英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『銀河英雄伝説』 第26話 「さらば、遠き日」

2017-05-06 22:18:49 | アニメ
 ゴールデンウイーク(黄金週間)もあと1日。私は例年通り、「黄土色週間」だった……

 先日(5月3日)、NHKでニッポンアニメ100「発表!あなたが選ぶアニメベスト100」という番組があったが、うっかりしており、30位からしか観ることができなかった。
 しかし、このランキング、非常に偏りがあり、正直、≪何?これ?≫というモノであった。途中から観たので、10代対象のランキングではないかと思って観ていたほどだ。(文末に、ベスト50を紹介しておきます)

 表題の『銀河英雄伝説』は、私が考える「アニメ、ベスト1」の作品。レンタルビデオ屋へ何度も通った想い出深い作品でもある(DVDはもちろん購入)。この作品について語るのは、自らの首を絞める行為(終わらない、まとまらない)になりそうだ。
 今回のランキングには多大な残念さを感じたが、銀英伝ファンが頑張ってくれたおかげで、13位にランクインし、『ニッポンアニメ100・ベストセレクション』で放映された。
 全編放映してくれても、いっこうにかまわないというか、絶対に放映すべきだが、今回放映されたのは、劇場版・銀河英雄伝説「我が征くは星の大海」(1988年)、本伝26話「さらば、遠き日」(1989年)。

 第26話は、主人公のひとりのラインハルトの部下であり、親友でもあり、兄の役割もしていたキルヒアイスが、暗殺者からラインハルトを守るため、凶弾(指輪型レーザー銃)に倒れ、命を落とすシーンから始まっている。

(瀕死状態のキルヒアイスに、茫然自失状態でよろめきながら近づくラインハルト)
「キルヒアイス…」
「ライン…ハルト様……ご無事…ですか」
(床に倒れているキルヒアイス。目が見えなくなっており、手を泳がせてラインハルトを探す)
「あぁ…キルヒアイス、お前のおかげだ。見えないのか?」(ラインハルト、キルヒアイスの伸ばした手をしっかり両手で握る)
「もう私(わたくし)は、ラインハルト様のお役に…立てそうもありません。お許しください」
「ばかっ!何を言う。もうすぐ医者が来る。こんな傷はすぐ治る。
 治ったら、姉上のところへ勝利の報告に行こう。…なっ!そうしよう!」
「ラインハルト様…」
「医者が来るまで、しゃべるな!」
「宇宙を…手に、お入れ下さい」
「ああ、ああもちろんだ、お前と一緒に」
「それと、アンネローゼ様にお伝えください。
 ジークは昔の誓いを守ったと」
(「ジークフリード」がキルヒアイスのファーストネーム。少年時代、ラインハルトの姉にラインハルトを守ることを誓っていた)
「嫌だっ!俺はそんなことは伝えない。お前の口から伝えるんだ。お前自身で!
 俺は伝えたりしないぞ、いいか!一緒に行くんだ、キルヒアイス!」

(静かに目を閉じるキルヒアイス)
「ああ……くっ、キルヒアイス!返事をしろっ!…なぜ黙っている?キルヒアイス!」
「だめです…亡くなりました」(部下のミッターマイヤーがラインハルトの肩に手を置き、声を掛ける)
「このうえは、せめて安らかに…」

ミッターマイヤーをキッと睨み付け、
「嘘をつくな、ミッターマイヤー。卿は嘘をついている」
キルヒアイスの方を向き
「キルヒアイスが私を置いて先に死ぬわけはないんだ!」
「さっ、目を開けろ、キルヒアイス!キルヒアイス、キルヒアイス~!」

 キルヒアイスの身体を揺さぶるラインハルト………

  ……この後、冷酷無比のオーベルシュタインの叱咤激励(“叱咤”だけかも)と、姉の言葉で、心の空洞を感じながらも、この26話(24分)の中で立ち直ってしまう。
 26話開始16分30秒、
「そう、宇宙を手に入れるのだ。失ったものの大きさを思えば、せめてそれくらい手に入れなくて、どうするのか」
 
 

 このふたりの絆を知るファンにとっては、胸を打つ、切ないシーンである。
 期待していたという訳ではないが、あんまりなベスト100のランキング……その残念感を、昨夜のセレクション(劇場版と第26話)が少し薄めてくれた。
 布教を兼ねて、シーンを紹介させていただいた。
 
 
 

