賢明な陸連が「基準」という言葉を誤認しているはずがなく、陸連が五輪で走って欲しい選手を選べるよう作った基準と言えます。
 この基準を読んで、スポーツに詳しい方なら、ある競技の選考基準を思い浮かべたと思います。そうです、柔道ですね。柔道については、私も過去に取り上げたことがあり、興味がおありでしたら「谷亮子、参議院選挙出馬表明と過去の五輪代表選考 考」もお読みください。
 五輪で勝てる選手を選びたい連盟、協会の思惑は推察できます。五輪でメダルを取れば、競技の人気が上がり、補助費や放映権料も有利に働きます。私のような者より、当の連盟や協会の関係者の方が、はるかに選手たちの努力を知っているので、本当はそういった努力に報われるような選考でありたいと思っているはずです。でも、そうはいかない事情もある……
 しかし、やはり、選手が納得できる基準、代表に選ばれるために努力したレース(試合)結果がそのまま反映する選考であるべきです。「選考会」ではなく「予選」でなければならないと思います。サッカーのワールドカップでも予選ですし、夏の甲子園大会も予選です。春の選抜大会での「選抜」も私は反対です)

 さて、玉虫色の選考基準なので、びわ湖マラソンで散った堀端選手を代表に選ぶことは可能です。と言っても、世論や他の関係者が納得しないので、選べないとは思いますが、堀端選手を代表に選んだら、私は尊敬します。
 この曖昧な基準も問題だと思いますが、そもそも、一発選考でなくしたのがまちがいで、そのため、いろいろな混乱を招いています。
 100m走でさえ、その競技条件は一定ではありません。風、気温などの気象条件、参加者の顔ぶれ、スターターとの呼吸、競技時間などレースを左右する条件は不安定です。これがマラソンだったら、諸条件による影響は更に拡大されます。レース展開によって大きくタイムは異なります。最近は、これを揃えるためペースメーカーを設けますが、ペースメーカーの巧拙もありますし、五輪本番ではペースメーカーはいないので、どんな状況にも対応できる力が必要なはずです。
 また、気温、風、コース(高低差など)、参加選手の顔ぶれなど、正直、違うレースを並べて評価できるはずがないのです。同じレースであっても、トップ集団でハイペースで走り続けた選手と第2集団で設定ペースで走った選手を「評価」で上下を付けるのは簡単ではありません。あるのは「勝ち負け」だけです。
 なので、選考レースというか予選は一発勝負の1レースのみで3位までを代表に選ぶのが、最も公平で、最もスッキリします。一昔前は、福岡国際マラソンのみが選考会でした。瀬古、宗兄弟、伊藤国光、喜多秀樹選手たちがしのぎを削った競り合いをした名勝負が思い出されます。後にそうでなくなった原因を瀬古選手が作ってしまったというのは皮肉です。
 瀬古選手が原因と書きましたが、それは後述するとして、もうひとつ、一発予選ではなくなった事情があります。マラソン人気が高まり、民間放送もマラソン中継に力を入れるようになり、東京国際マラソンが誕生しました。しかも、その人気ぶりは2つの民放が別々の「東京マラソン」を立ち上げたことからも窺えます。さすがにややこしく、運営や道路規制も大変ということで持ち回りになりました。
 民放としても「五輪選考会」という意義を持ちたいとなるのは当然の成り行きです。
 女子マラソンの場合は「東京」「大阪」「名古屋」と3大会あったのでちょうどよかった?のかもしれません。女子マラソン発足当時は、有力選手ンも少なかったので、代表は佐々木七恵、増田明美の2名でした。名古屋マラソンはそ五輪の後に誕生したのかもしれません。
 とにかく、表選考レース3つ、代表3人の図式が成り立っていたので、歪みは少なかったのですが、先述したように、「世界選手権の日本選手最上位のメダリストを内定」という基準を設けたので、それによる内定選手が出てしまうと、3レースで2人を選ばなくてはならず、選考レースに最高記録を出しても優勝できなかったと理由や、実力を天秤にかけて代表になれなかったという事態も起きました。極端な話、3レースとも日本選手が好記録で優勝しても、その内のひとりは代表になれないという事態が起こり得ます。
 さらに、アジア大会にも実力のある選手を派遣したいという事情から、アジア大会まで選考レースに加えてしまうという迷走ぶり。

 最後に過去の代表選考が混乱した事例をご紹介します。
『ニッカンスポーツ・コム』の「川内残った!混戦マラソン五輪争い」の記事にまとめられていたものです。

<過去の混乱選考>

 ◆はってでも 88年ソウル五輪男子代表をかけ、87年12月福岡国際が一発選考会とされたが瀬古利彦が故障欠場。中山竹通は「はってでも出てこい」というニュアンスの発言で波紋を呼ぶ。日本陸連の配慮で3月のびわ湖が選考会とされ、瀬古は優勝して代表に。

 ◆アピール会見 92年バルセロナ五輪女子代表争いは世界陸上4位の有森裕子と、大阪国際で有森のタイムを上回る2時間27分2秒を出した松野明美との争いに。松野は異例の記者会見で「私を代表に選んでください」とアピール。結局、有森が選ばれ銀メダル。

 ◆早期内定に疑問 00年シドニー五輪女子代表争いは、前年世界選手権で市橋有里が2時間27分2秒の銀メダルで内定。だが11月東京で山口衛里が優勝、1月大阪国際で弘山晴美が2位、3月名古屋国際で高橋尚子が優勝。選考レース3つで2時間22分台の好タイムが連発された。最後は弘山が涙をのみ、早期内定に批判の声も。



