「つげ義春が語る 旅と隠遁」を半分近く読んで、この本が半世紀の間のインタヴューと対談を纏めた本であることが、ぼんやりした僕にも分かって来た。
もう読んでいて涎が出るというのか、1960年代から宿場や街道を訪ね、温泉宿に泊まっているのだが、当時から観光地ではなく鄙びたところを目指していたから、今ではもう見ることが出来ない藁ぶき屋根の集落や古びた温泉を経験していてね。
当時から宮本常一の書いたものを参考にして出かけていたらしく、宮本常一の著作を読んでいても涎が出て来るけど、要はその頃までは未だ山間部には江戸時代の集落や生活が残っていて、それに間に合ったったわけで、兎に角羨ましい。
つげは一時中古のカメラを集めて直していたらしく、それを商売にしてもいいと思ったが、新しいカメラは修理が出来ないようになってしまい、将来が無いことを悟り諦めた。
日本のカメラはアメリカに輸出するので、レンズがアメリカ人好みで詰まらない、ライカのような味わいが無かったと云ってるから、かなり深みに嵌っていたようだ。
ところどころに、そのライカで撮ったと思われる麦わら屋根の宿場や温泉の写真があり、それを見ているだけで懐かしく、涎も出たけど涙も出た。
平塚図書館のつげ義春の蔵書から、写真や漫画が多く掲載されていと思われる本をカンで選んで予約した。