ラストに衝撃を受けてしまい、密室の謎解きや芹沢弁護士(佐藤浩市)の「出たよ~」の面白さも吹っ飛んでしまいました。
確定はしていませんでしたが、榎本(大野智)の正体は泥棒(怪盗)だったと考えていいのでしょうね。原作では、この『ガラスのハンマー』が一作目で、榎本は泥棒で、青砥(戸田恵梨香)も正体を把握しながらも彼を利用したとのことです。続編が出たということは、好評だったのでしょう。作者も泥棒の設定にするんじゃなかったと後悔したかもしれません。
この事件が初回だとすると、榎本の「最もてこずった密室でした」(表現は違うかもしれません)の台詞って笑えます。
それはさておき、ドラマも原作の設定を尊重したのでしょう。原作未読の視聴者を騙したのは、故意なのか、結果的なのか?ただ、この続編(SPあるいは映画)を作るとなると、設定の変更も可能な終わり方ではありました。
でも、最後の榎本のニヤリには思わず「嘘~!」でした。だから、盗品の隠し場所の心理に詳しかったのか~
「それでガラスは越えられたんですか?
僕には、そうは見えません」
「君にはどう見える?」(椎名)
「前後左右、それから上下まで、ガラスに囲まれているように見えます。
僕はガラスの箱に閉じ込められるのはごめんです。
たとえ向こう側に行けないとしても自由でいたいんです」
「罪を犯すと、それだけで心が見えない壁に囚われてしまう」という意味かと思ったら、ラストを見た後だと「私は捕まるようなヘボはしない」という意味に聞こえてしまう。ただ、「たとえ向こう側に行けないとしても」とあるので、「罪は犯さない」とも受け取れる。
鴻野刑事(宇梶剛士)から榎本の疑惑を突きつけられたが、それを跳ね除けた芹沢、人を疑わない純真な青砥のショックは……オープニングで芹沢と青砥が「見えない密室を残して行ってしまった」と言ったのは、このことだったのか!
密室の解明
青砥が芹沢張りの稚拙な推理を連発したと思ったら、芹沢がさえた推理を披露。
芹沢の推理
介護ロボットは抱きかかえた人間(対象物)を落とすことはけしてないが、人間からすべり落ちた毛布(付属物)には気をとめない。
なので、社長を寝ているカウチそのもの持ち上げたら(対象はカウチ)、すべり落ちた社長(付属物)に気を留めない。だから、社長を床に落とすことが可能だ。
しかし、介護ロボットは奥行き70センチ以上の物を持ち上げることはできない(超肥満の人は無理なの?)ので、実現不可能だった。
どや顔で推理を披露した芹沢が哀れだった。でも、実際のトリックより説得力はあったと思う。ただ、頭頂部に打撃を加えるのは難しいが。
榎本の推理(真相)
介護ロボットで社長の頭頂部が窓ガラスに接するように設置し、その部分をボウリングの玉で強打。そのエネルギー(衝撃)を社長の頭頂部に伝播させたというものだった。
ガラスが割れないかなと思ったが、かなり丈夫なガラスなので大丈夫?それでも、後ぐらいは残るように思う。それに、衝撃の反動もあって怖いなあ。試作品なので市販のリモコンで動くというのもやや疑問。
その他の感想
・副社長の穎原(鈴木一真)が、前回、怪しさオーラをプンプン発していたが、今週、いい人オーラをバンバン発しており、その豹変振りが面白かった。
・防犯システムをかいくぐるため、アルミ箔で体を覆う図は笑えた。実際に玉木宏に装着してほしかった。奇抜な発想だが、榎本は経験済み?