 陸連理事会は、努力した選手が納得するように、死ぬ気で選考していただきたいです。そして、今後、選考レースは止めて、一発予選にしていただきたいです。それが無理なら、選手が努力するに足りる明確な基準を設けてただきたいです。

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『相棒season10』 第18話 「守るべきもの」

2012-03-09 00:16:07 | ドラマ・映画
 「守るべきもの」というタイトルだったが、警護の対象となった男は、最低の人間だった。

 普段と違う2つの事から、射殺された警備会社の土方(合田雅吏)の人物像が浮かんできた。
 さらに、焦点となったのは、
・SPの仕事が怖くなって退職した土方が、警護の仕事をしているのは何故か?
・SPも民間の警護も仕事内容は同じ、違いは何か?
信頼関係が結べない対象者の警護は出来ないという土方の信条だった。

 事件の真相は、研究費の使い込みを隠ぺいしようとした所長が計画した狂言襲撃だった。襲撃されたことで、研究を中止する理由ができるというまるで小学生が宿題を忘れた時の言い訳のような発想
 さらに、警護対象者の泊(今井朋彦)も研究成果を上げることができず、自分の保身ばかりを考え、命を張って守ってくれた有能な土方を、「逃げた」と証言する最低な奴だった。
 これでは、土方も浮かばれない。警護対象者を選択するため民間に移ったというのに、皮肉でやるせない死の真相だった。

★どうでもいい突っ込み・感想
・脅迫状まで送りつけられた対象者なのに、警護はたった一人なの?
・ミスリードのための胡散臭いNPO法人(名前も日本丸って)の代表・三橋(手塚とおる)、篠井英介さんと生瀬勝久さんを足して2で割り、バタ臭さを加えたようなキャラだった。「記憶にありません」とかとぼけるし。
 それにしてもこのふざけたNPO法人、まじめに活動しているNPO法人の方が見たら、激怒しそうだ。


【ストーリー】(番組サイトより)
民間警備会社の土方(合田雅吏)が銃弾を受けて死亡した。
土方は、ある研究をしている学者・泊(今井朋彦)を警護している最中だった。
尊(及川光博)と警察学校で同期だった土方は、閣僚警護の経験もあったが「SPという仕事に恐怖を感じるようになり警察を辞めた」と言われていた。その土方が民間の警備会社に入り、再び警護の仕事についていたことに、尊は違和感を感じる。
米沢(六角精児)によると、銃撃は2発。防犯カメラの映像には土方が1発目の狙撃の後、逃げ出すように走り出す姿が残されており、2発目が命中した。一緒に居た泊も、土方が逃げ出したと証言しているという。
泊は事件前に「研究を中止せよ」という脅迫状を受け取っていたらしいが、命を狙われるほどの研究とは一体どんなものだったのか?
興味を抱いた右京(水谷豊)は尊とともに調べ始める。

土方は本当にSPの仕事が怖くなって辞めたのか?
なぜ土方は銃撃されたとき逃げ出したのか?
疑問が膨んでいく中、土方が命を落とすことになった背景に意外な事実が隠されていたことがわかる…


ゲスト:今井朋彦 合田雅吏 手塚とおる
脚本:ハセベバクシンオー 監督:近藤俊明
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『ストロベリーナイト』 第9話「ソウルケイジ」

2012-03-08 19:31:54 | ドラマ・映画
 今回のテーマは「親子愛」というところか?(全編を見ていないので、まだ断定できません)
姫川親子……過去の強 姦事件で傷つき、それまでの玲子(竹内結子)は死に、新しく生まれ変わった玲子。しかし、無理やりに生まれ変わったせいか、両親には過去の玲子との違いに戸惑い、腫れ物に触るように扱ってしまう。玲子はその両親が、自分が傷物になったからではないかと思い、その両親の態度に苛立ちを感じてしまうようだ。

三島親子……父・忠治(近江谷太朗)は満足に食事もさせてやれないことのやるせなさ、情けなさに憤る。せめて、施設に保護されるよう虐待を明らかにするため、顔を殴ろうとするが、できずに抱きしめる。借金返済のため、事故死を装い、自ら命を絶つ?

高岡賢一・三島耕介……忠治に託された?耕介を引き取り、父親以上の愛情を注ぐ

 その他、日下守(遠藤憲一)も家庭に問題を抱えているらしい。

 これらの人間模様、なかなか見ごたえがあり、サスペンスを抜きでも面白かった。
 事件は田嶋組の保険金詐欺が絡んでいるらしいが、高岡賢一(石黒賢)の真意が見えない。耕介(濱田岳)や中川美智子(蓮佛美沙子)も何か隠している様子。
 いい具合に謎を残し次回に続く。来週が楽しみ。

一応、事件の焦点、疑問点を列記しておきます。
①現・高岡(石黒賢)の正体は?(今後、「高岡」と表記
②高岡は、なぜ高岡に成り代わったのか?
③高岡と耕介は何をもめていたのか?
④死んだのは、本当に高岡なのか?
  「血液型やDNAが一致した」というのは、左手首と血液・血痕が一致したというだけで、高岡のモノと一致したわけではない
⑤なぜ、左手首を切断したのか?
⑥高岡は、忠治の死に関与していたのか?
⑦高岡が耕介を引き取った理由は?
⑧忠治の死の後、耕介に香典を渡していた男の正体は?
⑨現場付近のホームレスは事件に関与しているのか?
⑩耕介や中川美智子は何を知っていて、何を隠しているのか?


