内容紹介
一家心中を決意した家族の間に通い合うやさしさを描いた表題作など、人生の断面を彫琢を極めた文章で鮮やかに捉えた珠玉の13編。
事業に失敗した一家が、服毒心中を決意するが、冷たい雨のそぼ降る決行の宵、それぞれの心に悲壮な覚悟をひそめながらも、やさしくかばい合う、その心情を描いた『青梅雨』。肉親の絆のはかなさ、もろさというものを巧みに暗示した『冬の日』。他に『枯芝』『一個』など繊細な感覚で、鋭利に切り取られた人生の断面を彫琢を極めた文章で鮮やかに捉えた永井文学の精髄を収める。
【目次】
狐
そばやまで
枯芝
名刺
電報
私の眼
快晴
灯
蜜柑
一個
しりとりあそび
冬の日
青梅雨
読書備忘録
あらやだ、狐になっちゃったの?と言うか狐にしちゃったの?ちょっと勝手。
短編集の一作目の「狐」からずっと映像が現れ映画を観ているようだった。
「枯芝」御用聞きのおしゃべり。いつの間にか御用聞きになって覗いていた。夫の髪をつかんで前後に引きまわした。って、ほんと昭和。私は東京の下町に育ったからこういうのを知っている。派手な夫婦喧嘩!御用聞きではないけれど、何処のおじちゃんがとか、どこのおばちゃんがとかあちこち近所のうわさに首突っ込んでは、親に報告してた。親はとっくに知っていたから、そんなの見てないでさっさと帰って来なさい!と・・・今はそんなの見たことも聞いたこともない。夫婦喧嘩は犬も食わないとは、この頃覚えた。
「私の眼」→「快晴」
「蜜柑」病床の妻がいるのにね。話し合って別れることにしたのに女は言ったよ、今度はいつ?と・・・蜜柑のおかげでもう電話にはでないと?
「青梅雨」こんなに整理してするものなのだろうか?潔いというかなんというか、江ノ電乗るとこの話を思い出すのかな?
川上弘美さんの「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」で知った。
なので読んでみた。
★★★★☆