英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『福家警部補の挨拶』 第3話「プロジェクトブルー」

2014-01-30 18:02:03 | ドラマ・映画
クリエイターのプライド
 致命傷を与えられるかは別にして、
新井がなぜ凶器に本物の“ミリバール”を使ったのか?」……犯行シーンを観た時も、≪えっ、そっち(本物)?≫と思ったが、この理由が今回の大きなカギだった。
 新井にとっては、本物の“ミリバール”より自分が作った精密で優れた“贋作のミリバール”の方が遥かに価値があったのだ。
 このクリエイターのプライドが、鮮やかなブルーの試作品の塗料を使ってしまい、それが証拠となり、その塗料を使って制作した新ブルーマンのフィギュアを壊す(燃やす)ことができなかった。


 既視感は若干あるが、このクリエイターの心理による犯行、逮捕劇は面白かった。
 しかし、それを成り立たせるための「お膳立て」は綱渡りだった。


①新ブルーマンのフィギュアの試作品を5体も準備した割には、殺害手段が場当たり的だった。
 “クリエイターのプライド”は今話のテーマであるが、そのためには本物の“ミリバール”を凶器にしなければならない。しかし、初めから凶器にと計画するのは不自然。「本物の“ミリバール”に憎悪を持っていた」という筋書きはあるかもしれないが、ドラマ的には「偶然、“ミリバール”を凶器に使用してしまった」方が意外感がある。
 「それで絞殺で自殺に見せかけて失敗、やむなく殴打」という筋書きにした。まあ、抵抗しないと、試作品と良の取り違えも起きないが。

②証拠となった塗料の試作品を取り違えさせるには、小寺が殺人現場に来る必要があった。
 死体を見つけてパニックになるのはあるかもしれないが、その場に留まるか、屋外(入口付近)に残って、警察や救急車の到着を待つ可能性が大きい。
 計画外の小寺の登場にもかかわらず、小寺に容疑が向くように小細工をするのは冷静すぎる。

③被害者が新井に関する資料(雑誌記事など)に付箋を付けたり、広げっぱなしにしていたので、福家が新井の所に行くきっかけとなったが、実際に容疑を強めたのは、新井が福家と話している際に、使った綿棒を折ってゴミ箱に捨てた。
 その綿棒の折れ方が、新井が顔に付いた塗料を拭き取るのに使い、ゴミ箱に捨てた綿棒のそれと似ていたからである。
 ならば、その折れた綿棒が、新井が犯行現場にいたという決定的な証拠になるのではないだろうか?
 福家なら、疑惑を持った時点で、殺害現場の綿棒をチェックするはずだが……

 “クリエイターのプライド”を主題とするため、スルーするしかなかったのだろう。


 業界のことはよく分からないが、殺人を犯すくらいなら、また、自分の制作したフィギュアにそれだけのプライドを持つのなら、『丸吉』に過去の過ちを告白すればよかったのに。
 出来も素晴らしかったのだし、時効でもある。確かにダメージは大きいが、殺人のリスクを考えると、相談すべきだった。まあ、それだと事件は起こらないが……やはり、相談は有効な手段だよね。
 あとは、福家警部補に魅力があればなあ……

 それにしても、試作品のニュータイプのブルーマンはかっこいい!
 あの鮮やかなブルーも素晴らしい!



【ストーリー】番組サイトより
 『スワンプ・インプ』社長で、フィギュア造型家の新井信弘(北村有起哉)は、大手玩具メーカー『丸吉』とコラボ企画を進めている。それは『丸吉』が販売する『銀河戦士ブルーマン』の新フィギュアの造型を新井が製作するという大きなプロジェクト。新井の会社に品物を納める塗料会社の小寺浩二(中山祐一朗)も興味津々。『ブルーマン』のデザインが決定し、試作品を急ぐ『丸吉』に、新井は一晩で作ると約束。しかし、新井はフリーの造型家、西村浩(片桐仁)の作業場へ向かった。
 十数年前、『丸吉』が限定品で販売し、マニア間では高値で売買される『ミリバール』というロボットフィギュアの贋作が出回る事件があった。西村は贋作を作り、売ったのが新井だというのを嗅ぎ付け、その事実を『丸吉』にばらすと新井をゆすりにかかる。
 新井は持参した本物の『ミリバール』と偽物の交換でけりをつけようとする。だが、あくまで金を要求する西村を思い余って撲殺。そこに小寺が西村の発注した塗料を届けに来た。西村の死体を発見し、パニックで立ち去ってしまう小寺。物陰に身を潜めていた新井はあることを思いつく。
 翌早朝、臨場する石松和夫警部(稲垣吾郎)たち。後から現れた福家警部補(檀れい)に、石松は苦い顔。二岡友成(柄本時生)から殺害状況を聞いた福家の頭の中には多くの疑問が浮かぶのだった。一方、石松たちは西村が最後に電話した小寺に容疑者の目星をつけた。
コメント (2)
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