【気になった台詞】
「まずいとこ来ちゃったんだ…」
 玲子と菊田(西島秀俊)のお邪魔虫状態だったことに気づいた湯田(丸山隆平)が呟いた言葉だが、湯田のリアクションが面白かった。

「いらね」
 日下に耕介の聴取を取られ、居酒屋で荒れる玲子に、井岡(生瀬勝久)が差し出す皿を見て、即座に拒否。玲子の言い方も面白かったが、そっと皿を引っ込める井岡。引っ込めるのかよ。

「おかえりなさい」
 両親に冷たい態度を取ってしまう自分に嫌気をさし落ち込んでマンションに帰ってきた玲子に、菊田の一言。
 気の利いた言葉が見つからなかったか、照れ隠しからのボケかと思ったら、菊田らしい優しい言葉だったのね。

「私がいつ、ガンテツの真似なんかしたのよ」
 情報が欲しくて、日下に釜を掛けた玲子に「ガンテツのまねか」と言われ、切れた玲子の言葉。
 この言葉が、先週の予告編に使われたが、予告編用の台詞だったようだ。


【ストーリー】(番組サイトより)
多摩川土手の路上に放置された軽自動車の下から、ビニール袋に入った血まみれの左手首が発見された。姫川玲子(竹内結子)や日下守(遠藤憲一)たち捜査一課の刑事たちは捜査本部が置かれる所轄署に赴く。玲子は日下との合同捜査は避けたいのだが、今泉春男係長(高嶋政宏)に両班体制を命じられたのだ。また、所轄には昇進で転属となった井岡博満(生瀬勝久)の姿もあった。

左手首の持ち主は、大工工事の請負業を営む高岡賢一(石黒賢)のものと判明。今泉は従業員の三島耕介(濱田岳)が工務店のガレージに大量の血液を発見し通報してから、手首発見までの経緯を説明する。ガレージに残された出血量が致死量を超えていることなどから高岡が殺害された可能性を考慮して死体損壊遺棄事件と認定されたのだ。

早速、手首発見現場周辺などを捜査するが手がかりは見つからない。橋爪俊介管理官(渡辺いっけい)は、耕介の事情聴取を指示。玲子が名乗りをあげるが、耕介の聴取は日下に奪われてしまう。そして、玲子は耕介の交際相手、中川美智子(蓮佛美沙子)の聴取担当に回された。


姫川班の飲み会。耕介の聴取がしたかったとボヤく玲子の携帯に父の忠幸(大和田獏)から母の瑞江(手塚理美)が倒れたと連絡が入る。病院に駆けつける玲子だが、長く留まることは出来なかった。

次の日、玲子は井岡と美智子のアパートへ。聴取を始めると外で大きな物音がする。近隣の言い争いだったが、玲子は美智子がおびえる様子を見逃さなかった。一方、手首発見の状況を耕介から聞いた日下は、美智子との交際に話を向ける。すると、なぜか耕介は苛立ち始めた。

玲子は井岡と高岡の過去を調べる。かつて高岡の実家があった周囲で聞き込みをする玲子たち。すると、高岡が中林建設に勤務していたことを否定する人物が現れた。高岡の実家は地上げに伴う酷い嫌がらせに遭い、そのバックに中林建設があったのだ。疲弊した高岡の母親は、ついに自殺したと言う。


捜査会議で日下は13年前に建設現場で事故死した耕介の父、忠治(近江谷太朗)に保険金詐欺の疑惑があると報告。中林建設は田嶋組のフロント企業。日下は田嶋組が保険金詐欺に関わっていて、忠治がその犠牲者だと続ける。忠治が勤めていた中林建設の下請け会社、木下興業の名を日下が話した時、玲子が反応する。美智子の父も木下興業に勤めていて、忠治と同じように作業現場で転落死していたのだ。日下は、他にも木下興業の職人が転落死していることを調べていた。また、忠治が事故死した時、最後に一緒にいたのが高岡だとの証言も得ていた。

父を殺された耕介に高岡殺害の動機は充分あるように思える。しかし、玲子にはなぜ高岡が耕介を我が子のように育てたのかが分からない。もし、罪滅ぼしのためだとしたら、そんな思いに至る人物がなぜ中林建設に入ったのか…。

玲子は井岡が探した高岡の幼なじみと会う。すると、高岡の写真を見た幼なじみは、別人だと言い出した。
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Wリーグ ファイナル  ~JX、気力の勝利~

2012-03-07 23:01:14 | スポーツ
 JXの気力の勝利だった。
 第3戦の完敗、大神、渡嘉敷の故障欠場、出場している選手も完調ではない。もちろん、体調管理も勝負の内なので、それを言い訳には出来ないのは、当のチームが一番自覚している。
 第3戦の完敗は、トヨタにゴール下を支配され、リバウンドを取れなかったことが要因だったが、そうなってしまったのは、疲労からの身体の切れがなく、ゴール下の競り合いだけでなく、オフェンス、ディフェンス共に後手に回ってしまったことにある。疲労状況を考慮すると、第4戦を落とすのは許されない状況と思われた。

 トヨタは思い切った作戦を取ってきた。第3戦のスターティングメンバーの久手堅、川原、小池、森、天津が機能していたので、このメンバーでスタートするのが常道と見るが、JXも対応してくるとの読んだのであろう。久手堅、川原、小池、池田、冨崎でスタート。
JXにとっては、有り難いような布陣だが、意表をつかれたのではないだろうか。特に、冨崎は想定外だったはず。主力温存の意も感じ、疲労が大きいJXは嫌な感じだ。
 これが功を奏したのか、トヨタペースの序盤だった。さらに驚かされる作戦をトヨタの丁 海鎰ヘッドコーチが取った。5人全員交代だ。金原、藤井、鈴木、矢野、森がコートに。こうして見ると、改めてトヨタの層の厚さを感じる。
 さらにその3分半後、再び全員交代でスターティングメンバーに戻す。コート上の戦力が多少落ちても、それを動きでカバーするという作戦なのだろう。リバウンドを頑張れば点差をつけられることはないし、交代で吉田をマークすれば吉田の疲労度も増す。JXの疲労を感じていた私は非常に不安になった。
 問題は、普段からこのメンバーで練習をしているかだが、どうなのだろう?ギャンブルにも思えるが、先述のリバウンドとスタミナ(特に吉田つぶしの狙い)重視の策だとしたら、有り得る作戦かもしれない。

