負けてしまいました。
いいところなく、為す術もなく……。
図の△3七銀は森内名人の新手。その2手前の△6五歩が前例は2局しかなく、それも最初の2局だけで、その後の23局はすべて△2四歩らしい。
この△6五歩の時点で、森内名人の研究範囲だと推測でき、嫌な予感がした。そして図の新手△3七銀!。前例の2局は△2四銀と△1四銀の受けの手だが、この△3七銀は先手の攻めを真っ向から抑え込もうという手だ。△3七銀と打つ手は他の形ではあり、6五の歩の拠点もあり、良い手のように思えた。
第1図より飛車が逃げ、銀が成り返り、桂取りを防いで▲1四銀と打った局面。
この銀で先手の1筋の圧力は増したが、資本を掛け過ぎで▲1五香と走って端を突破できなければおかしい。その上、次に後手から嫌な手が見えると思っていたら……
第2図以下△2五成銀▲同銀△1三桂と進み第3図。
後手からすると桂銀交換の駒損だが、その損は△6六桂と打てばお釣りが貰えそう。しかも、▲2五同銀と引かされ、1三の歩を支えていた桂も銀の利きがなくなり、△1三桂と拠点の歩を払われてしまった。
ただ、この端桂は悪形で▲1四歩や▲1四桂と打たれる弱点がある。
この局面で羽生三冠が封じて1日目が終了。私はこの時点で勝てない気がした。△6六桂が痛すぎて良くなるとは思えない。先手の飛車と角の位置が悪すぎる。
封じ手の候補は①▲1四銀、②▲3六銀、③▲3四銀が考えられ、①▲1四銀が本命だったが、羽生三冠の封じ手は②▲3六銀だった。結果論かもしれないが、③▲3四銀△同金▲1五香とすすめた方がましだった気がする。
第4図の▲1四歩は封じ手の意思を継いだ手。1四に歩か桂を打つために3六に銀を引いたのだ。とは言え、後手の8六の歩が先手の喉元に刀を突きつけられているようで、相当な圧迫感だ。それを放置しての▲1四歩の勝負手………だったはず。
第4図より△2五桂!
桂を逃げた手だが銀で取られてしまう。一手掛けて取らせるという奇手と言っていいだろう。
羽生三冠は取らずに▲4五歩。これなら、▲1四歩と指さずに▲4五歩の方が遥かに得。▲4五歩の狙いは▲4四歩△同金▲7一角の筋だが、それを避けて△8五飛(第5図)は気持ちよすぎる(次に△8七歩成がある)。
泣く泣く▲8八歩と受け、△3七桂成を甘受。
桂を取るために▲1四歩を打ったはずなのに……。△2五桂と取れと言われたのに取れず……。
△3七桂成と成り込まれ逆に銀取り………
銀を取られると4五に飛車を転回されるので▲7七桂と跳ねて飛車を追い▲4四歩と切り込むが、平然と△3六成桂と取られ▲4三歩成に△8七角を決められ△4三飛と結局4筋に転回されてしまった。
悲し過ぎる投了図。
先手の拠り所の1三の歩を桂で払われ、その桂を取りに行ったのに成り込まれ銀まで取られる。
差し違えに行ったはずの4筋をを逆用され飛車を転回されてしまう。
痛い△6六桂を喫し、8筋も破られた。
先手は1筋さえも破れなかった……
シリーズ1勝4敗で、スコアも内容も惨敗。
羽生三冠の変調もあったが、森内名人の強さが際立った。
正直、来期の名人戦は「森内×渡辺」戦を観たくなった。
羽生三冠は残念過ぎる結果だったが、棋聖戦以降の巻き返しを望みたい。
いいところなく、為す術もなく……。
図の△3七銀は森内名人の新手。その2手前の△6五歩が前例は2局しかなく、それも最初の2局だけで、その後の23局はすべて△2四歩らしい。
この△6五歩の時点で、森内名人の研究範囲だと推測でき、嫌な予感がした。そして図の新手△3七銀!。前例の2局は△2四銀と△1四銀の受けの手だが、この△3七銀は先手の攻めを真っ向から抑え込もうという手だ。△3七銀と打つ手は他の形ではあり、6五の歩の拠点もあり、良い手のように思えた。
第1図より飛車が逃げ、銀が成り返り、桂取りを防いで▲1四銀と打った局面。
この銀で先手の1筋の圧力は増したが、資本を掛け過ぎで▲1五香と走って端を突破できなければおかしい。その上、次に後手から嫌な手が見えると思っていたら……
第2図以下△2五成銀▲同銀△1三桂と進み第3図。
後手からすると桂銀交換の駒損だが、その損は△6六桂と打てばお釣りが貰えそう。しかも、▲2五同銀と引かされ、1三の歩を支えていた桂も銀の利きがなくなり、△1三桂と拠点の歩を払われてしまった。
ただ、この端桂は悪形で▲1四歩や▲1四桂と打たれる弱点がある。
この局面で羽生三冠が封じて1日目が終了。私はこの時点で勝てない気がした。△6六桂が痛すぎて良くなるとは思えない。先手の飛車と角の位置が悪すぎる。
封じ手の候補は①▲1四銀、②▲3六銀、③▲3四銀が考えられ、①▲1四銀が本命だったが、羽生三冠の封じ手は②▲3六銀だった。結果論かもしれないが、③▲3四銀△同金▲1五香とすすめた方がましだった気がする。
第4図の▲1四歩は封じ手の意思を継いだ手。1四に歩か桂を打つために3六に銀を引いたのだ。とは言え、後手の8六の歩が先手の喉元に刀を突きつけられているようで、相当な圧迫感だ。それを放置しての▲1四歩の勝負手………だったはず。
第4図より△2五桂!
