英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season12』 第6話「右京の腕時計」

2013-11-21 19:49:00 | ドラマ・映画
時計にまつわる
 カノンの歪んだ旋律が、凶行による悲劇狂気を劇的に描写し、壊れた時計の歯車真実を発覚させ、時計のオルゴールの仕掛け真犯人を暴き時計の進みを遅らせた細工犯行を実現させた。
 復讐後、修復された時計が動き出し、カノンの美しい旋律を奏でる……
 見事な演出が、多重偶然のご都合主義や犯行の杜撰さを払拭した……と言っておこう。

事件の概要が何度も反転するのは面白い
①被害者・社長の自殺(なぜ他人の別荘でわざわざ自殺をしたのか? 関へのあてつけ?)
②関が社長を殺害した(しかし、関にはタイマーを設定するのが物理的に不可能)
③社長が関を殺害しようとしていた
④社長の計画を逆用した、津田の犯行だった


 一応、突っ込みます。
★幾重もの偶然
・右京の腕時計の故障
・津田が社長に殺人の協力を依頼されたこと
・関を殺害するための自動発生の細工をする際、偶然、社長の車庫で妻が殺害された時の時計の歯車を見つけた
・社長の腕時計も故障していた

★杜撰な犯行
・薬品を包んだオブラートがエアコンの風で落下して、別の薬品が入っている花瓶に入るというのは都合良すぎ。
 右京と享が2度試みただけで「誰がやっても、同じ所へ落ちますねえ」と断言してしまう右京、ありえない! 享も「ええ」と同意してしまうし……。普通なら、「ええ…って、そんなことあるかい!」と乗りツッコミするところだろう。
 「ピタゴラスイッチの見過ぎ」というツッコミが全国各地から聞こえてきそうだ。
・殺された社長も、硫化水素が発生することを知っているのだから、すぐに危険を察知して逃げるのでは?
・津田が、「現場でキーホルダーを落とした」と言って社長を現場に行かせたが、証拠を取り去るために仕方がないけれど、社長が席を殺害(予定)する時刻にアリバイがなくなってしまうので、計画を断念して、ガス発生の装置を回収すべきだろう。(そこまで頭の回る精神状態ではないが)


【ストーリー】番組サイトより
 右京(水谷豊)の腕時計が狂ってしまったようだ。右京の時計は精密な機械式時計。享(成宮寛貴)の時計は電池式のクオーツで右京にクオーツを勧めるのだが…。
 右京は享とともにいつも診てもらっている公認高級時計師(CMW)の津田(篠田三郎)に修理を依頼する。

 その日の夜、時計輸入販売会社社長・藤井(井上純一)の遺体が、アパレルのヒットメーカー社長・関(辰巳蒼生)の別荘で発見された。死亡した藤井の会社は、津田の勤務先でもある。遺書も発見されたことから、経営難を苦にした自殺と思われるが…。

 関が藤井の会社を買収しようとしており、その対応で藤井が苦しめられていたことがわかった。藤井は関への抗議の自殺をしたのだろうか!?
 さらに調べを進めると、関は有名な時計師である津田に設計図を描かせ、安い時計をファッションアイテムとして大量生産して売り出そうとしていたらしいのだが…。

 藤井の謎の死は自殺か、他殺か? 右京と享が巧みなトリックを明らかにしたとき、一人の男の悲しい半生が明らかに…!?

ゲスト:篠田三郎、井上純一、辰巳蒼生

脚本:徳永富彦
監督:近藤俊明

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『特捜最前線2013』(9... | トップ | ワールドグランドチャンピオ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今回も・・ (koumama)
2013-11-22 08:07:51
あんまりの出来だったなぁと思います(笑)
一番大事な犯行が オブラートに包んだ薬品がちょうどよく花瓶?に落下するだろうかってところですよね(笑)
私もあのとき きっと
みんなありえないって言ってるだろうなってあの場面で思っていました。
だから 英さんの~ピタゴラススイッチの見すぎ。。ってところ、笑いました(笑)

なんだか最近 面白さが半減してて 惰性で見てる感じ。。前はわくわくしたのになぁ。
返信する
残念ではあります ()
2013-11-22 17:16:11
koumamaさん、こんばんは。

 時計にまつわる因と縁(奥さんの死と壊れて止まったままの時計など)や、オルゴールのカノンの狂った旋律など、感心した部分も多かったです。
 それだけに、ピタゴラスイッチの仕掛けは残念でした。しかも、それがドラマの前半部分だったのでマイナスの影響が大きかったです。
返信する
神通力に頼りすぎると神通力は消える (かみしろ)
2013-11-25 06:22:53
シリーズの過去の遺産、パターン、確立したキャラ。
そういったものに頼りすぎだと感じました。
殆どの方が突っ込みを入れたであろうピタゴラの無理は書いた本人も当然に知っていて、このシリーズで殆ど間違えることのない右京の信用を利用して無理を通そうとしたように見えます。
最近このパターン結構目にするのですが、今回はかなりあからさまで、もう何回かやったら右京がアホに見えてくるのではないかと心配です。

犯行動機が? 殺害された社長の性格も? 時計技師のキャラクターもよくわからない。

時計の部品が見つかったので、社長があやしい、というのは理解できるのですが、

何故か事故死(殺意があった風には全く見えないし、特別危害を加える意志も伺えない)に近い場面を想像し、正に今目の前で妻が殺されたかの如き確信を抱いて、何の確認もせず社長の殺害計画を実行する・・・・・どうして。

