カンボジア経済

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中央銀行 不良債権対策を再導入 預金準備率の維持も表明

2024年09月11日 | 経済
 8月21日、中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、金融機関の健全性を維持しつつ貸付を促進する政策に関する通達を発出しました。この通達では、資本保全バッファー比率を2025年末まで1.25%とする、リエル建ての預金準備率を2025年末まで7%で維持する、返済が困難になっている借入人の債務条件緩和を許可するという3政策が通達されました。
 資本保全バッファーは、自己資本の最低所要比率に加算されるもので、国際的なバーゼル規制では2.5%となっていますが、カンボジアでは1.25%となっています。今回の通達では、2025年末までこの比率を引き上げないと表明することにより、金融機関が貸付に回す資金を増やす効果があるものと見られます。
 預金準備は、預金引き出しに備えて預金の一定割合を金融機関が準備しておくものです。カンボジアではリエル建ての預金の準備率は7%ですが、これも2025年末まで引き上げないと表明することで貸付を後押しする効果が期待されます。
 返済が困難になっている借入人の債務条件緩和については、新型コロナ対策として実施されていましたが、2022年6月に終了していました。その再導入を許可したものです。詳細については、8月29日に更に通達が発出され、こちらも2025年末まで規制緩和を継続すると表明されています。
 カンボジア経済のエンジンである縫製品等の輸出は回復しつつありますが、建設・不動産不況は深刻な状況が続いています。観光業も、新型コロナの影響からの立ち直りが遅れています。こうした中で、金融機関では不良債権比率が高まってきており、新規貸し付けが伸び悩んでいました。
 カンボジアは高度にドル化した経済であるため、中央銀行が実施できる金融政策には限りがありますが、金融機関が貸付を伸ばすマインドを後押しする今回のような政策は効果があるものと期待されます。カンボジア国立銀行の地道な努力が継続されることが期待されます。
(写真は、商業銀行最大手のACLEDA銀行本店)

カンボジア国立銀行のフェイスブック(クメール語)
https://web.facebook.com/nationalbankofcambodiaofficial/posts/pfbid0vsNt14QoxNSpKaoy5nC1R3yN7s5diMhZGohVytD5MToTagmCh9SpaN7dHGfNnxNWl


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