桂を逃げた手だが銀で取られてしまう。一手掛けて取らせるという奇手と言っていいだろう。
羽生三冠は取らずに▲4五歩。これなら、▲1四歩と指さずに▲4五歩の方が遥かに得。▲4五歩の狙いは▲4四歩△同金▲7一角の筋だが、それを避けて△8五飛(第5図)は気持ちよすぎる(次に△8七歩成がある)。
泣く泣く▲8八歩と受け、△3七桂成を甘受。
桂を取るために▲1四歩を打ったはずなのに……。△2五桂と取れと言われたのに取れず……。
△3七桂成と成り込まれ逆に銀取り………
銀を取られると4五に飛車を転回されるので▲7七桂と跳ねて飛車を追い▲4四歩と切り込むが、平然と△3六成桂と取られ▲4三歩成に△8七角を決められ△4三飛と結局4筋に転回されてしまった。
悲し過ぎる投了図。
先手の拠り所の1三の歩を桂で払われ、その桂を取りに行ったのに成り込まれ銀まで取られる。
差し違えに行ったはずの4筋をを逆用され飛車を転回されてしまう。
痛い△6六桂を喫し、8筋も破られた。
先手は1筋さえも破れなかった……
シリーズ1勝4敗で、スコアも内容も惨敗。
羽生三冠の変調もあったが、森内名人の強さが際立った。
正直、来期の名人戦は「森内×渡辺」戦を観たくなった。
羽生三冠は残念過ぎる結果だったが、棋聖戦以降の巻き返しを望みたい。
第3局の角替りは羽生名人の完勝でしたが、それさえも霞む圧巻の防衛でしたね~。
解説(聞き手)の戸辺6段も言っていましたが、第1局の結果が大きかった気がします。
(しかし、渡辺竜王解説を聴くと、矢倉は怖くて指せないですね)
さて今回も正規ニコ生をラッキーにも無料で観戦できました。屋敷九段による相矢倉戦の解説は、大変素晴らしい内容でいろいろ勉強になり大変良かったです。本局と類似の手順(▲3七銀や、△6五歩など)の解説が氏の著書に書かれてあるそうで、該当ページをニコ生の画面で見せてくれました。プロの研究はすごいですね。また上記83手目▲1四歩では9種類の次の1手問題が出され、私は▲4一角と予想しました。また例の62手目△3七銀では▲3一飛を予想。全て外れましたが楽しかったです。ではまた。
「▲3九飛を予想」、の書き間違いでした。
>森内名人の圧勝でしたね。第4局、5局の矢倉戦は戦い始めてすぐの時点で森内名人が良くなっていて、確かに羽生三冠の不調を思わせる内容でした。
>第3局の角替りは羽生名人の完勝でしたが、それさえも霞む圧巻の防衛でしたね~。
反論はできません。
(羽生敗退の際)いつも傷口に塩をすり込んでくださるコメント、ありがとう(笑)。あ、喧嘩を売っているのではありません。八つ当たりです。阿呆な先輩を許せ。
>羽生三冠は森内名人に相性が悪いのかもしれません。
そうですね……相性なのか、時期的に春先がダメなのか、名人位に思い入れが強すぎるのか、不調なのか……。
今回は、指し手の方向がおかしく、感覚が狂っていたように感じました。森内名人の指し手も素晴らしかったこともあります。
>屋敷九段による相矢倉戦の解説は、大変素晴らしい内容でいろいろ勉強になり大変良かったです。
ええ、屋敷九段の解説は、分からない時は「わからない」と包み隠さず話しますし、指し手の変化も明快で、言葉もはきはきしていて、分かりやすいですね。
個人的に第7局までみたかったのが感想です。良かった所を挙げるとすれば、第4局の3手目25歩が印象に残ったことぐらいでしょうか。
今から楽しみの棋聖戦では、もっとおもしろい将棋を見られると期待しています(^ ^)
>名人戦の記事、楽しみにしてました
嘆き節になってしまいました。もう少し、冷静に客観的な記事を書くべきだったと思いますが、ファンとして素直に嘆くのもありと開き直ります。
>良かった所を挙げるとすれば、第4局の3手目25歩が印象に残ったことぐらいでしょうか。
この将棋についても、本当は書きたかったです。
3手目▲2五歩は損な指し方と言われています。これを通説通り後手が応じ、先手・森内名人が用意した新機軸を披露させ、それを迎え撃つという気概が見たかったです。
個人的には、3手目の▲2五歩に急戦向かい飛車が見たかったです。
>今から楽しみの棋聖戦では、もっとおもしろい将棋を見られると期待しています
負け惜しみと言われても仕方がないですが、今期の名人戦は羽生三冠の不調を感じました。将棋を修正し、精神的にも立て直して、「これぞ羽生!」と言わしめるような将棋を見せてほしいです。厳しい相手ですが。
>ニコニコ動画の名人戦開幕前の予想で、森内名人が4ー1で勝つと予想した人は、1.9パーセントだったそうです
そうですか。名人戦の前の調子と順位戦の内容から、今期は厳しいかもしれないと、私は思っていました(2年前は5割8分、昨年は5割4分)