英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

新型コロナウイルスに関する疑問 その27「新規感染者数シミュレーションのグラフ」

2020-05-09 17:57:30 | 時事
(「その2」~「その14」までの記事はありません。今までにいろいろ書いてきましたし、書かずにきたものを含めると、このくらいにはなるだろうということで記事タイトルに付けています)

前記事で、「政府は緊急事態宣言の延長の根拠と、宣言解除の基準を示さない」と批判したが、それらの大きな要素として、新規感染者のシミュレーションが挙げられる。(本記事で述べる新規感染者数のシミュレーションのグラフはその24「“家族お出かけDays”(福井県の県民行動指針)って?」で少し触れており、その24の続きでもある)

【今回の記事ですが、安倍晴明さんからご意見・情報を戴き、情報収集・考察不足だったと悟りました。次回記事で、修正・補足しました】


 政府は緊急事態宣言発令時(4月7日)に「人との接触を8割減」を目標に外出自粛などを呼び掛けたが、その時、説明に使用されたのが厚生労働省の新型コロナクラスター対策班の西浦博氏(北海道大学教授)が示したシミュレーションのグラフ。(このグラフは“西浦博教授が提示したものをもとに作成されたもの”という注釈があり、西浦氏の本意とは少しずれている可能性があるが、宣言発令前や発令時に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長(あるいは西浦教授)がこの図を使って説明していたような気がする)

 このグラフにおいて、疑問に感じることがある。
①横軸のゼロ地点が接触制限のスタート地点で、制限割合による差が表れるのが30日後と解釈できる。
 しかし、このスタート時点での新規感染者数がゼロから始めるのは、おかしいように思える。4月1日の新規感染者数は267人、宣言が出される2日前(4月5日)では360人が感染確認されているので(4月6日は月曜日…月曜日は新規感染者の確認が少ない)、シミュレーションスタート時点の縦軸(新規感染者数)を300人とすべきでは?

30日経過まで、「対策なし」「接触2割減」「接触8割減」がすべて増加曲線をたどるのには疑問を感じる。確かに、接触減の対策をしてもすぐに効果は表れないが、感染者の感染経過の事例を見ると、感染したと考える日から約5日で発症しており、さらにPCR検査が行われて感染が確認されるまでに3日から長くて2週間と考えられる。
 だとすると、接触減の対策をしてから10日前後で効果が表れ始め、2週間後にはある程度の差が発生しているはずである。

③「2割程度の接触減では、ほとんど効果なし(対策しない場合とほとんど同じ)」という説明がされていたと思うが、グラフでの2割減の変動は不可解。
 確か「接触2割減だと、一旦、新規の感染者は減るが、その後は増加に転じ(しかもかなり急激)、対策なしとほとんど結果は変わらない」という解説がされていた。しかし、「30日後、一旦、新規感染者が減少する」というのが、どう考えても納得できないのである。
 ①で述べたように、2週間後から「対策なし」と「2割減」とで差が出始める。しかし、感染者が増えすぎると、「2割減では焼け石に水で、抑制効果はほとんどなくなり、対策なしとほぼ同じような増加の曲線をたどる」となるように考える方が自然である。

「接触8割減」と強化しても30日経過までは「対策なし」と増加曲線が一致するのは、更におかしい。30日経過直後に、一気に新規感染者数が激減するのは不自然すぎる。

 「緊急事態宣言」を受け入れやすくするため、あるいは、8割の接触減を推進するために、誇張したグラフと勘ぐってしまう……






 この図は、4月10日頃に各報道で提示されたグラフ。
 先のグラフに比べて、感覚的に受け入れやすくなっている。
 このグラフでは、新規感染者数曲線の分岐点が「20日」に早くなっている。20経過まで接触減の割合によらず同じ増加曲線をたどるのは、やや納得できないが、制限の効果を「20日」と設定したモデルと考えれば容認できる。

先のグラフと同様、スタート時点の新規感染者数がゼロというのは、おかしい。

②段階的接触制限を行った場合もケースに挙げているが、「4割減→6割減→8割減」というパターンを取り上げるのはおかしい。宣言で「8割減」を目指し、その後、徐々に緩めていくのだから、「8割減→6割減→4割減」とするのが、実際に求められるパターンでなければならない。

参考までに……
YAHOO!ニュースの「新型コロナ対策、「60%接触減」では1年経っても終わらない! 数学教育者が厚労省クラスター対策班のグラフを解説する」で詳しく解説されている(by清史弘氏(数学教育研究所代表取締役・認定NPO法人数理の翼顧問)

 記事の解説には私の頭ではついていけない……
 グラフだけ紹介しておきます。




宣言の延長時に使用されたグラフ


 新規感染者の増加の傾きに比べ、減少の傾きが緩やかと説明されていた。
 この原因として
・実際の接触減少率が8割より少なかった
・試算した際の感染者数より、実際の感染者数が多かった(感染しても無症状、あるいは、軽度の症状だったので、無自覚で他人に感染させた人が多数いた)
などが考えられる。
 あと、宣言延長時に増加傾向にある北海道と感染者自体が突出して多い東京都を除外したグラフを作成したグラフも見たい。

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2 コメント

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グラフの見方など (安倍晴明)
2020-05-09 23:32:33
いつも面白い記事をありがとうございます。
今回の趣味レーショングラフの見方について私見を書きます。
1、横軸のゼロ地点は、接触制限のスタート地点ではなく、初の感染者発生時点のようです。yahooニュースにそのような記述がありました。
2、接触制限のスタート地点は、1つ目のグラフでは30日目、2つ目では20日目に設定されているようです。極端に単純化されたモデルのようで、潜伏期間などは考慮されていないようです。なので、グラフが急に曲がったりするのもうなずけます。
3、「4割減→6割減→8割減」というパターンを取り上げているのは、一挙に8割減にしないと、グラフの面積分の患者が増えてしまうという説明をするためのようです。テレビニュースでそのような説明がされていました。
4、実はここからが本題です。このグラフはあくまでも政府が8割減を国民に納得させるためのものですが、本来は検査を大幅に増やすことによる感染者の把握・隔離と接触制限を組み合わせれば、もっと効果があるようです。九州大学の小田垣名誉教授の試算では、接触5割削減でも検査数を2倍に増やせば、新規感染者が10分の1になるまでに14日しかかからず、接触8割減でも検査数が現状のままなら23日もかかるとなっています(BS「報道1930」による)。
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情報、ありがとうございます ()
2020-05-10 07:11:39
安倍晴明さん、こんにちは。
情報ありがとうございます。

 情報収集・考察不足だったと悟りました。次回記事で、修正・補足の予定です。しばらく、お待ちください。
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