英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2019 杜の都 全日本大学女子駅伝

2019-10-30 16:23:52 | スポーツ
 名城大が3年連続4回目の優勝を果たした。盤石の強さだった。
 大東大は3年連続の2位、3位は立命館大。


 レースの内容、大会運営、中継などいろいろ感じることが多かった。

【レース経過など】(敬称は略させてください)
第1区6.6km
 中大の五島が1ランク以上の走力。他チームの選手は関係ないとばかりにハイペースで走る。吉村(大東大)、小林(名城大)、御﨑(立命)が追随したが、しばらくして小林と御﨑が離れ出し、吉村も徐々に遅れだした。
 大局的に考えると、中大は五島の走力は大きな武器だが、チーム全体としては上位を争う力はない。小林に追随した大東大、名城大、立命館はフィニッシュをトップ、あるいは上位で終えるかが目標なので、五島との差を気にする必要はなく、他の有力校に遅れを取らないことを第一に考えるべきだった。(もっと突き詰めれば、他チームとの位置関係にとらわれず、各走者が自分の実力を出し切ることがチームの総合タイムに繋がる)
 大東の吉村も3000m障害で日本選手権優勝者、五島についていくことに拘らなければ区間2位を見込めた。ハイペースで苦しくなり、よく粘ったが区間5位に沈んだ。よく粘ったと思うが、後続集団に追いつかれたときに、負けん気を発揮して、ペースを上げ2位を譲らない頑張りを発揮したが、この頑張りがプラスになったのかマイナスになったのかは微妙。後続集団に付いて一旦、走りを立て直す方が得策なのだが、無理をしたのが功を奏して区間タイムの向上につながった可能性もある。無理に頑張って終盤失速というパターンも多いが、吉村の場合、5位に落ちたもののそれほどの失速はなかった。
 大東大の場合、《常に目いっぱい走る》というのが信条のようで、いつも危なっかしさを感じるが、ほとんどの場合、最後まで走り切ることが多い(しかし、今レースの4区ではその信条が裏目に出てしまった)
 小林(名城大)も自己のペースで走れば、もっといい位置でタスキをつなげたはず。それでも良く粘り9位で、トップと1分差。1分差は中大との差なので、気にする必要はなく、大東大と差が9秒に留まったのが大きかった。
 御﨑(立命)は16位に沈んでしまった(トップとは1分34秒差)。チームはその後盛り返し3位まで浮上したが、それだけに1区の出遅れは惜しかった。基本的に順位よりタイム差が重要なのだが、16番目にタスキをもらうというのは焦りを感じてしまうはずだが、3位で終えたのは見事だ。
 区間2位は橋本(京産大)。おそらく、1区では吉村(大東大)と同等の実力者。五島のハイペースに惑わず想定ペースを守る冷静な走りだった。

第2区3.9Km
 高松ムセンビ(名城大)が一気にトップに立つ快走。実力者の高松が短い2区を走るのはややトリッキーな起用法。高松の調子が上がってこなかったのか、1区のハイペースによる波乱を視野に入れて、悪くても2区を上位で終える安全策だったのか分からないが、ここに高松を起用できるのはチームの層の厚さがあるからこそだ。
 2区を終えてトップの名城大は思惑通りの展開だが、高松は区間トップではあったが区間2位の西山(松山大)とは6秒差、区間3位の飛田(立命大)とは9秒差の僅差だった。また、チームとしても2位グループの日体大(赤堀・区間5位)と大東大(北脇・区間4位)とは7秒差の拙戦状態。やはり高松は完調ではなかったのか?
 1区で1位だった中大は13位に後退した。

第3区6.9Km
 鈴木(大東大)和田(名城大)が互角の走り。区間記録では鈴木がトップで和田が4秒差の2位。チームとしては名城大が3秒先んじてタスキをつないだ。
 3位は日体大だが、両チームとは1分30秒以上も離され、名城大と大東大のマッチレースの様相。

第4区4.8Km
 秋山(大東大)がすぐに追いつき、山本(名城大)と並走状態が続いたが、秋山が遅れだす。ストライドが伸びずピッチも上がらない。かなり差がつきそうな気配。
 1分の差で5区に入りそうだと観ていたが、中継点直前で秋山の走りが明らかにおかしい。力が入らないと言うか、周りの空気が水であるかのような動きのスローさだった。その変調さはさらに顕著になり、運営役員もそばに寄る(手を触れてしまうかヒヤヒヤだった。運営側の判断も難しい)前に進むのも困難になり尻餅をついてしまうほど。(過呼吸を起こしたとのこと)
 何とか、襷を渡すことができ良かったが、トップ名城大(山本・区間1位)とは2分16秒遅れの4位に後退。2位は松山大(2分05秒差)、3位は大阪学院大(2分12秒差)。

