Panasonic LUMIX G1 が発表されて色々とその特徴を知るにつれて「これは面白そうだ」と興味がわいた。
まず一眼レフの形をしていてレンズを交換できるのだがレフレックス・ミラーを使ってない。戦後間もなく二眼レフで始まった日本製カメラだが、アサヒフレックスという名の、日本初の一眼レフ(ペンタプリズムは付いてなかったので二眼レフの様に上から覗くタイプのカメラだった)が、発売されてから約50年以上の月日が流れた。そのあいだ、ミラーで映像を上側に反射して、その画像を見ると云う形式が常に付いて回っていた。アサヒフレックスの原型となったのはドイツのエキザクタと云う一眼レフが有ったがこのカメラは撮影直前にミラーを跳ね上げたままでシャッターを切った後は何も見えない状態で、次の撮影に備えてフィルムを巻き上げるとミラーが降りる仕掛けであった。アサヒは撮影時に跳ね上げたミラーを撮影直後に自動的に元の位置に戻すクイックリターンと云う画期的な方法で解決した。ペンタプリズムが付いてレフレックスミラーがクイックリターンする今の一眼レフの原型となったアサヒペンタックスS2が世に出て、続いてニコンFやキャノンフレックス、ズノー、ミランダ、ミノルタSR2、トプコンREスーパーと続々と一眼レフが誕生し、世界をかっぽし、ライカやコンタックス、更に国産のキャノンV、ニコンSPなどのレンジファインダーカメラを駆逐して今に至り、昨今はデジタルカメラとなって実用機を独占したかの様相である。
そこへ現れたミラーレスの一眼カメラだ。
勿論コンパクトデジカメもミラーが無いカメラだが、これにはいわゆるファインダーが無い、代わりにカメラの後ろ付いたディスプレーに表示される画像を見てシャッターを切る。またレンズの交換が出来ない要するに性能を犠牲にしたコンシューマー向けのカメラであり、一般に別扱いとしている。
では、ミラーが有ることで何が起こるか、カメラとレンズに間にミラーが有ることでミラーの占める特定の寸法が、一定以下のレンズの焦点距離の物が作れない事になる。これを無理に広角レンズ実現するためにレンズの中心から前は広角レンズで中心から後ろを望遠レンズの様に焦点距離を無理矢理長く伸ばしてしまった。この方式をレトロフォーカスと云うのだがレンズが大きく重くなる尤も顕著な要因となっている。
通常レンズを取り付けているマウント面からフィルム面若しくは画像センサーまでの距離をフランジバックと云っている。ミラーを無くしてこのフランジバックが小さくなると、広角レンズの設計にゆとりが出来るので軽くなるだけでは無く、高性能なレンズを期待出来るのだ。
では一眼レフよりも勝っているのか、いや現在はそう迄は云えない。一眼レフには50年以上積み重ねたそれなりの実績がある。各社が技術の粋を注ぎ込んで作って来た訳だし、カメラには多種多様なレンズやアクセサリーなど使用目的に合ったシステム構成が完成している。
ミラーを無くした事による問題も有る。ミラーで反射されてファインダーで見える画像はレンズを通した実像をその磨りガラスの様な面に投影して見て居るので光や色に忠実な像を見ることが出来る。それに対してミラーレス方式は、撮像素子で電気信号に変えて、液晶などの電子画面をファインダーに表示するので間接画像を見ることになる。液晶表示画像の色特性など実像に比べて色域が狭い面は今後の改良を待たねば成らない状況にある。現時点では、今後に期待出来る新しいタイプのカメラと云うことで期待したい。
そして私は、このカメラに抱いた魅力として、一台だけ持って身軽に出かける時に頼れるカメラと云う位置づけで考えている。従来こんな時にはコンパクトデジカメを持って出たが、撮像素子が小さい為にノイズが多くて撮った写真画像は実用に成らないのだ。そのため撮影画像を後に役立てる期待があるときには、常に重いカメラを持ち出す必要があったのだ。
左側の画像は、1000万画素のコンパクトデジカメで撮った写真の一部を拡大したものだ。
右の画像は、ほゞ同じ条件で撮ったLUMIX G1の画像だ。
両者の違いは一目で分かると思うが、コンパクトデジカメの画像は一面に白い斑点が見える。これは画素数の問題では無く、超小型撮像素子なるが故に避けられない欠点なのだ。メーカーが違うどのコンデジにもこの種のノイズが乗っている。画面のような青一色などの画面でないと気付かない事が多いし、L版程度のプリントでは分かり難いのだが、大きなサイズでプリントすれば確実に目に付く事だ。