英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

パリ五輪雑感 その19 パリ五輪のベストゲーム⑤

2024-09-29 19:19:32 | スポーツ
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」「その7」「その8」「その9」「その10」「その11」「その12」「その13」「その14」「その15」「その16」「その17」「その18」

(もう閉幕してから、50日近くも経っているのに……
 でも、書いてしまわないと、落ち着いて他の記事が書けないんです)


 “ベストゲーム”と題しているのに、何試合も挙げるのはおかしい気はしますが……
バスケットボール 女子決勝戦 アメリカーフランス戦
 バスケットボールは女子決勝も米仏の対決となった。

 第1Q、両チームとも厳しいディフェンスで簡単にシュートまで持っていけない。アメリカはポテンシャルも高く経験も豊富(全員が五輪か世界選手権の金メダル保持者)だが、フランスも技術や運動ポテンシャルも身長も引けを取らない。ダブルチームを仕掛けなくても1対1で守れる。アメリカにとっても、こういうチームと対戦するのはあまりない。(フランスにも同様なことが言える)
 そういう状態のうえ、ディフェンスが厳しいので、そのディフェンスをかいくぐってシュートに持っていく時点で目いっぱいの状態となり、シュートの確率が悪かった。フランスは相手プレーヤーをファールしないと止められないことが多いのが気になったが、フランスのチェックが厳しいためかアメリカはターンオーバーが目立った。6分以上経過して、アメリカ6-5フランスとロースコア。
 それでも、アメリカはフリースローで得点を重ね(7点)、さらに終盤に投入したグライナー(203cm)の4得点で、第1Qはアメリカ15-9フランスのアメリカが6点リードして終えた。

  第2Q、アメリカは最初2点取ったものの、オフェンスが雑でパスミスなどターンオーバーを連発。シュートまで行っても単独オフェンスが多く、点が入らない。
 フランスもシュートやパスのミスは多いが、パスをしつこく繋いだり、オフェンスリバウンドを頑張ったりと、チームオフェンスの意識が見られた。ロースコアペースは変わらないが、残り約7分で、アメリカ17-16フランスとほぼ追いつた。
 この後、一進一退が続いたが、残り2分47秒で、フランスが24秒オーバータイム寸前、ハーフライン付近でパスを受けたマリヌ・フォートゥーが苦し紛れに放ったシュートがネットに沈み、23-23の同点に。会場は大盛り上がり。
 この後、フランスが2点追加して、アメリカ23-25フランスで前半終了かと思われたが、終了間際、ナフィーサ・コリアーがリバウンドボールをねじ込むブザービーターで、25-25の同点に持ち込んだ

 アメリカは第1Q終盤活躍したグライナーが第2Qも引き続きコートに入ったが、アメリカオフェンスが単独プレーが多く、グライナーは機能せず、約3分間でベンチに下がった。(ディフェンスでもフランスのスピードに対応できないこともあった)

 第3Qに入っても。アメリカは1対1オフェンス志向のプレーが目立ち、ターンオーバーを繰り返す。一方のフランスはチームオフェンスを意識、シュートセレクトもよく、3Pシュート2本を含む得点で、第3Qに入っての2分40秒弱で10ー0と走りアメリカ25-35フランスと10点のリードを奪う
 ここで、アメリカも反省。チームオフェンスを意識し、プラムが3Pシュートを決めるなど2点差に詰め寄る。フランスにとって不運だったのは、速攻のドリブルシュートに行ったマリーヌ・ジョアネスが相手ディフェンダーのチェックしに行った腕が、顔面に当たり(腕かサポーターが目に入ったのかもしれない:ノーファール)、一時プレー不能状態に陥り、3Pシュートを打つプラムが完全オープンになってしまったこと。これでアメリカ33-35フランス(第3Q残り5:33)
 この後、アメリカ35-40フランスとリードを広げるが(残り4:46)、アメリカはエースのウィルソンがブロックショット、リバウンドなど攻守に活躍し、アメリカ43-40フランスと逆転(残り1:36)第3Qはアメリカ45-43フランスのアメリカ2点リードで終了。

