英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2021年全日本卓球選手権大会

2021-01-20 21:40:40 | スポーツ
 卓球の記事を書くのは「石川佳純、代表決定 ~卓球グランドファイナル2019~」
 2人目の東京五輪代表が大激戦の末、決定したという記事だが、既に1年以上経過していたのは、驚き。
 そうかかぁ、五輪開催が1年遅れたため、時の流れが半分止まっているように感じる……そうだよなぁ…本来なら、とっくに五輪が終わっていて、次の五輪を目指している状況のはずなのに……

 全日本卓球選手権について書くのは、2017年以来。この時の女子の決勝は石川佳純ー平野美宇。
 その記事の冒頭で、
「私には、その人が負けると、気持ちが沈んでしまうような存在がいる。
 羽生善治、内村航平、ロジャー・フェデラー、石川佳純、里見香奈の5人である」
と書いている。
(最近では、この5人に加えて、バドミントンの山口茜選手)
 当時でもこの5人は、ピークを少し過ぎた感はあったが、トップを争っていた。それから、4年経っているが、若干後退したものの、いまだにトップクラスに位置している。(ファンとしては悔しい思いをすることが多くなってきているが、それでも、気持ちを強くさせてくれる存在であるし、ゲーム(対局、競技)内容にも心躍らせてもらっている。


 今大会は、コロナ感染を考えて、シングルスのみの開催となった(ジュニアもシングルスのみ)。
 女子シングルス、準々決勝の組み合わせは
早田ひなー佐藤瞳、伊藤美誠ー長崎美柚、木原美悠ー平侑里香、石川佳純ー横井咲桜
 五輪団体代表の平野美宇(2016年度優勝)は6回戦で木原(2,018年度準優勝)に敗れベスト16に止まっている。また、昨年ベスト4の橋本帆乃香は初戦の4回戦で平に敗れている。
 準決勝早田ー伊藤、石川ー木原となり、伊藤、石川が勝ち上がった。
 伊藤ー早田は3年連続の準決勝での対決。一昨年は伊藤、昨年は早田が勝ち、そのまま優勝している。
 この準決勝は大激闘。第1ゲームは早田が圧倒し、第2ゲームも早田がラリーを支配していており、このまま早田が押し切るかと思えた。しかし、伊藤が第2ゲーム途中から早田の強打やサーブに対応できるように感じ、早田のサーブの2本に1本を得点できるようになり、互角以上に戦えていた。といっても、どちらが勝ってもおかしくない内容で、息もつかせぬ激闘だった。
 「事実上の決勝戦と言ってもおかしくないぐらい」とこの準決勝の開始前に解説の福原愛氏が述べていた。“事実上の決勝戦”と言って良いのか?と思った。だが、伊藤の実力は言うまでもなく、ここ1年以上の早田の充実ぶりを考えると、そう考える人は多いだろう。
 実際、この準決勝は非常にレベルの高い白熱の名勝負であった。

 もう一方の準決勝は石川が4-2で勝利した。中継はされなかったが、石川が安定したプレーで確実に勝利した模様。準々決勝の対横井戦も主導権を渡さず押し切った。
 コロナによる自粛期間はバック打ちを強化していたようで、カウンターでないバックドライブが威力を増し、単独で決定打になるシーンが増えたように思う。
 とは言え、早田、伊藤を連破するのは相当な難易度だと思われるのだが、伊藤、早田が準決勝で激突してしまうのは、石川にとってはラッキーと言える。今大会の石川なら、決勝の1ゲームなら、石川にも勝機があるとみていた。
 伊藤と早田にとっては、3年連続、準決勝でぶつかるのは不運である。1度目の準決勝は仕方がないが、準決勝で敗れた方はその翌年は第2シード以上にならないので、ふたりが準決勝でぶつかってしまう確率が1/2となってしまう。(第1シードと第2シードならば、決勝でしか対戦しない)