第5区9.2Km
 前回、前々回と関谷(大東大)に敗れていた加世田(名城大)が雪辱を果たした。2位は関谷(大東大)で4秒差、3位福嶋(城西大)9秒差、4位佐藤(立命館)21秒差、5位岡田(松山大)35秒差。
 大東大は2位に浮上3位は松山大。4位は立命館が6位から2つ順位を上げた。
 福嶋の区間3位の力走で城西大は15位から7位とシード圏内に浮上。

第6区6.7Km
 区間1位は三ツ木(城西大)で城西大は6位入賞
 2分20秒差で独走状態で襷を受けた名城大・荒井も区間2位の走りで、名城大は盤石の優勝
 大東大はまたも2位。(山賀は区間3位)。
 3区鈴木、5区関谷の実力者、1区の吉村は3000m障害が専門とはポテンシャルは高い。うまく歯車がかみ合えば名城大と激しいトップ争いができたかもしれない。私見だが、1区で大局的走りをし名城大ともう少し差をつけて優位に立てば、その後の展開も違っただろう。
 4位からひとつ順位を上げた立命館も3年連続の3位。これで立命館は17年連続表彰台(3位以上)、10回優勝。立命館も大東大と同じく1区が悔やまれる。そこから盛り返したチーム力は見事だった。


優勝 名城大学   2:04:34
2位 大東文化大学 2:07:05 02:31差
3位 立命館大学  2:07:37 03:03
4位 松山大学   2:07:45 03:11
5位 日本体育大学 2:08:40 04:06
6位 城西大学   2:09:09 04:35
7位 大阪学院大学 2:09:34 05:00
8位 関西大学   2:10:00 05:26
9位 大阪芸術大学 2:10:32 05:58 シード権に32秒及ばず



【中継で気になったこと】
2区での実況
 2区で「トップと1分差の9位でタスキをもらった高松が短い距離でトップに立った」というのは事実だが、「高松が1分差を一気に逆転しトップに立った」という実況は不正確だ。
 1分差があったのは1区で独走状態のトップに立った中央大学。その中央大学のランナーはこの第2区では振るわず、早々と、確か日体大にトップの座を明け渡していた。その後、間もなく高松も中大選手をかわした。“1分差を逆転”したのはこの時点で、実況の状況はアナウンサーが叫んだより前に実現しているのである。
 逆に、実況で「1分差を逆転」と叫んだのは日体大を追い抜いてトップに立った時で、中継点での日体大と名城大との差は14秒しかなく、この表現は不正確である

CMの挿入
 民間放送なのでCMが挿入されるのは仕方がない。
 『名探偵コナン』など30分枠番組だと正味は約24分(提供の字幕が流れるのをカウントするかどうかで時間は上下する)、1時間枠(54分枠)ドラマだと正味45~46分、2時間サスペンスだと1時間30分~1時間40分。およそ正味は8割、つまり2割がCMの時間ということになる。
 今回の中継では、少し走りを観た後、CM。で中継再開されたかと思うとまたCMという印象が強かった。
 そこで、この駅伝中継をカウントしてみると……
中継 1分31秒 CM 2分
中継 2分05秒 CM 2分
中継 7分58秒 CM 2分
中継 5分09秒 CM 2分10秒
中継 23分50秒 CM 2分
中継 3分33秒 CM 2分
中継 2分01秒 CM 2分
中継 14分10秒 CM 2分
中継 1分13秒 CM 2分
中継 14分27秒 CM 2分
中継 5分14秒 CM 2分
中継 1分28秒 CM 2分
中継 43分45秒 CM 4分15秒
    ――合計――
中継 126分24秒 CM 26分25秒
 (若干の誤差はあるかもしれない)
 放送枠が2時間35分(2時間30分と見るべきかも)なので、その2割は……155分×0.2=31分。実際は26分25秒だったので、CM時間は少なめだった……
 でも、中継の細切れは止めてほしい。

【運営に関すること】
 他の駅伝でも思うことだが、コース変更、区間変更はできるだけ避けてほしい。
 交通事情や環境保全などの止むを得ないこともあるかもしれないが、レースの面白さを増すために変更することは止めてほしい。そんな理由で、過去の大記録が参考記録扱いになるのは残念である。

【その他】
 この日はたくさんの大きな競技・大会が実施され、仕方がないかもしれないが、新聞記事(本文)が約150字だったのは悲しかった

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