 対するJXのスターティングメンバーは吉田、新原、田中、木林、諏訪。内海ヘッドコーチの第3戦の反省で「第3戦で木林を3番で使ったが、本来は4番の選手なので自分のリズムがつかめず流れが悪くなってしまった」ということから、新原を入れ修正した。
 しかし、私の新原の評価は低い。ボールキープ力は高くなく、アシストパスも少ない。ミドル、ロングシュートもなく、虚を突くドライブシュートがあるぐらい。吉田と同時に使うと、新原にボールが渡っても、結局、吉田に渡してしまうことが多い。吉田の負担を減らせず、タイムのロスをするだけだ。練習では大神や吉田を相手にすることが多いらしいので、それなりの能力はあるはずだが、あの二人を相手にすると自信を失くしてしまうのかもしれない。時々、何本かのパス回しの後、やや離れた位置でほぼフリーで新原がパスを受けることがある。ここでシュート打たないとパスを回した意味がなくなると思うのだが、パスを回してしまうことが多い。
 吉田の負担軽減という目的なら(内海ヘッドコーチは別の狙いだった)、吉田を下げて新原一人に任すべき。やや荷が重いと思うが、残りメンバーを間宮、諏訪、木林と中を強くしてゴール下で勝負、または中にボールを入れてディフェンスを小さくして、田中の3ポイントといったオフェンスではダメだろうか?

 それはともかく、第1クォーターはJXが困惑したのか、3連続ターンオーバー(吉田2本)の得点が止まり2-7。一旦、残り6分の時点で8-9と1点差に迫るが、そこから4分間無得点(8-13)とトヨタペース。
 この間、本田と寺田をコートに入れ吉田、木林、諏訪のメンバー。ここまでほとんど使われなかった二人だが、動きの良いふたりを入れたことで、ディフェンス、オフェンスがともに機能するようになったことで、完全にトヨタにペースを渡さなかったことが大きかった。特に、残り2分弱、第1Q終了直前に寺田のシュートが決まったのがこのゲームのポイントだったかもしれない(寺田が乗ってしまった)。
 とにかく第1クォーターを1点差で終えたのは上出来だった。運が良かったと言っても良いだろう。

 第2クォーター、トヨタは久手堅、川原、鈴木、矢野、池田と通常メンバーに戻す。素人目線だが、第1Q同様の作戦ではなく、ホッとした。後半のスタミナ勝負なら、第1Qだけというのは中途半端ではないのか。
 第2Qの序盤は、木林、間宮が得点を入れ、JX本来のオフェンスも機能し、点数の上でもペースもJXに傾いた。更に、寺田や田中も当たりだしオフェンスの展開にも余裕が出てきた。
 トヨタも川原、矢野を中心にそれぞれが点を入れ対抗するが33-39と6点差をつけられ前半終了。

 第3クォーターも一進一退の攻防が続くが、残り3分弱で58-47とJXが11点差をつける。トヨタも踏ん張り、第3Qを51-59で終了。ここまで、JXは間宮16点、寺田14点、木林10点、やはり寺田の14点が大きい。
 トヨタも頑張るが、寺田が想定外で、ターンオーバーも予定外だった。(このクォーター、矢野と天津が3本)

 第4クォーターもJXペース。残り7分40秒で64-55。ここからトヨタが意地を見せ、残り4分16秒で64-65と1点差に迫る。この間は川原の3ポイントシュートもあったが、森の活躍が目立った(4点、1ブロック、1スティール)。もっと使えばいいのに。
 JXは9点リード(残り7分40秒)で吉田を下げ新原を入れ、残り6分22秒(5点差)で吉田を戻す(田中と交代)したが、流れを変えられず残り4分56秒でタイムアウト(タイムアウト明けに新原を田中にチェンジ)。
 やはり吉田・新原のコンビは機能しない。それに吉田の疲労が大きそう。
 しかし、1点差に詰め寄られて、JXが気力を振り絞る。特に、吉田の闘志に火がつき、ドライブインシュートを2本。特に、2本目は執念でねじ込んだシュートは凄かった。2本目のシュートの前に2本のオフェンスリバウンドをJXに取られたのも大きく、このプレーでトヨタがしぼんでしまった。
 結局、77-66でJXが勝ち4連覇を達成した。

 それにしても、残り4分でなぜ矢野を引っ込めたのだろうか。ここで矢野を使ってのトヨタではないのか?直前の矢野のファールが気に入らなかったのだろうか?何かヘッドコーチの指示を無視したのだろうか?不可解なベンチワークだった。

 JXは苦しいシリーズだったが、控え選手を含めたチーム力、精神力の勝利だった。今後の課題というか、私の注文だが、新原を鍛えるか(新原さん、ごめんなさい)、シューティングガードの育成をして欲しい。田中や寺田はロングシュートを決めるが、ガードポジションはできない。かつての大山、桜庭タイプの選手の必要性を感じた。
 大神、吉田は、どちらがポイントガードをしても機能するが、ひとりになるとシューティングガードが必要になる。(チーム力が高いと必要がないと思うが)
 個人的には、どちらかが移籍して、大神×吉田というマッチアップも観たい気がするが、JXファンとしては困る。
 今シリーズ、更に吉田選手のファンになった。