第4Q
 最初の1分30秒は、互いに動きが硬く、ターンオーバーやシュートミスが続く。
 ゲームが動いたのは、マリエム・バディアヌの柔らかいタッチのジャンプシュート。アメリカ45-45フランス
 この後、互いにファールを貰ってのフリースローを2本ずつ決めて、アメリカ47-47フランス(残り7:46)
 この次のアメリカのオフェンスは、トラベリングのターンオーバー。少し前のオフェンスでもパスの出しどころがなくて困っていた。アメリカが苦しんでいる。
 これに対しフランスは、コーナーで完全フリーとなったアヤイが3Pシュート。惜しくもリングに弾かれたが、完全にフランスペースだ。しかし、ここで悪い流れを押しとどめたのが、エースのウィルソン。相手のマークがついた状態でパスを受けたが、ドリブル後フェードアウトのジャンプシュートを決める。アメリカ49-47フランス(残り6:39)
 フランスもアヤイがファールを貰い、フリースローを2本とも決めアメリカ49-49フランス(残り6:18)
 アメリカのシュートが外れた後、ゴール下でパスを受けたマリエム・バディアヌがシュートをねじ込み、アメリカ49-51フランス(残り5:30)、逆転!
 ここで、アメリカはウイルソンがリングにアタック(ドライブシュート)。ファールを貰いフリースロー2本を決め、アメリカ51-51フランス(残り5:15)
 今度は、残り5:04でマリヌ・フォトゥクスがファールを貰いフリースローを2本決め、再びリード(アメリカ51-53フランス)
 残り4:35、コパーが相手ディフェンダーの身体にぶつかりながらシュート。外れたが、ファールを貰い、フリースロー2点。アメリカ53-53フランス、同点
 さらに、相手オフェンスを凌いだ後、コパーがドライブシュート!アメリカ55-53フランス、アメリカ逆転!
 すると、ウイリアムズがリングに直進ドライブシュートを返し、アメリカ55-55フランス、同点!(残り4:00)
 残り3:45、ファールを受けたスチュアートがフリースロー1本決め(1本外す)、アメリカ56-55フランス
 残り3:24、フランスの3Pシュートが外れ、リバウンドがアウト・オブ・バウンド。アメリカ選手が最後に触れたように見えて、フランスベンチもビデオ判定を求めるジェスチャーをしたが、なぜかそのまま続行。
 残り3:09、ウィルソンのジャンプシュートが撥ねて、ボード最頂部に当たった後、リングに吸い込まれるというラッキー。アメリカ58-55フランス。アメリカ、3点リード。
 フランスのオフェンス。オフェンスリバウンドを取り、3Pシュートを放つも外れ、アメリカ・スチュアートがリバウンドを取るが、フランスが駆け寄りボールを掴む。執念のジャンプボールシチュエーションでフランスボールに。
 スローインの際のポジション争いで、4ファールだったヤングがプッシングのファールを取られ、ファールアウト(退場)。残り2:34。
 これ、リプレイで見ると、気の毒。ヤングの背後にいたフランス選手に押されて、前へ弾き飛ばされたヤングが、フランスのウイリアムズにぶつかってしまったのだ。このパターン、残り5:04のファールの時もそうだった。
 ウイリアムズがフリースローを2本決め、アメリカ58-57フランス(残2:34)
 残り2:19、アメリカ、プラムがリングにドライブ。ファールを貰い、2本とも沈める(アメリカ60-57フランス)。
 《シュートに持ち込んでファールを貰い、フリースローで得点する》というのが、第4Q中盤からのアメリカの戦術か。これに対し、解説の矢野氏は、「チームオフェンスで気持ちよく得点をした方が、士気が上がる」と批判的だったが、難しいところだ。《ファールをもらいフリースロー》というのは確実性の高い戦術である。うまくいけば3点プレーになる。
 お互い、オフェンスを失敗し、フランス・ウイリアムズがロングシュート(2点)を決める。アメリカ60-59フランス(残1:32)。1点差!
 残り1:19、コパーがスクリーンプレーを利用しドライブシュートをねじ込み、アメリカ62-59フランス(残1:19)
 残り55秒、ウイリアムズの放った3Pシュートはエアボール。3点リードのアメリカがボール保持で残り55秒。フランスは苦しくなった。
 アメリカのオフェンス、エースのウィルソンにボールを託し、1対1を仕掛ける。しかし、ここで、まさかのトラベリング。マークしたマリエム・バディアヌがうまく体を寄せて、ドライブコースをなくしたのだ。
 残り、41秒。これで、わからなくなった。
 フランスのオフェンス。アメリカの厳しいディフェンスでオフェンスが膠着。24秒オーバータイム目前で苦し紛れにシュートを放つがシュートブロックされてしまう。ここで、フランスはファールゲームでる。チャンスを待つしかない。残り17秒、時間を消費したうえ、点差を詰められず、攻撃権はアメリカ……厳しい状況だ。
 アメリカ、ウイルソン、フリースローを1本決め(1本外す)、アメリカ63-59フランス(残17秒)
 残り13.5秒でマリーヌ・ジョアネスがファールを受け、フリースロー2本決め、アメリカ63-61フランス(残13.5秒)
 フランス、ファールゲームに出る。プラムが2本ともフリースローを決め、アメリカ65-61フランス(残11.5秒)
 フランスのオフェンス。エンドラインからのスローインなので、ボールを受けたウイリアムズがフロントコートに持ち込むまで3秒ほどかかってしまう。さらに、ウイリアムズが3Pライン1.5m手前までドリブルで持ち込み、すぐさま3Pシュート!。これが決まり、アメリカ65-64フランス(残4.9秒)。あきらめない。
 アメリカ、スローインに急いでファール。残り、3.8秒。
 コパーがフリースローを2本とも決め、アメリカ67-64フランス(残り3.8秒)
 フランス、自陣でスローインを受けたジョアネスが相手陣に駆け込むウイリアムズにパス(残り2.9秒)。ウイリアムズは3Pライン手前で軽くジャンプ(残り2.0秒)して、パスを手にしつつシュート態勢を整えつつ着地(残り1.6秒)。着地するや否やジャンプシュート(残り1.3秒)
 ………ボールはボードに当たり、バウンドしてリングに吸い込まれた(残り0.1秒)
 しかし、……しかし、無情にもウイリアムズの足は3Pラインを踏み越えていた!