 ベスト50は下記の通り。
 「一人1日3票、同一作品1日1票までで、投票期間は80日」という投票方式だったらしい。最大で1作品80票ということになるので、一見、それほど偏ったものにならないような気がするが、想像の域をはるかに超えた結果となってしまった。
 やはり、根気強く毎日投票する熱心さは若い人たちが持ち合わせており、人任せにするオジサン連中の完敗だったということか……


1位 TIGER & BUNNY2011年
2位 劇場版 TIGER & BUNNY The Rising2014年
3位 魔法少女まどか☆マギカ2011年
4位 ラブライブ! (TVアニメ1期)2013年
5位 ラブライブ! (TVアニメ2期)2014年
6位 劇場版 TIGER & BUNNY The Beginning2012年
7位 コードギアス 反逆のルルーシュ2006年
8位 カードキャプターさくら1998年
9位 ラブライブ! The School Idol Movie2015年
10位 おそ松さん
11位 銀魂2006年
12位 ジョーカー・ゲーム2016年
13位 銀河英雄伝説1988年
14位 新世紀エヴァンゲリオン1995年
15位 コードギアス 反逆のルルーシュR22008年
16位 ご注文はうさぎですか?2014年
17位 機動戦士ガンダム1979年
18位 デジモンアドベンチャー1999年
19位 PSYCHO-PASS サイコパス2012年
20位 ソードアート・オンライン2012年
21位 CLANNAD ~AFTER STORY~2008年
22位 ガールズ&パンツァー2012年
23位 ハイキュー!!2014年
24位 名探偵コナン1996年
25位 氷菓2012年
26位 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語2013年
27位 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST2009年
28位 進撃の巨人2013年
29位 宇宙戦艦ヤマト1974年
30位 少女革命ウテナ1997年
31位 文豪ストレイドッグス2016年
32位 テニスの王子様2001年
33位 ラブライブ!サンシャイン!!2016年
34位 カウボーイ ビバップ1998年
35位 Steins;Gate2011年
36位 夏目友人帳2008年
37位 Fate/stay night [Unlimited Blade Works]2014年
38位 星の子ポロン1974年
39位 未来少年コナン1978年
40位 機動戦士ガンダムSEED2002年
41位 けいおん!2009年
42位 涼宮ハルヒの憂鬱 (第1期)2006年
43位 天元突破グレンラガン2007年
44位 ルパン三世 カリオストロの城1979年
45位 化物語2009年
46位 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX2002年
47位 響け!ユーフォニアム2015年
48位 Free!2013年
49位 ガールズ&パンツァー 劇場版2015年
50位 Fate/Zero

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8 コメント

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私の好みは (zoran)
2017-05-07 20:16:11
こんばんは

この番組は一瞬チャンネルを合わせましたが,
ほとんど見なかったも同然でした。
従ってランキングも知りませんでしたので,
NHKのHPに行ってランキングを見てきました。
銀河英雄伝説は断片的に見たことがある程度で,
きちんと通して見ていないので意見が書けません。
すいません。

上の50位までで好みのアニメを選ぶと,

ハイキュー!!2014年,氷菓2012年
宇宙戦艦ヤマト1974年,
カウボーイ ビバップ1998年
化物語2009年
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX2002年
響け!ユーフォニアム2015年,Fate/Zero など。

好きな順ではなくて,上のランキング順です。
上記以外で印象深いアニメは,
宇宙少年ソラン,海のトリトン,巨人の星,
魔法の天使クリィミーマミ,
トップをねらえ! Gun Buster,
頭文字D,魔法科高校の劣等生 などです。
揚げればきりがありません。
年がばれますね(苦笑)。
アニメ好きなので,昔も今も結構アニメを見ています。
今は深夜アニメが多くてあまり見られませんが。
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幅が広いですね ()
2017-05-07 21:10:03
zoranさん、こんばんは。

 ジャンルの幅が広く、”只者じゃない感”が漂っています(知らないアニメもあるので間違った感想かもしれません)。
 余裕があれば、アニメの記事も書きたいのですが…。 
返信する
私的感動シーン (三味線オヤジ)
2017-05-08 19:57:43
アルプスの少女ハイジ
 クララが立った時
一休さん
 母上の事を思い泣いているシーン
返信する
ハイジと言えば ()
2017-05-08 21:33:51
三味線オヤジさん、こんばんは。