【どうでもいい追伸】
試合後の田中選手のインタビューで
「第3戦で負けて、ミーティングで今日は死ぬ気で頑張ろうと、話した。全員バスケットで勝つことができた。今日負けていたら、みんなをビンタするつもりだった。勝てて本当に良かった」

 田中選手になら、ビンタされたいなあ……(決してマゾじゃありませんよ)
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志の高さ故の失敗 ~びわ湖毎日マラソン~

2012-03-06 23:52:25 | スポーツ
 ドラマチックなレースだった。
 中本選手が五輪代表最有力の堀端選手を38キロ手前で捉え、快調に抜き去った時点では、誰もが中本選手の日本人トップでのゴールインを思い浮かべたはず。おそらく、当の中本選手もそう思ったことだろう。
 ところが、後方から山本選手が追い上げ、堀端選手を抜き日本人2番手に上がっていた堀口選手を40キロ手前で抜き、ぐんぐん中本選手に迫ってきた。そして、競技場付近でほぼ追いつき、トラック(ゴールまで400m地点)で抜き去ってしまった。
 中本選手にしてみれば、五輪最有力の堀端選手を後方に追いやった時点で、日本人トップを確信し、夢のような気持ちでゴールを目指していたのではないだろうか。その気持ちが、走りに緩みを招き、山本選手の追撃を許してしまった。悔やまれる心の緩みで、せめて、山本選手の追走にもう少し早く気づいてピッチを上げていれば、逆転されることはなかったのにという悔いも合わさって、後悔が渦を巻いていたことだろう。

 さて、今回、五輪代表の最有力と目されていた堀端選手であるが、実力的には今大会の参加選手のみならず、現在の日本人ランナーのトップと考えられている。普通の状況で走れば、10回に8回は日本人トップでゴールできるのではないだろうか。
 しかし、現実の選考レースでは敗れてしまった。そう今回は普通ではなかった。では、その普通ではない状況とは?

①五輪代表選考レースで精神的負荷が大きかった
②コース状況が窮屈
 まず、全体的に道幅が狭く、接触による転倒が起こっても不思議でないくらい道幅が狭い箇所が多かった。給水地点も窮屈で、大集団の場合、物理的に給水が不可能な選手の割合はかなり高かった。
 東京マラソンと比較して見たが、テーブルも狭く、テーブル間の距離も短いので、よほど気を張らないと自分の給水ボトルを取るのは難しそうだ。
 さらに、5キロで58人、10キロで55人、15キロで50人、20キロでも42人と大集団で経過し、給水の難しさや窮屈な走りを強いられた。
(東京マラソンは、藤原選手を含む日本人選手が入っていた第2集団は約40人とやや少なく、道幅は充分広かった。この第2集団というのもミソで、第2集団は先頭集団と違いペースの上げ下げが少ない。第1集団はペースメーカーがいるものの、そのペースメーカーのペースがあやふやだったり、余力のある選手がペースを意識的に上げたり、煽ったりする
③気象条件の悪さ
 終始、気温は6~8℃と低く、雨も降り、体が冷えやすい条件だった。風が弱かったのは不幸中の幸い。

②③と悪条件ではあったが、極寒や猛暑や強風に比べれば許容範囲で、覚悟の上だろう。問題は…
④過酷なペース
 5キロ15分を少しだけ下回るペース(25キロは1時間15分23秒)は気象条件を考えると、ややきついペースだったかもしれない。そして、ペースメーカーが離脱した25キロと同時に、ナンバーカード1(第1シード)のマンザ選手(ケニア)が一気にペースを上げ、その上、25.5キロでナンバーカード2のダバ選手(エチオピア)がスパートし、やや集団から抜け出す。25キロからの1キロをダバ選手は2分51秒のハイペースだった。
結局、ダバ選手は28キロでペースが落ち8人の集団となる。
 この動きに、日本人選手の中では堀端選手が最も敏速にに反応した。本番の五輪を見据え、世界のトップランナーに伍して戦うには、こういったペース変化やスパートに即座に対応する力がないといけない。きつく感じていたはずだが、そういう思いがあったのだろう、積極的にトップ選手を追って走った。(他に積極的にトップを追いかけた日本人選手は林選手ぐらいで他の日本人選手は無理に追わず、26.8キロでやや離れ始めた)
 そして、更なる出来事が彼を襲う。出岐選手である。出来選手は初マラソン、25キロ過ぎのスパートには敏感には中本選手、山本選手、堀口選手、森田選手らが形成した第3集団の最後尾に位置したが、行けると判断したのだろうペースを上げ、27.7キロで第2集団に追い付き、さらに前を追おうとしたのだ。
 この出岐選手を見た堀端選手に動揺が走る。2度以上は俗に言う「ガン見」した。その上、出岐選手が集団を引っ張りほんの少しペースが上がり、さらにダバ選手を吸収した後、先頭に立った。これに、相当きつく感じていた堀端選手が更に動揺。もしかしたら、走りに余分な力が入ってしまったのかもしれない。
 この30キロまでの5キロを14分51秒、第2集団(日本人グループ)は15秒ほど遅れる。31キロでドゥング選手がスパート(ケニア)、堀端選手らが必死についていこうとするが(出岐選手はあっさり後退)、徐々に離され、集団も解体していく。堀端選手もゾスト選手(ポーランド)ダグラフェ選手(モロッコ)らにも置いていかれダバ選手と5位争い。それでも、33キロ付近で出岐選手に10秒差、日本人選手グループには30秒近く差をつけていた。
 しかし、ここまでの無理や悪条件が、堀端選手を余分に消耗させてしまった。