 決勝。第1ゲームは伊藤が石川を圧倒。
 しかし、第2ゲーム以降、ミスが増えた。
 それでも、第2ゲームを取られたが、第3、第4ゲームはゲーム後半で集中力を高め、終盤、得点を重ねゲームを連取し、ゲームカウント3-1と優勝に王手。
 第4ゲームは接戦だったが、中盤以降、得点を先行した石川がジュースに持ち込まれたものの12-10でこのゲームを制した。
 ここまで、石川が伊藤に圧倒されている雰囲気は感じない。それは、伊藤にミスが多いことに起因する。いつもは、石川がベストなプレーを続けて必死に得点を上げて食らいついていく感じだったが、何となくいい勝負になっているというムード。
 これまで石川は必死に目一杯張りつめ、リードされると悲壮感が漂ったが、今大会は悲壮感を一度も感じなかった。


 伊藤はミスが多く、それを引きずり、乗り切れない。
 ミスが多い理由はいくつか考えられる。
 
・石川のバックドライブの強化により、守勢になっても石川の返球に威力があったり、深く返されたりして、それをやや強引に強打しようとしていた。
・時折、ミドルへのループドライブを織り交ぜられ、それに対応しきれなかった
・ラリーにおいて、石川にいつもより1球多く返球され、プレッシャーを感じた
・プレーに集中できていなかった。その一因として……
  準決勝でもよく見られたが、卓球台への汗のしたたりで審判にふき取りを何度も要求していた。
  伊藤がナーバスになっていたのか、伊藤の発汗量が多いのか?
  審判に何度も卓球台を拭かせて、申し訳ないという気持ちで、集中できなかったのかも
 
最終ゲームは、石川のプレーが素晴らしかった。
 あと1ゲームと追い込まれてから凌ぎ、最終ゲームに持ち込んだ勢いもあった。
 さらに、ゲーム前半を得点をリードして、優位に立ち、さらに伸び伸びとプレー。
 9-5とあと一歩まで迫ったが、そこから伊藤が反撃し9-9。
 この間、石川は点が取れそうで決まらない。この間の伊藤の返球は見事だった。
 しかし、この後の2プレー。石川が渾身のスイングで勝利を呼び寄せた!

【試合後のインタビューの石川の言葉】
「決勝まで進めて、伊藤選手と久しぶりの対戦で、“今日は胸を借りて戦おう”と思ったので、“リードされても、最後まであきらめずに頑張ろう”と最初から決めていたので、それができて嬉しいです」
「苦しい試合になることは、最初から分かっていたので、序盤リードしてもなかなかゲームを取れないいつものパターンが続いていたんですけれど、“あきらめずに”と途中から自分に言い聞かせてプレーすることを心掛けたのと、“もっと思い切りやりなよ!”と自分に言いました」
(最終第7ゲームの9-5から、4ポイント返されたあの最終盤の思いを訊かれて)
《あ~あ、1点取れない!》ていう、なんか、、もう緊張しちゃって…というのはあったんですけど、《いや、そうなだよな》《9オール、大丈夫、まだまだ、ここから》という気持ちに、切り換えられました」
(5年ぶりのチャンピオンですが、前回の優勝から多くの若い選手が力を付けてきた中で、また改めて、返り咲きました。この優勝はどう感じてますか)
「う~~ん……(色々な思いがこみ上げてきた様子)…………………………
 …………………………
 ……うれしいです。たくさんの人に感謝したいです」
(伊藤選手と戦ったその思いを訊かれて)
「こんなに強い選手と戦えて、すごく自分の力を試すことができて、楽しかったです。決勝は特に楽しかったです。ありがとうございます(運営サイドへの感謝の気持ちも含む)
 伊藤選手は国際大会ですごく活躍されていて、中国の選手にもたくさん勝っていて、見習うところがたくさんあって、歳は私が上なんですが、《負けてもともと》という気持ちでコートに立ったので、そこは気持ちの面では有利だったかなと思います》
(全日本チャンピオンとして、東京五輪に挑む気持ちを訊ねられて)
「久しぶりのチャンピオン、うれしいです。あの…そうですね…恥ずかしくないように、五輪までしっかりと自分のできることを準備して、五輪で最高のプレーができるように、更に頑張っていきたいと思います」

《昔は勝ち上がっていくと、いつも自分だけ年下だった。“私だけ14歳”とかだったのが、いつの間にか、“自分だけ27歳”みたいな…》という石川、優勝、おめでとう!

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