・目撃証言のリフトの上げ下げの矛盾を突くのは、右京さん並だと思った
・推理が外れたとき、芹沢さん、介護ロボットに謝っていた
【ストーリー】(番組サイトより)
榎本径(大野智)が不在の中、青砥純子(戸田恵梨香)と芹沢豪(佐藤浩市)は事件の検証を行う。そして、榎本は犯人ではない、と純子が断言したとき、榎本が解放されたと連絡が入る。「ベイリーフ」専務の久永(中丸新将)が犯行を自認したからだ。拘置所で純子と接見した久永は、睡眠中の無意識のうちに社長を殺害したのかもしれない、と弱気になっていた。
自由の身となった榎本は、副社長の穎原雅樹(鈴木一真)らに、死亡した社長が狙撃事件を自作自演したのは、社長室に隠した何かを守るため窓を防弾ガラスに交換させたかったからだろう、と話す。さらに、久永は無実だとも言った。
榎本は、自分のことを通報した犯人が自分と社長との因縁を知ったのは、社長室での自分と純子の会話を盗聴していたからだと推測。そんなことが可能な人物は誰か、考えを巡らせた榎本は、第一発見者の窓拭きのスタッフ・佐藤学(玉木宏)に会いたいと申し出た。
やがて、榎本と純子の前に佐藤がやってくる。純子は佐藤に、社長が倒れていた場所を尋ねる。佐藤がキャビネットの方を見やると、榎本は窓の外からだとそこは見えないはずだと指摘。佐藤は、ゴンドラが上がったときに見えた、と証言した。
榎本が検証を重ねた結果、社長は社長室にあった介護ロボットを使って殺害されたという結論に至った。そんな折、水城里奈(能年玲奈)から電話を受けた芹沢は、事務所にやってきた雅樹と面会。雅樹は、「ベイリーフ」の過去の経理を精査したところ、組織的な横領が見つかったと明かす。その額は6億円近くに及び、社長が関与していた疑いがあるという。
純子は再び久永と接見し、社長が横領をしていたこと、その金を貴金属に換えて社長が隠匿していたことを認めさせた。芹沢は、社長がその貴金属を社長室に隠していたはずで、窓を防弾ガラスに換えたがったのは、窓からの侵入者=佐藤を警戒していたからではないか、と考える。
純子と芹沢が佐藤について調査をするうち、純子は佐藤の本名が椎名章であることを突き止めた。一方、芹沢は鴻野(宇梶剛士)から榎本に関する情報を得た。過去に美術館や宝石商で起こった複数の窃盗事件で、事件当日の終業間際、いずれの場所でも榎本の姿が監視カメラに映っているという。
そんな折、純子から介護ロボットの情報を得た榎本は、純子らがいた社長室にやってきた。そして、介護ロボットにキャビネットを持ち上げさせてくれ、と頼む。キャビネットの下に潜り込んだ榎本は、底部に作られた隠し扉を見つけた。しかし、隠されていたはずの6億円分の貴金属は、消失していた。雅樹らが愕然とするなか、榎本は強風のため小さくカタカタと音を立てる窓ガラスに気づく。意識を集中させ指をすり合わせると、やがて、思考の鍵が開いた。
翌日、榎本は、椎名が清掃作業をする場所へやってくると、事の発端は窓の清掃中に偶然、社長室でダイヤを目撃したことだろう、と切り出した。そして、それを盗むことを画策、盗聴器を仕掛け情報収集を行い、自分がシステム強化の工事に取りかかる前に盗んだのだろう、と話した。榎本の言葉に耳を貸さず立ち去ろうとする椎名に、榎本はダイヤを処分しに帰宅するのか、と言い、その隠し場所を言い当てた。驚愕する椎名に榎本は、社長の殺害方法を明かす。それは、睡眠薬で眠る社長を介護ロボットで窓際まで運び、窓に頭をつけさせ、窓の外から重量のある鈍器で頭をめがけて叩く、というものだった。社長は頭を手術したばかりだったので、ガラス越しに伝播する衝撃が致命傷となったのだ、と。
また、自分がそのトリックに気づいたのは、可動するよう細工が施された窓を見つけたときだ、と明かした。社長を手にかけた後、屋上に戻り仲間の清掃員と合流、その後、偶然遺体を発見したように装ったのだ、と指摘する榎本に、椎名は鈍器を見せろ、と迫る。榎本は、屋上の給水タンクのなかにボーリングの玉を見つけた、と答えた。すると、椎名はついに犯行を認めた。
そして、目的はダイヤではなく、社長を殺すことだったと明かした。社長は、昔、椎名の父親と共同経営を行っていたが、会社が傾くと会社の金を持ち逃げした。そのことが原因で、椎名の両親は心中していたのだ。榎本のことを調べたという椎名は、榎本になら自分の気持ちがわかるだろう、と言った。
後日、椎名は警察に自首、久永は正式に無罪が認められた。そんな折、純子と芹沢が所在不明となった榎本の安否を案じていると、純子の携帯に榎本から連絡が入る。榎本は空港にいて臨時収入が入ったので旅行に行く、と告げた。純子から電話を奪った芹沢が、椎名の部屋から見つかった6億円相当のダイヤのうち、1億円分は偽物だったと、榎本を疑うような口ぶりで話す。それを軽く否定した榎本は、フライトの時間だから、と言って電話を切ってしまう。そして、パスポートと搭乗券を手にし…。
確定はしていませんでしたが、榎本(大野智)の正体は泥棒(怪盗)だったと考えていいのでしょうね。原作では、この『ガラスのハンマー』が一作目で、榎本は泥棒で、青砥(戸田恵梨香)も正体を把握しながらも彼を利用したとのことです。続編が出たということは、好評だったのでしょう。作者も泥棒の設定にするんじゃなかったと後悔したかもしれません。
この事件が初回だとすると、榎本の「最もてこずった密室でした」(表現は違うかもしれません)の台詞って笑えます。
それはさておき、ドラマも原作の設定を尊重したのでしょう。原作未読の視聴者を騙したのは、故意なのか、結果的なのか?ただ、この続編(SPあるいは映画)を作るとなると、設定の変更も可能な終わり方ではありました。
でも、最後の榎本のニヤリには思わず「嘘~!」でした。だから、盗品の隠し場所の心理に詳しかったのか~
「それでガラスは越えられたんですか?
