英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『上陸』という表現となかなかの進路予測 ~台風10号(2016年)~

2016-08-31 14:40:41 | 気象
(被害に遭われた皆様には、こういう記事は腹が立つかもしれません。申し訳ありません。なかなか大変だと思いますが、一日でも早い復旧を祈ります)

日本列島の南海を迷走し、観測史上初の太平洋側から東北地方に『上陸』を果たした台風10号。(岩手県の大船渡市付近に上陸
その後、速度をさらに上げて青森県(津軽地方)を通過し、午後9時には日本海に抜け、31日(水)午前0時、日本海北部で温帯低気圧に変わりました。

強い勢力を保ったまま、北日本に多大な被害を出した台風10号ですが、
『上陸』という表現に、疑問を感じました。


 太平洋側から東北地方に『上陸』したのは“観測史上初”ということなのだが、『上陸』というのは、海上から海岸線を横切って陸地に進入する行為を指す。その場所の真上を通り過ぎるかどうかの状況は関係ない。
 直近の11号は関東東部を北進し、福島県、宮城県を縦断したが、この場合、(関東に上陸し)、東北地方の福島・宮城を『通過』したと言う。

 また、東北の日本海側(秋田県・山形県)に上陸し東北を横断し、宮城県や岩手県を通過した例はあり、「台風が東北地方の上空に存在する」という状況は稀有なことではない。
 今回、“統計(観測)史上、初”という言葉が先行しすぎていたように感じた。それに、上陸しなくても海岸線に沿って海上を通過しても、ゴジラじゃないんだから、台風の影響力は激減しない。

 しかし、専門家(気象予報士)が初上陸を強調するのには理由がある
・上陸したての台風は、勢力が衰えていない可能性が高い。陸上を通った場合は、エネルギー源である水蒸気の供給がなくなり勢力が衰えるが、上陸するということは、それまでは海上(夏なので海面温度も高い)を通過しており、勢力を維持できる。
・台風の通過方向が違うということは、雨雲の発達状況や風向きも、通常の場合とは異なり、今までとは異なった被害も起こりうる。(通常、進行方向の右側が雨雲が発達し、風も強い)



これまでにない迷走ぶりを予測したのは凄いんじゃないか

【今回の台風の進路の特徴】
・日本の近海で発生
・しばらくは高圧帯に阻まれ、西南西にゆっくり進み停滞
・南海の太平洋高気圧の外周気流に乗り、東進
・東の太平洋高気圧に東進を阻まれ、北へ誘導される
・北上を阻むオホーツク付近の高圧帯と朝鮮半島付近の寒冷渦に、西へ誘導される


 太平洋を迷走する台風はこれまでもあったが、日本列島の東方海上まで北上した台風が西に進路を取るなど異例中の異例であった(通常、偏西風で東に流される)
 今回、この動きを予測した気象関係者は凄い。しかも、太平洋上に停滞していたころから逆進の可能性を示唆し、その後の進路も大まかには的中させた

 ただ、予測当初は「静岡県⇒北陸」コースだったのがマイナスポイント(この当時は予想円が非常に大きく、大船渡⇒津軽コースも含まれてはいたが)

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