カンボジア経済

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銀行監督年次報告書2016

2017年04月21日 | 経済
 4月10日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行 (National Bank of Cambodia:NBC)は、銀行監督報告書2016を発表しました。この報告書は年1回発表されますが、カンボジアの銀行セクターについて詳細なデータも含んでおり、大変参考になります。
 2016年も、カンボジア経済の好調の波に乗り、カンボジアの銀行セクターは引き続き順調に成長しました。2016年末の商業銀行37行・特殊銀行15行の総資産は、2015年末から20.9%増加して96.2兆リエル(約241億ドル:約2兆6300億円)に達しました。2016年末の貸付残高は、前年比20.5%増の55.7兆リエル(約140億ドル:約1兆5300億円)となりました。預金残高も、前年比21.4%増の55.7兆リエル(約139億ドル:約1兆5200億円)となっています。純利益も順調で、8.6%増の1兆7247億リエル(約4.3億ドル:約470億円)となっています。総資産利益率(ROA)は1.8%、株主資本利益率(ROE)は10.0%と好調です。
 貸付先をセクター別シェアで見ると、小売17.4%、卸売14.2%、農林水産業10.8%、その他サービス8.0%、製造業6.9%等となっており、実業向けが中心となっています。建設は8.7%、住宅(個人向け)7.8%、不動産5.0%に留まっています。
 貸付金利(加重平均)は、ドル建て1年で12.6%/年、リエル建て1年で17.7%/年となっています。預金金利(加重平均)は、ドル建て1年物で4.5%/年、リエル建て1年物で5.8%/年です。預金金利は銀行間でばらつきが大きく、高いところでは、ドル建て1年物で6.0%/年(カンボジア郵便銀行他)、リエル建て1年物では7.0%/年(ACLEDA銀行他)となっています。
 商業銀行・特殊銀行の平均不良債権比率は、2015年末の2.0%から若干上昇して2016年末は2.4%となっており、引き続き問題ない水準にあります。
 NBCでは、銀行セクターは好調を続け貸付も急速に伸びているものの、リスクに十分な注意を払いつつ、貸付に際し慎重な検討を行うとともに、NBCによる各種規制に則って各銀行の健全性の確保に留意しているとしています。
 NBCでは、最低資本金規制の見直し、流動性カバレッジ規制の導入、銀行監督の強化等により銀行セクターの健全性維持に努めています。また、即時決済システム(FAST)の導入等による効率化により銀行セクターの効率向上や成長促進にも取り組んでいます。今後の課題として、借入人側の金融知識の向上、金融包括の促進、国際的協力も含めて銀行監督能力の向上等にも取り組んでいくとしています。

カンボジア中央銀行のサイト(英文です)
https://www.nbc.org.kh/download_files/supervision/sup_an_rep_eng/Annual-Report-2016-ENG-Final.pdf


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