 世界で戦うには、スピードの変化にも即座に対応しなければならない。その志の高さが、3度のペースアップに積極的に反応した。他の日本人選手は、無理についていこうとせずペースを守った。26キロから33キロまで、堀端選手と後続集団のペースの差は30秒程度であったが、その消耗度はそのタイム差をはるかに超えるものだったのではないか。さらに、25キロ過ぎの5キロ14分50秒と15分05秒のペースは15秒の違いだが、14分台のペースというのはそれ以上の厳しさのはずだ。
 堀端選手の志が高くなければ、このレース、日本人トップ、悪くても2位にはなったはずだ。また、志の高いレースに徹したとしても、せめて気象条件が良ければこういう結果にならなかったように思う。
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『平清盛』 第9話「ふたりのはみだし者」

2012-03-05 17:11:43 | ドラマ・映画
 テーマは血の因縁
 ふたりのはみ出し者、清盛(松山ケンイチ)と雅仁親王(松田翔太)、このふたりもライバルとなるらしいが、義朝(玉木宏)や頼長(山本耕史)とは違い、白河法皇がらみの血の因縁が絡んでいる。
 鳥羽上皇(三上博史)、崇徳天皇(井浦新)との複雑な親子・兄弟関係に抗しようともがく雅仁親王は、無頼者を気取った清盛と重なる。
 また、得子(松雪泰子)が産んだ鳥羽上皇の皇子と清盛の子・清太のその祝いの宴は、対照的なものだった。皇子の誕生を祝う宴は、血の因縁や権力争いのドロドロとした怨念が渦巻く場で、清太の宴は、心からその誕生を祝うモノであった。(弟・家盛(大東駿介)と清盛は和やかに酒をくみかわしていて、素直な弟君のままでホッとした)

 それにしても、雅仁親王の不埒な言動に触発され、得子(松雪泰子)や璋子(檀れい)が、心の膿を吐き出し、それがカマイタチのような真空波動となり、それぞれが傷つくが、その中でも鳥羽上皇はそのすべての真空派を浴びてしまう。グハッ……
 その中で、佐藤義清(藤木直人)は、近ごろの崇徳帝の苦悩ぶりを気に病み、帝を救うためにも、帝の母である待賢門院璋子の目をさまさせようと苦心する。決死の歌詠みだったが、秋山、いえ、雅仁親王の乱入でかき消されてしまった…
 それでも、その想いが璋子の心に響いた模様。
でも、次回のタイトル「義清散る」って、何……

 清盛も雅仁親王と双六で相見えるが、子どもを賭けて勝負するなんて、その場できっぱり断れよ!そろそろ、かっこいいところを見せないと。これまでは、明子へのプロポーズぐらいか。
 負けそうになって、盤をひっくり返す雅仁親王もかっこ悪いぞ。


 雅仁親王の登場は面白かったが、しばらく沈静化していた、清盛の白川法皇の血縁のドロドロ話が再燃。
 個人的には、もういいよという感じ。それより、貴族から武士の世に代わる激動の時代。その時代の背景(武士の起こり、貴族の没落、庶民の暮らしぶりなど)や世相などが少しも語られなく、登場人物は多いが、その中で回っているだけなので、舞台が狭く感じられる。
 今回の『平清盛』は面白いが、少し辟易してきた。



 そのころ、ひとり(あ、ふたりか)、義朝は東国で木登りの稽古。まあ、筋力の鍛錬や、先読みの訓練には役立ちそうだが、傍目には哀愁を感じてしまう。せめて、剣術の鍛錬にして欲しい。
 とはいえ、相模国の三浦一族が助力を求められ、復興の気配が。

 番組のサイトのあらすじが便利なので、何気なく引用させていただいていますが、よく読むと、少し変。
「そのころ東国の山中で暮らしている源義朝(玉木宏)のもとに相模国の三浦一族が助けを求め、義朝は助ける代わりに自分に従うことを誓わせた。義朝も来るべき世に備え、着々と力を蓄えていた」

・「山中で暮らす」って、かなり悲しい状況。「ぱっと観」は山賊みたいだった。
・「着々と力を蓄えていた」って、そうなの?


☆今週のその他
 久々の登場の祇園女御(松田聖子)が、「亡き白河法皇のまき散らした災いの種が芽吹いていることを告げ、清盛が昔よく遊んだ双六(すごろく)を例にだし、サイコロの目次第では出遅れた者が勝ち上がることもある」と予見や脅威君めいたことを告げるが、「あんた今までどこにいたの?」と問いたい。
 それに、災いが芽吹くと予言して、自分は都を去るのか……。