 ハイジと言えば、オープニング(主題歌)のやたら長いブランコが印象的です。最近では、CMで活躍していますが。
 一休さんは、≪“どちて坊や”が身近にいたら嫌だな≫と思っていました。あと、新右衛門さんが好きでした。
返信する
冷静に (かみしろ)
2017-05-13 12:40:16
>しかし、このランキング、非常に偏りがあり、正直、≪何?これ?≫というモノであった。途中から観たので、10代対象のランキングではないかと思って観ていたほどだ。(文末に、ベスト50を紹介しておきます)

いやだってほら、個人なら10代と同じ熱量で投票する人もいるでしょう(いるかな・・)が、60歳(子供の頃当たり前に見たのは50歳くらいまでですかね?)くらいまでが世代として同じ熱量でアニメランキングに投票してたら、何かが終わって(そして常軌を逸した何かが生まれて)いますよ。

個人的には25歳くいでアニメおたくとしては完全に枯れてしまって、2003年以降は殆どわかりません。
銀英伝に関しては知っている人間同士では語りたくないです。物事に対して考察を続けると基本的には真理に近づくと思うのですが、(私の)真実というのは最初にしかなく、真理に近づく代償として真実が薄れて行く気がするんですよね。もういい加減語られ尽くしてしまって中々新たな知見を得るのが難しいので、悪戯に鮮度を落としたくない。
本気で始めたらアニメを見直したり小説を読み直したり(勿論全てではないが)するだけで一週間は余暇が潰れ、更に考察で一カ月くらいの余暇は消費してしまうし。

アニメリニューアルするみたいですよ。
声優の変更(多くの方が鬼籍に入っているのでメインはもう全て変えてしまった方がいいと思います)は割り切れば慣れる筈です。艦隊戦が美麗なCGになっても別に嬉しくない作品なので、DVDやブルーレイを買うことはないでしょうが、ネットレンタルでは見る積もりです。シン・ゴジラ(紅白に無理矢理ねじ込んできたのを目にした時は本当に辟易としました)みたいに政府の金が入っていなければ多分最後まで見ます。
ストーリーは変えて欲しくないと同時に、CGになったり声優変わったりしても本当に嬉しくないので、ストーリー変わらないと(最低限別の切り口で見せてくれないと)見る意味ないなと思いますが。期待はしていませんが、レンタル代くらいは御布施でいいでしょう。

それなりにガンダムにお世話になった世代としてランキングにはないですがターンエーガンダムを推薦しておきます。富野作品をそれなりに時間をかけて順番にみると最終話で心安らかになれますよ。ガンダムシリーズだけで何時間あんの、とか知らんけど。映画で端折るにしてもねえ。Vガンダムで落ちきってオーガニック(ブレンパワード)で回復してターンエーで癒しにいたる辺りは、富野監督の精神状態がわかりやすく表れていて面白いです。
まあ、またガンダム作り出してますけど、本当に創作の才能がある人というのは作らずにはおれないのでしょう。
返信する
深いですね ()
2017-05-13 15:54:36
かみしろさん、こんにちは。

>60歳(子供の頃当たり前に見たのは50歳くらいまでですかね?)くらいまでが世代として同じ熱量でアニメランキングに投票してたら、何かが終わって(そして常軌を逸した何かが生まれて)いますよ。

 ええ、そうですね。
 私も、記事中に同様なことを書いたつもりです。
 「やはり、根気強く毎日投票する熱心さは若い人たちが持ち合わせており、人任せにするオジサン連中の完敗だったということか……」
 制作側がアニメファンの熱量を見誤ったのが、このランキングになってしまった原因ですね。

>銀英伝に関しては知っている人間同士では語りたくないです。物事に対して考察を続けると基本的には真理に近づくと思うのですが、(私の)真実というのは最初にしかなく、真理に近づく代償として真実が薄れて行く気がするんですよね。

 ええと難しい表現ですが、「好きな作品というのは第一インパクトがすべてという状態になり、考察を重ねれば作品の本質(真理)に近づけるが、そのことによって、第一インパクトの衝撃やツボなどが薄れてしまう」ということですよね。
 わかる気がします。

>悪戯に鮮度を落としたくない

 ええ、わかります。

>アニメリニューアルするみたいですよ。
>声優の変更(多くの方が鬼籍に入っているのでメインはもう全て変えてしまった方がいいと思います)は割り切れば慣れる筈です。

 新たに制せ駆してくれて、新たなファンが増えるという点では良いことかもしれませんが、私はレンタルされても観ません。観るくらいなら、旧作をもう一度観ます。
 誰かに戴いたら、観るかもしれません。

