にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

医師充足率100%???

2005-07-14 08:23:57 | つれづれ
今日の東奥日報に、県内の29自治体病院で医師充足率が100%を超えたという記事が載りました。
でも実際にはというと、、、残念ながら現場の医師不足感は以前より強くなっています。
一つは昨年から始まった臨床研修医制度です。
以前は大学病院などの特定の教育機関が研修を行っていて、自治体病院にはある程度は訓練された医師が派遣されていたわけですが、この制度が始まってからは自治体病院も主要な教育機関になりました。研修医も国家試験に合格して医師免許を持っているので充足率にカウントされますが、もちろん初めから一人前に仕事が出来るはずなどなく、指導医のもとで一から勉強するわけです。指導医は患者さんへの医療の提供と研修医の指導という二つの仕事をこなさなくてはいけないのですが、指導医の数は全く増えていないどころか、科によっては減ってすらいます。
見かけの充足率増加が、実は現場の医師不足に拍車をかけている、、、という側面は否めません。
二つ目は充足率の算定方法です。
ベット数や外来患者数を元に算定されますが、病院の持つ機能や科の特性などはほとんど考慮されていません。極端に言えば、3分かからずに済む患者さんも、数人がかりで長時間かかって検査をするような患者さんも、一人は一人だということです。
より高水準の医療をより安全に行うことを求められる中では、単純な机上の計算ではすまないことがたくさんあります。県内に残ってくれる医師を増やしていくのと同時に、どんぐりのような一次医療機関とむつ病院のような二次・三次医療機関が上手に連携して、お互いの能力を引き出せ合えるようなシステム作りが必要ですね。