キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

ソムリエの語源

2009年09月16日 | Weblog
今朝は神戸で朝を迎えております。アナケナの業務店向け試飲会と、業務店での消費者向けプロモーションを行い、ここ数年ヴァルフォルモサをお取扱いいただいているスペインレストランの竹内さんのところで、ブリュットを一本空け部屋に帰ってきたのが、シンデレラリバティーを跨いだ頃、少々疲れました。

さて、先日、長男と長女の連合軍が「親父、ソムリエの語源知ってるか」と問いかけてきました。生憎、語源については考えた事も無く、きっと貴族の給仕かなんかが語源ではないかと答えたところ、これが全然違っていて、毒味役がそもそもの意味だとのことです。

日頃からテレヴィのヴァラエティーで雑学を争う番組についてケチをつけており、そんな詰まらんものは観ないで本を読めといっているのですが、連合軍は逆襲を試みたわけです。しかしながら、テレヴィの知識というのは無責任なものが多く、きっと間違っていると密かに思っていたのですが、その場は、ワインを生業にしたるものが、この体たらくでは日本の企業倫理は地に堕ちているとの批判を甘んじて受け入れ、密かに逆襲を心に誓ったわけです。

東京堂出版の「世界の酒 日本の酒 ものしり事典」に拠れば、『ルイ王朝期のフランスにおいて、国王の旅行の際、飲み物の荷を「ソミエル」とよんでいたが、その後、食料をつかさどる毒味役の呼称となり、それが「ソムリエ」へと変化したといわれている。』とあります。

白水社の「フランス 食の事典」普及版によりますと、『ギリシャ語起源の後期ラテン語sagma「荷物用の鞍」から中世フランス語sommerier「荷役用馬やろばなどの係」が成立し、語源となった。13世紀、王の荷駄用動物係、ついで王家の動物管理係、重い荷物の運搬係とソムリエの担当する仕事は変わり、17世紀末には王の旅行に際しての荷物係となった。一方、大貴族の館では配膳およびワインの係りだったため、革命後に成立したレストランのワイン、食前酒、食後酒係のウェイターをこう呼ぶようになった。』とあります。

この二つの情報から判断すれば、語源はどうも「荷物用の鞍」で、旅行の際の荷物運搬係が役職で、その場合の重要な荷物は飲食物でしょうから、それをつかさどる掛になり、王様に毒を盛られては役職者の命が無いでしょうから、食の安全性に気を使う事になったのでしょう。要は口に入るものが美味い不味いの前に、安全かどうかが大きな問題であった時代があったわけです。

現在では野菜のソムリエなんてのがいますから、中国産の残留農薬の毒味をするのが大きな役割になっているのでしょうか。できれば餃子ソムリエ、ハンバーグソムリエなんて人がいれば、安心して加工食品がいただけるような気がします。再び、本来の字義に戻って毒見役としての役割が重要になってきているようです。してみると、現代においてはワインソムリエなんてのはお気軽なものかも知れません。

ラウルご一行様は、今日これから名古屋へ向かい客先訪問を三社行い、夕刻はセミナー、夜はディナーとかなりタイトなスケジュールをこなします。

我がイナリヤト食文研のワインとビールはこちらからご覧になれます

コメント
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