【ストーリー】(番組サイトより)
 1138年、平清盛(松山ケンイチ)と妻・明子(加藤あい)の間に長男・清太(のちの重盛)が生まれた。祝宴でにぎわう清盛邸にかけつけた弟・家盛(大東駿介)と清盛は和やかに酒をくみかわし、改めて兄弟愛を確かめる。
 一方朝廷内では、待賢門院璋子(檀れい)の産んだ皇子たちの間に深い溝ができていた。父・鳥羽上皇(三上博史)に疎まれ続け、子もいない崇徳天皇(井浦新)は孤独感にさいなまれていた。それを横目に、弟・雅仁親王(松田翔太)は、賭場をうろついたり今様に熱中したりと、気ままな毎日を過ごしていた。いずれ雅仁が帝になるとみて乳父になった高階通憲(阿部サダヲ)とその妻・朝子(浅香唯)は、そんな雅仁の奔放さに振り回されるばかり。
 ある日、亡き白河法皇に愛された祇園女御(松田聖子)は清盛邸を訪ねた。清盛を幼い時からかわいがっていた祇園女御は感慨深く清盛の赤子を抱いた後、亡き白河法皇のまき散らしたわざわいの種が芽吹いていることを告げ、清盛が昔よく遊んだ双六(すごろく)を例にだし、サイコロの目次第では出遅れた者が勝ち上がることもある、と世の動きを予見した。
 そのころ東国の山中で暮らしている源義朝(玉木宏)のもとに相模国の三浦一族が助けを求め、義朝は助ける代わりに自分に従うことを誓わせた。義朝も来るべき世に備え、着々と力を蓄えていた。一方、佐藤義清(藤木直人)は、近ごろの崇徳帝の苦悩ぶりを気に病み、帝を救うためにも、帝の母である待賢門院璋子の目をさまさせなければと、静かに決意を固めていた。
 そして朝廷の均衡を破る出来事が起こる。得子(松雪泰子)が鳥羽上皇の皇子を産んだのだ。皇位継承の順位を揺るがす一大事であった。鳥羽院御所では男児の誕生を祝う宴会が開かれ、そこには鳥羽上皇、得子、待賢門院璋子や藤原摂関家らのほか、清盛や義清も出席していた。得子から祝いの歌を詠むよう求められた義清は、この場にいない崇徳天皇の歌を詠んだ。弟の誕生も祝うことができない崇徳帝の気持ちを代弁したのだ。
 宴席に緊張が走ったそのとき、雅仁親王が笑い声とともに宴会に乱入、そして赤子の頬をつねって泣かせてしまう。父・鳥羽院がたわむれをしかると、雅仁は鳥羽院や母・待賢門院、得子との愛憎にまみれ、権力欲に駆られた王家の乱れた様をあげつらう。
 怒った得子は自分が皇子を産んだのは権力欲ではなく、上皇を傷つけた待賢門院に思い知らせたいのだと反論。待賢門院は自分には人を愛する気持ちがわからず、白河法皇の言うままにしただけと涙をながす。この一部始終を見ていた清盛は、朝廷内の乱れた政に改めて失望する。
 宴席の後、傷心の待賢門院をたずねた義清は、愛する気持ちがあなたにもあるはずといい、抱きしめる。待賢門院はとまどいながらも身をゆだねる。
 飛び出していった雅仁親王を探していた清盛はばくち場で身ぐるみはがされた親王を発見、清盛邸に連れて行く。雅仁親王はそこで双六遊びせよと誘う。清盛は乗り気がしないままサイコロを振ると、雅仁は自分が勝てば清盛の子・清太をもらうという。清盛は勝負を拒否できないまま勝負を続けるが、不利な状況に追い込まれる。
 すると、清太が双六の邪魔に入り、そのお陰で清盛の勝利で終わると、腹を立てた雅仁は双六盤を清太に振り上げた。雅仁は必死に止める清盛に、親子の絆などもろいものだと言い捨て盤を捨てる。清盛は、平家は王家とは違うと反論するが、雅仁は清盛にも入っている白河法皇の血がいずれ騒ぎだすはずと言い放つ。長きにわたるふたりの双六遊びは、まだ始まったばかりだった。
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2012将棋界の一番長い日(A級順位戦最終日)

2012-03-04 15:03:01 | 将棋
2003年度 島 八段 青野九段 (森内九段、久保八段)
2004年度 深浦朝日 高橋九段 (羽生王座、鈴木八段)
2005年度 鈴木八段 森下九段 (谷川九段、三浦八段)
2006年度 深浦八段 阿部八段 (郷田九段、三浦八段)
2007年度 久保八段 行方八段 (羽生二冠、佐藤二冠)
2008年度 鈴木八段 深浦王位 (郷田九段、三浦八段)
2009年度 井上八段 佐藤九段 (三浦八段、藤井九段)
2010年度 木村八段 藤井九段 (森内九段、久保二冠)
2011年度 丸山九段 久保二冠 (羽生二冠、高橋九段)

 最近のA級順位戦の結果である。先頭二人は降級者で、その左側、例えば2011年度の丸山九段はリーグ戦成績は九位、右側の久保二冠は十位。括弧内を理解出来た方は、かなりの通。左側は名人挑戦者、右側は成績八位者である。
 2003年度の森内九段は9戦全勝で挑戦権を獲得し、羽生名人を破って名人位に就いている。
 運が悪いのは深浦九段。2004年度、2006年度は4勝5敗、2008年度も3勝6敗で陥落している。B1からの昇級者は9位、10位からのスタートというハンディを抱えているのが辛いところで、新参加→降級というパターンは多い。(失礼ながら、実力的にA級昇級が精一杯という棋士もおられた)9年間延べ18人の降級者のうち9人が新参加の棋士だった。
 深浦九段にしてみれば、今期の高橋九段の2勝7敗での残留は、「なんなんだ」と言いたいところだろう。
 逆に勝負強いのが、三浦八段。上記のように成績八位が3度、2004年度、2010年度も最終局に勝って残留(敗れていたら降級)を決めている。このように書くと、三浦八段はいつも残留争いをしているように思われるが、2007年度は2位、2009年度は名人挑戦者になっている。
 あと、印象深いのが、2007年度。谷川九段と佐藤九段が出だしから4連敗。佐藤九段に至っては6連敗まで連敗街道まっしぐら。そこから3連勝で奇跡の残留。谷川九段も3勝6敗で残留。
 この2年後の2009年度に、今度は佐藤九段と藤井九段が4連敗。その後、同様に6連敗まで連敗を伸ばした佐藤九段、今度は8戦目に藤井九段に敗れたのが響き2勝7敗で降級。藤井九段は3勝6敗で残留している。
 挑戦争いがハイレベルだったのは、2005年度。羽生四冠と谷川九段が8勝1敗で並び、プレーオフで谷川九段が挑戦権を獲得している。名人戦は4-2で森内名人が防衛。羽生四冠は、初戦の丸山戦を落とし、その後8連勝したが、報われなかった。

