福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

大学院時代をどう過ごすか(4)

2006-12-24 01:21:00 | 大学院時代をどう過ごすか

耕一の科学への大きな興味と、深い探究心は、小学校の理科の時間や実験、友だちとのたのしいあそびのなかで育っていきました。

「教科書にかいていないことでも、すきなように発想してもいいんだよ」
沢柿先生のことばは、耕一の体にしっかりときざまれたのでした。

(国松俊英著『理科室から生まれたノーベル賞』 岩崎書店)

研究を進めていく上で、その前提として探究心が必要不可欠ですが、深い探究心はどのように養われるのでしょうか? 小・中学校時代に、沢柿先生のように子供の個性を見抜きながら、科学への興味を育んでくれる、熱意があって優秀な理科教師に巡り会えたなら、とても幸せなことです。しかし、現在では必ずしもそうした先生に出会えないかもしれません。

大学院時代は、研究テーマについてあれやこれやと考えながら、自由に実験してみるのも良いかもしれません。その実験結果について、直ぐに身近な院生や教員と議論してみましょう。その中から新たな発想が生まれるかもしれません。一見、教科書やすでに報告された知見と食い違う結果が出たとしても、十分吟味してみましょう。その吟味の過程で大きな発見に繋がるかもしれません。たとえ、それが実験そのものに不備があったとしても。

昨今、自由に実験させてくれない研究室も存在することも確かです。特に、大型研究プロジェクトを抱えた場合は、研究テーマそのものにも縛りがあるかもしれません。一方で、研究費が少ない研究室では、経済的に自由に実験できない不自由もあるかもしれません。いずれの場合も、思い立ったら直ぐに実験計画を、また、得られた実験結果を教員と相談してみましょう。

大学院時代こそ、自由な発想で研究して欲しい。