社長は果たしてどんな人間だったのか。なんとなく、簡単に人を二人も殺そうとする(一人殺した)人間なのだから、特に説明なしで殺されてもいいよね? という風に感じるのは雰囲気で押し通そうとしているからだろうか。
まず時計技師の奥さんに関しては、殺害の意図は全くなかったように見える。その後平然と嘘をついて技師を懐柔し、しかもそれを恩に着せて殺人の協力を頼む、辺りで、殺されて当然の悪人という充分な説明がなされた、と判断したのだろう。
ところが、その担保がガレージに転がっていた部品一つなのです。
仕事に関してはちゃんとしていたようで、宣伝力だけで粗製濫造のブランド品を売って儲けようともしなかった、しかし、時計技師を自社に誘った際には、時計云々より金、という人物という印象を与えようとしているように見える。
結果的にとはいえ一人の人間を殺し、しかもそれを利用して自分の狙いを達成し(ただしここまでのことの担保はあくまでガレージに転がっていた部品一つだけなのです)、社長の座が危うくなったらまた殺人の計画を立てたので、それらが正しければ確かにろくな奴ではなかったのでしょう。

どんな理由があろうとも殺人はいけない、というのはこのシリーズのパターンですが、あまりに簡単に人を殺す人物が多く登場することで、その主張まで軽薄になってきています。時計技師にしても、今のいままで騙されていたという怒りはあったにしろ、妻が死んだのは何年も前なのです。理性を働かせて然るべき時は経過しており、葛藤らしい葛藤もなく復讐に至るキャラクターを共感してくれと描いてしまっては、「どんな理由があろうとも殺人はいけない」というモチーフを全く口先だけの嘘にしてしまいました。

>時計にまつわる因と縁(奥さんの死と壊れて止まったままの時計など)や、オルゴールのカノンの狂った旋律など、感心した部分も多かったです。

あのアイデアは素晴らしく感じました。残念なことに詰めが甘かったのですが、最近のシナリオは「長期シリーズ故の難しさ」だけでは到底納得できない質の低下があると思います。シナリオライターの単価が安すぎるのか、人手不足なのかわかりませんが、もっとシナリオを練る時間をかけないと(かけられるようにしないと)、自滅しますよね。文化的な面のある業界は商業度外視の精神が他の業界より大きくないと、簡単に業界そのものを食いつぶして衰退しますから。
返信する
ゴリ押しでした ()
2013-11-25 18:03:26
かみしろさん、こんばんは。

>ピタゴラの無理は書いた本人も当然に知っていて、このシリーズで殆ど間違えることのない右京の信用を利用して無理を通そうとしたように見えます。

 かなりゴリ押しでしたよね。
 せめて、花瓶に見立てたものを用意して、100回ぐらい検証してほしいです。

>今回はかなりあからさまで、もう何回かやったら右京がアホに見えてくるのではないかと心配です。

 確かに、今回のは目が点になり、これを何度も繰り返すと、ファンは離れていくでしょう。

>犯行動機が? 殺害された社長の性格も? 時計技師のキャラクターもよくわからない。

 まず、殺された社長ですが、おっしゃる通り短絡的に殺人を計画したり、奥さんを殺しておいて、いけしゃあしゃあと津田を雇い、津田を励ます。そのうえ、それを恩に着せ、殺人に加担させるなど、相当ひどい人間だが、それでいて、品質にはこだわる。また、そんなに悪人なら、津田を立ち直らせることはできない気がする。
 津田が犯行に至るカギはもちろん、歯車ですが、もう一つ、妻が殺害された日にしか鳴らなかったカノンの曲を、社長が聞いていたということも関わっています。
 津田の心境は、妻が殺された時に壊れてしまった時計と同じように、心も止まってしまった。それが、今回、部品の歯車を見つけ、再び動き始めたが、右京の言うように、動くことが「復讐」ではなく、「時計作り」であってほしかった。
 右京に関しては、犯人を責める場合、特に職人やプロの時、商売道具を犯行に使用したことに激高しなかったことに、違和感を感じましたが、ま、これは、それだけ犯人に同情していたと考えます。

>どんな理由があろうとも殺人はいけない、というのはこのシリーズのパターンですが、あまりに簡単に人を殺す人物が多く登場することで、その主張まで軽薄になってきています。時計技師にしても、今のいままで騙されていたという怒りはあったにしろ、妻が死んだのは何年も前なのです。理性を働かせて然るべき時は経過しており、葛藤らしい葛藤もなく復讐に至るキャラクターを共感してくれと描いてしまっては、「どんな理由があろうとも殺人はいけない」というモチーフを全く口先だけの嘘にしてしまいました。

 これは、上記(激高しなかったのは同情したから)と相反しますが、同意です。
 まあ、歯車が見つかったのは「時計を作ってほしいという奥さんの思いだったのでは」と津田をたしなめた点では、犯行を攻めていますが、津田の葛藤が描かれていなかったのは、『相棒』というドラマが軽くなってしまいます。
 ただ、ミステリーを成り立たすには、津田の葛藤を挿入し難かったのかもしれません。

>もっとシナリオを練る時間をかけないと(かけられるようにしないと)、自滅しますよね。

 同感です。1シリーズを現行の半分の10話程度にした方がいいと思います。質が高ければ、話数が減っても、文句どころか喜ばれると思います。
返信する

コメントを投稿

ドラマ・映画」カテゴリの最新記事