僕には、そうは見えません」
「君にはどう見える?」(椎名)
「前後左右、それから上下まで、ガラスに囲まれているように見えます。
僕はガラスの箱に閉じ込められるのはごめんです。
たとえ向こう側に行けないとしても自由でいたいんです」
「罪を犯すと、それだけで心が見えない壁に囚われてしまう」という意味かと思ったら、ラストを見た後だと「私は捕まるようなヘボはしない」という意味に聞こえてしまう。ただ、「たとえ向こう側に行けないとしても」とあるので、「罪は犯さない」とも受け取れる。
鴻野刑事(宇梶剛士)から榎本の疑惑を突きつけられたが、それを跳ね除けた芹沢、人を疑わない純真な青砥のショックは……オープニングで芹沢と青砥が「見えない密室を残して行ってしまった」と言ったのは、このことだったのか!
密室の解明
青砥が芹沢張りの稚拙な推理を連発したと思ったら、芹沢がさえた推理を披露。
芹沢の推理
介護ロボットは抱きかかえた人間(対象物)を落とすことはけしてないが、人間からすべり落ちた毛布(付属物)には気をとめない。
なので、社長を寝ているカウチそのもの持ち上げたら(対象はカウチ)、すべり落ちた社長(付属物)に気を留めない。だから、社長を床に落とすことが可能だ。
しかし、介護ロボットは奥行き70センチ以上の物を持ち上げることはできない(超肥満の人は無理なの?)ので、実現不可能だった。
どや顔で推理を披露した芹沢が哀れだった。でも、実際のトリックより説得力はあったと思う。ただ、頭頂部に打撃を加えるのは難しいが。
榎本の推理(真相)
介護ロボットで社長の頭頂部が窓ガラスに接するように設置し、その部分をボウリングの玉で強打。そのエネルギー(衝撃)を社長の頭頂部に伝播させたというものだった。
ガラスが割れないかなと思ったが、かなり丈夫なガラスなので大丈夫?それでも、後ぐらいは残るように思う。それに、衝撃の反動もあって怖いなあ。試作品なので市販のリモコンで動くというのもやや疑問。
その他の感想
・副社長の穎原(鈴木一真)が、前回、怪しさオーラをプンプン発していたが、今週、いい人オーラをバンバン発しており、その豹変振りが面白かった。
・防犯システムをかいくぐるため、アルミ箔で体を覆う図は笑えた。実際に玉木宏に装着してほしかった。奇抜な発想だが、榎本は経験済み?
・目撃証言のリフトの上げ下げの矛盾を突くのは、右京さん並だと思った
・推理が外れたとき、芹沢さん、介護ロボットに謝っていた
【ストーリー】(番組サイトより)
榎本径(大野智)が不在の中、青砥純子(戸田恵梨香)と芹沢豪(佐藤浩市)は事件の検証を行う。そして、榎本は犯人ではない、と純子が断言したとき、榎本が解放されたと連絡が入る。「ベイリーフ」専務の久永(中丸新将)が犯行を自認したからだ。拘置所で純子と接見した久永は、睡眠中の無意識のうちに社長を殺害したのかもしれない、と弱気になっていた。
自由の身となった榎本は、副社長の穎原雅樹(鈴木一真)らに、死亡した社長が狙撃事件を自作自演したのは、社長室に隠した何かを守るため窓を防弾ガラスに交換させたかったからだろう、と話す。さらに、久永は無実だとも言った。
榎本は、自分のことを通報した犯人が自分と社長との因縁を知ったのは、社長室での自分と純子の会話を盗聴していたからだと推測。そんなことが可能な人物は誰か、考えを巡らせた榎本は、第一発見者の窓拭きのスタッフ・佐藤学(玉木宏)に会いたいと申し出た。
やがて、榎本と純子の前に佐藤がやってくる。純子は佐藤に、社長が倒れていた場所を尋ねる。佐藤がキャビネットの方を見やると、榎本は窓の外からだとそこは見えないはずだと指摘。佐藤は、ゴンドラが上がったときに見えた、と証言した。
榎本が検証を重ねた結果、社長は社長室にあった介護ロボットを使って殺害されたという結論に至った。そんな折、水城里奈(能年玲奈)から電話を受けた芹沢は、事務所にやってきた雅樹と面会。雅樹は、「ベイリーフ」の過去の経理を精査したところ、組織的な横領が見つかったと明かす。その額は6億円近くに及び、社長が関与していた疑いがあるという。