 アメリカ67-66フランス
 1点、届かなかった………

両エースが凄かった
アメリカ
 ウィルソン……21得点 13リバウンド(OR 5 DR 8) 1スティール 4ブロックショット
 コパーもいい活躍をした 12得点 5リバウンド(OR 1 DR 4) 2アシスト 2スティール
 プラム…12得点 4アシスト
 スチュアート…8得点 4アシスト 3リバウンド(OR 1 DR 2) 2スティール
 アヤイ……9得点 2アシスト 1スティール
 コリア―…7得点 11リバウンド(OR 5 DR 6)
ウィルソンは攻守に大活躍

フランス
 ウィリアムズ……19得点 7リバウンド(OR 6 DR 1) 2アシスト 3スティール
 アヤイ…9得点 4アシスト 2リバウンド(OR 1 DR 1) 2アシスト 1スティール
 ジョアンヌ…9得点 
 バディアヌ…8得点 6リバウンド(OR 2 DR 4) 3アシスト 2スティール
 コリア―…7得点 11リバウンド(OR 5 DR 6)
ウィリアムズの第4Q終盤は感動モノだった。
 厳しい場面でのジャンプシュート、オフェンスリバウンド。ファールゲームの為、しっかりファールする……最後の2本のロングシュートは素晴らしかった


 ”ベストゲーム”として5ゲーム、ご紹介したが、“一番”を挙げるとしたら、間違いなくこのゲームだ。
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