 ガンダムは食わず嫌いで、「アムロ」と「シャー」の名前と、「ぶったな云々」の有名なシーンしか知りません。
返信する
才能と挫折 (かみしろ)
2017-05-14 00:22:26
>私も、記事中に同様なことを書いたつもりです。
すみません。全く説明不足でした。私のは軽い冗談で、「もし本当に50代とかまで10代と同様の熱量を持っていたら(ずっと子供だったら)、どんな世の中になるか」をちょっと想像してもらいたかったのです。具体的にはまったくわかりませんが、平和そうではあります。

件のシーンですが、ラインハルトはその才気と強気を持ち合わせていた故に、自分もキルヒアイスも死ぬかもしれないと本気で考えたことがなかったのだな、と今は思います。真に才長けた者はそういられるのでしょうか。ラインハルトがある種の無邪気さを失った挫折の瞬間でした。恐らくその才能が大きかった故に初めての挫折で大きすぎる存在を失ってしまった。もしも本当に死の可能性を感じていれば、その危険を侵してまで銀河を手に入れようとしただろうか。野心、野望というものの本質の一端が見える気がします。

ガンダムシリーズですが、実際のところ殆ど見たことがない人には推薦しにくいのです。テレビシリーズというのは基本的に完成度はそう高くないし長すぎる、それで何作も人間(のような知的生命体)はわかりあえるのか(戦争なしで問題を解決できるのか)、というテーマを繰り返して、それまではヤン・ウェンリーいうところの精々数十年の平和(戦争に疲弊した)、であったり銀河が滅亡したりというエンディングを繰り返してきて、やっとターンエーで戦争を経ながらも両陣営の和解と協調というラストを迎えて、一つのテーマに結論(いつか分かり合えるという希望を持ち続ける)に至ったわけです。
この癒しを本当に感じるにはその何作もの葛藤につきあう必要がある、と思うので、ええ、自分で悩んだり考えたりした分だけ癒しが大きくなるので、多分結論だけ聞いてもあまり響かない。

現実世界では悲しいかな核の抑止力が証明されそうです。核を持たなかったフセイン、ラディン、カダフィと、核を有する金とは運命を異にするでしょう。
悲しいというのは、兵器の力で、という意味であり、北朝鮮が米国により蹂躙されることを望むものでは全くありません。勿論、そうなった際には朝鮮半島だけでなく自分も含め知己の多くが生命の危険に晒されるということが想像できれば言うまでもないことでしょうが。
まあクリントン政権の時に在韓在日米軍に多大な犠牲が出るというシミュレーションの結果が出て断念しているので、今更本気で戦争をしかける心配はしていません。
返信する
ラインハルトの野望の手段と目的 ()
2017-05-14 08:31:30
かみしろさん、こんにちは。

>全く説明不足でした。私のは軽い冗談

 あぁ、スルーする部分だったんですね。

>ラインハルトはその才気と強気を持ち合わせていた故に、自分もキルヒアイスも死ぬかもしれないと本気で考えたことがなかったのだな、と今は思います。
>ラインハルトがある種の無邪気さを失った挫折の瞬間でした。もしも本当に死の可能性を感じていれば、その危険を侵してまで銀河を手に入れようとしただろうか。野心、野望というものの本質の一端が見える気がします。

 ええ、キルヒアイスが居てこそのラインハルトの野望(夢)で、宇宙を手に入れてからアンネローゼを含めて3人で人生を謳歌するつもりでした。
 宇宙を手に入れることは手段で、その後の人生が目的だったのですが、キルヒアイスを失い、アンネローゼが去ってしまい、「宇宙を手に入れること」が目的となってしまった。
 宇宙を手に入れる過程も、キルヒアイスと共に歩むことが達成感や喜びを感じていましたが、単純作業となってしまいました。

 ヤンは政治の矛盾に悩みと諦めを持っていました。
 「どんなに優れた専制政治よりも、腐った民主主義の方がまし」というのは彼の持論でしたが、腐敗した民主政治を見るにつけ、その持論も時折揺らいでいました。
 彼の持論について説明するのは、かみしろさんにとっては不要だと思いますが、一応…
 「ラインハルトは確かに優れた政治家でもあり、彼の統治下では民衆も幸せに過ごせるように思う。しかし、彼の没後はどうなる?後継ぎが優れているとは限らず、最低の統治者となる危険性もある。民衆はそれを拒むことは出来ない。
 民主政治は、それが如何に腐敗したものでも、選挙によって自分たちが選んだ結果である分、マシである」
というような考えだったと思います。
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