純子は再び久永と接見し、社長が横領をしていたこと、その金を貴金属に換えて社長が隠匿していたことを認めさせた。芹沢は、社長がその貴金属を社長室に隠していたはずで、窓を防弾ガラスに換えたがったのは、窓からの侵入者=佐藤を警戒していたからではないか、と考える。
純子と芹沢が佐藤について調査をするうち、純子は佐藤の本名が椎名章であることを突き止めた。一方、芹沢は鴻野(宇梶剛士)から榎本に関する情報を得た。過去に美術館や宝石商で起こった複数の窃盗事件で、事件当日の終業間際、いずれの場所でも榎本の姿が監視カメラに映っているという。
そんな折、純子から介護ロボットの情報を得た榎本は、純子らがいた社長室にやってきた。そして、介護ロボットにキャビネットを持ち上げさせてくれ、と頼む。キャビネットの下に潜り込んだ榎本は、底部に作られた隠し扉を見つけた。しかし、隠されていたはずの6億円分の貴金属は、消失していた。雅樹らが愕然とするなか、榎本は強風のため小さくカタカタと音を立てる窓ガラスに気づく。意識を集中させ指をすり合わせると、やがて、思考の鍵が開いた。
翌日、榎本は、椎名が清掃作業をする場所へやってくると、事の発端は窓の清掃中に偶然、社長室でダイヤを目撃したことだろう、と切り出した。そして、それを盗むことを画策、盗聴器を仕掛け情報収集を行い、自分がシステム強化の工事に取りかかる前に盗んだのだろう、と話した。榎本の言葉に耳を貸さず立ち去ろうとする椎名に、榎本はダイヤを処分しに帰宅するのか、と言い、その隠し場所を言い当てた。驚愕する椎名に榎本は、社長の殺害方法を明かす。それは、睡眠薬で眠る社長を介護ロボットで窓際まで運び、窓に頭をつけさせ、窓の外から重量のある鈍器で頭をめがけて叩く、というものだった。社長は頭を手術したばかりだったので、ガラス越しに伝播する衝撃が致命傷となったのだ、と。
また、自分がそのトリックに気づいたのは、可動するよう細工が施された窓を見つけたときだ、と明かした。社長を手にかけた後、屋上に戻り仲間の清掃員と合流、その後、偶然遺体を発見したように装ったのだ、と指摘する榎本に、椎名は鈍器を見せろ、と迫る。榎本は、屋上の給水タンクのなかにボーリングの玉を見つけた、と答えた。すると、椎名はついに犯行を認めた。
そして、目的はダイヤではなく、社長を殺すことだったと明かした。社長は、昔、椎名の父親と共同経営を行っていたが、会社が傾くと会社の金を持ち逃げした。そのことが原因で、椎名の両親は心中していたのだ。榎本のことを調べたという椎名は、榎本になら自分の気持ちがわかるだろう、と言った。
後日、椎名は警察に自首、久永は正式に無罪が認められた。そんな折、純子と芹沢が所在不明となった榎本の安否を案じていると、純子の携帯に榎本から連絡が入る。榎本は空港にいて臨時収入が入ったので旅行に行く、と告げた。純子から電話を奪った芹沢が、椎名の部屋から見つかった6億円相当のダイヤのうち、1億円分は偽物だったと、榎本を疑うような口ぶりで話す。それを軽く否定した榎本は、フライトの時間だから、と言って電話を切ってしまう。そして、パスポートと搭乗券を手にし…。
「犯罪はペイする」というような匂いのあるドラマもあっていいんじゃないかな。
昔の映画『ゲッタウェイ』を思い出しました。
スティーヴ・マックィーンとアリ・マッグローは無事にメキシコに逃げおおせたと信じてるし。
松本清張作品のように、悪事は必ず露見する、というような道徳観も大切なのはわかりますが。
限りなく黒に近い灰色の終わり方でした。
榎本のニヤリは、「実は、泥棒だったのよ~ん」という意味に思えますが、「真相は教えないよ~ん(想像にお任せします)」という意味にも取れますね。
『ゲッタウェイ』ですか、この映画のエンディングもいろいろあるようで、「実際日本で公開されたときは、二人は国境を越え脱出に成功するが、スペイン版とアメリカ版(アメリカでは州法の規定により違う)では、エンディングが若干異なるところがあるという」(ウィキペディアより)
さらに、製作当初は原作者が脚本担当していたのですが、マックィーンがエンディングが気に入らないと、脚本家を交代させたという逸話があるようです。
テレビのほうが、映画より公共性が高いので、勧善懲悪寄りになるのは、仕方がないのかもしれません。