 それにしても、改めて降級者の顔ぶれを見ると、A級に残留するのが何と大変なことか。今年度は特にその感が強い。
 棋王、王将を保持している久保二冠に常に安定した成績の丸山九段が降級とは。丸山九段は2003年度から振り返ってみても、5勝4敗(4位)、4勝5敗(6位)、4勝5敗(5位)、※4勝5敗(5位)、6勝3敗(4位)、5勝4敗(4位)、5勝4敗(4位)、4勝5敗(6位)と、※の2006年度は負けると降級、昨年は負けると降級の可能性があったが、ほとんど最終局は残留安泰の状況で、丸山九段とA級陥落は全く結び付けて考えられなかった。
 高橋九段は徹底している。先手でも敢えて横歩を取らせ、もはや、横歩取り戦法のスペシャリストと言って良いであろう。徹底して横歩取りを指し、その研究と経験で対抗しようとしている。順位戦はあらかじめ先後が決まっているので、研究もしやすいのも大きい。


 さて、今期の最終日は、いまひとつ……いまふたつ盛り上がりに欠けた。
 深夜の部の中継開始が午前0時と遅かったこともあるが、中継開始直後には5局中4局が終局で、結果的に大差の将棋が多かった。

▲羽生二冠①(9勝0敗)-△郷田九段④(4勝5敗)
 対戦成績は2001年以降、羽生二冠の19勝9敗、羽生二冠の5連勝中。
 郷田九段が意表の一手損角換わり腰掛け銀を採用。未知の難しい局面が続いたが、悪路を安定した走行を続ける羽生二冠に対し、少しずつ走行にぶれを生じ、タイヤや制動装置やエンジンなどを消耗していき追いつけなくなるという、今期の羽生二冠の将棋を象徴する勝ち方で、終わってみれば完勝だった。

△渡辺竜王②(7勝2敗)-▲佐藤九段⑨(4勝5敗)
 対戦成績は2001年以降、渡辺竜王の11勝17敗。最近は渡辺竜王が若干押し気味であったが、直近は佐藤九段が5連勝中。
 角交換向かい飛車で、佐藤九段が新手を繰り出したが、その新趣向自体にやや無理があったらしく、どんどん苦しくなっていった。渡辺竜王は、冷静に対応し、危なげない将棋で完勝。

△屋敷九段⑩(5勝4敗)-▲三浦八段⑤(5勝4敗)
 対戦成績は2001年以降、屋敷九段のの4勝3敗。最近は屋敷九段のの4勝1敗。
 横歩取り戦。後手の屋敷九段が、早々に飛車を5四に配置する新手。その後も、左銀を2五まで出動させる意欲的な指し方を見せるが、これが無理な動きだったようで、これに冷静に対応した三浦八段の快勝となった。

△谷川九段⑦(5勝4敗)-▲高橋九段③(2勝7敗)
 対戦成績は2001年以降、谷川九段の3勝3敗(3連勝3連敗)。
 BS中継によると、順位戦ではかなり高橋九段の分が良いとのこと。やはり、あらかじめ先後が決まっていることが大きいか?
 高橋九段が先手ながらも横歩を取らせる戦法。高橋九段は後手を持って横歩取り(取らせ)戦法を多用している。後手良と見ているか、相手が間違えやすいと見ているのかは不明だが、後手番よりも一手多く指せる(本局の場合は▲9六歩)分だけ、通常の後手番より得だという理論だろう。
 将棋は中盤、後手の右翼の弱点をうまく突いた高橋九段が駒損ながらも飛車を成り込み優位に立つ。谷川九段も龍を作らせたものの、被害を最小限にとどめ(先手に駒を与えない)、反撃に転じ追い込む。かなり難しいところまで追い込んだが、際どい所で高橋九段の正確な指し手を続け、勝ち切った。
 谷川九段の追い込みは流石だと思うが、詰め寄った局面での指し方が順当で、相手が間違えにくい気がした。羽生二冠の死角から飛んでくるような勝負手や、佐藤九段の迫力、渡辺竜王のすぐには負けない指し手からの強弱を付けた指し回し、広瀬七段の正確な距離感に基づいた指し手などのように、谷川九段の敗局は怖さを感じないのが物足りなく感じてしまう。

△久保二冠⑧(2勝7敗)-▲丸山九段⑥(2勝7敗)
 対戦成績は2001年以降、久保二冠の15勝14敗。
 久保二冠のゴキゲン中飛車で相穴熊戦。
 中盤、丸山九段が優位に立つも、久保二冠もあれこれ勝負手を放つ。一瞬、勝負になったと久保二冠自身も思った局面に持ち込んだ。並の棋士ならそこから一気に持っていかれるところかもしれないが、そこから丸山九段の指し回しが正確だった。徐々に久保二冠を追い詰めていった。この指し回し、強さでA級陥落するのか。
 高橋九段が先に勝ったため、その時点で丸山九段の陥落が決定してしまった。強さを感じる指し回しを見ながら、相反する結果が出てしまっているのを知りつつ、その将棋を観戦するのは不思議な気持ちだった。
 この対局の両者が降級。終局直後、久保二冠の無念さと、自身の陥落か残留かは知らされていないであろう丸山九段の暗い表情が、A級順位戦の過酷さを感じさせた。
 丸山九段の暗い表情は、久保二冠の降級に対する気持ちだったのか、それとも、自身の降級の気配を察していたからなのだろうか……
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