「グラン・ガラ」再び(追記あり)


  キエフ・バレエに在籍する田北志のぶさんが内外のダンサーたちに呼びかけ、2013年3月に行われた東日本大震災チャリティ・ガラ公演「グラン・ガラ」が、今年7月に再び開催されます(前回の公演の感想は 2013年3月20日21日23日 にありますです)。

  TBS公式サイト に詳細が発表されました。

  今回も仙台と東京で1回ずつ公演が行われます。


 「東日本大震災復興祈念チャリティ・バレエ 第2回"グラン・ガラ・コンサート"~私たちはひとつ!!~」

  仙台公演:7月9日(水)18:30開演、東京エレクトロンホール宮城

  仙台公演の詳細は TBC東北放送公式サイト をどうぞ。仙台公演のチケット発売は3月15日(土)からです。

  東京公演:7月14日(月)19:00開演、Bunkamuraオーチャードホール

  チケット一般発売は3月2日(日)からです。詳細は上記のTBS公式サイトをご覧下さい。

  出演予定ダンサーは、田北志のぶ(キエフ・バレエ)、アレクサンドル・ヴォルチコフ(ボリショイ・バレエ)、アレクサンドル・ザイツェフ(シュトゥットガルト・バレエ)、イーゴリ・コルプ(マリインスキー劇場バレエ)、ブルックリン・マック(ワシントン・バレエ)、エカテリーナ・マルコフスカヤ(フリーランス・ゲスト・ダンサー)、エレーナ・エフセーエワ(マリインスキー劇場バレエ)、オレーサ・シャイターノワ(キエフ・バレエ)、ニキータ・スハルコフ(キエフ・バレエ)、マリーヤ・アラシュ(ボリショイ・バレエ)です。

  前回の公演に出演したダンサーたちが今回もほぼ全員参加します。前回と同様、なんと超豪華メンバーなことよ(感嘆)。キエフ・バレエのオレーサ・シャイターノワとニキータ・スハルコフは初参加ですね。ちなみに、両人ともこの前のキエフ・バレエ日本公演には来てなかったようです。

  上演予定演目は以下のとおり。


 ・『パリの炎』(音楽:ボリス・アサフィエフ、振付:ワシリー・ ワイノーネン)よりパ・ド・ドゥ:オレーサ・シャイターノワ、ブルックリン・マック

  シャイターノワは未見です。ブルックリン・マックは非常に優れたダンサーです。強いテクニックと身体能力とを持っています。特筆すべきはマックのパートナリング能力の高さで、初めて組むバレリーナであっても、自然に合わせてサポートしリフトできる能力の持ち主です。

  ただし、アメリカのダンサー独特の娯楽性に富んだ踊りや、黒人独特のしなやかで弾力のある身体の動きが苦手だ、という方は戸惑うかも。  

 ・「Como Neve al Sole」(振付:ローランド・アレシオ):エカテリーナ・マルコフスカヤ、アレクサンドル・ザイツェフ

  この作品は未見。

 ・『白鳥の湖』より黒鳥のパ・ド・ドゥ:エレーナ・エフセーエワ、イーゴリ・コルプ

  おなじみの定番演目っす。エフセーエワとコルプ、楽しみですね。

 ・「La rose malade(薔薇の死)」(音楽:グスタフ・マーラー、振付:ローラン・プティ):田北志のぶ、ニキータ・スハルコフ

  この作品は「病める薔薇」という名前で、ウリヤーナ・ロパートキナ(マリインスキー劇場バレエ)が日本で踊ったものと同じだと思います。音楽はマーラーの交響曲第5番のアダージェットでした。

 ・『ラ・バヤデール』第三幕よりニキヤとソロルのパ・ド・ドゥ:マリーヤ・アラシュ、アレクサンドル・ヴォルチコフ

  この二人は前回の公演で大活躍しました。『ライモンダ』もすばらしかったのですが、観客の度肝を抜いたのが、『スパルタクス』からエギナとクラッススのパ・ド・ドゥ特別ヴァージョン。アーユー人間?な踊りで大迫力でした。

  今回は年末のボリショイ・バレエ日本公演で『ラ・バヤデール』が上演されるのに合わせてか、『ラ・バヤデール』第三幕のパ・ド・ドゥです。てか、これをガラ公演でさらっと踊るってさ(笑)。まさか、ヴェールの踊りからコーダまでもやるつもりなんだろか?まさかね(といいつつ、コイツらならやりかねないところがまた)。

 ・『エスメラルダ』よりパ・ド・ドゥ:オレーサ・シャイターノワ、ニキータ・スハルコフ

  前回の公演で、田北さんとヤン・ヴァーニャが踊ったのと同じやつだと思います。タンバリン踊りのほうじゃなくて。ボリショイ・バレエが上演した全幕がYou Tubeに上がってるよ。

 ・「As above, So below」(振付:エドワード・ライアン):ブルックリン・マック

  未見です。しつこいですがマックは優れたダンサーなので、振付が多少「なんだかな~」でも、マックが踊りでカバーしてくれると思います。

  追記:公演チラシに記載されている田北志のぶさんによる「今回の公演の見どころ」に、「ブルックリンさんのソロですが、断られるのを承知でお願いしたら、快く承諾していただけました。今回も彼にしか出せない世界を見せてくださいます」と意味深な文がありました。これは俄然大きな興味が湧いてきました。

 ・『赤と黒』よりパ・ド・ドゥ(振付:ウヴェ・ショルツ):エカテリーナ・マルコフスカヤ、アレクサンドル・ザイツェフ

  これも未見。『赤と黒』って、あの『赤と黒』?だとしたら、マルコフスカヤがレナール夫人で、 ザイツェフがジュリアンでしょう。ザイツェフがジュリアンって、ハマり過ぎ(笑)。マルコフスカヤも雰囲気がぴったり。まだ分かんないけどね。

  追記:上記の田北さんの紹介によると、マルコフスカヤはマチルドで、踊られるのはジュリアンとマチルドの寝室のパ・ド・ドゥだそうです。

 ・『黄金時代』(音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ、振付:ユーリー・グリゴローヴィチ)よりタンゴ:マリーヤ・アラシュ、アレクサンドル・ヴォルチコフ

  なぜか日本ではさっぱり上演されない幻の(?)名作。アラシュとヴォルチコフは、いつもボリショイならではの演目を踊ってくれますな。

 ・『シェヘラザード』(音楽:リムスキー=コルサコフ、振付:ミハイル・フォーキン)よりパ・ド・ドゥ:田北志のぶ、イーゴリ・コルプ

   (田北さんのゾベイダ)

   (コルプの金の奴隷)

  今回の公演で最も注目される演目でしょう。田北さんのゾベイダにコルプの金の奴隷!田北さんがゾーンに入ったときに発散される神がかり的な凄絶さと、コルプの強い個性とがどんな化学反応を起こすのか、すごい楽しみ。

 ・「ディアナとアクティオン」(振付:アグリッピーナ・ワガノワ)よりパ・ド・ドゥ:エレーナ・エフセーエワ、ブルックリン・マック

  トリにふさわしい、盛り上がりそうな演目ですね。マックのソロが大いに期待されます。

 フィナーレ「花は咲く」:全員

  今回も心にしみるサプライズがあるのかも。


  田北さんはキエフ・バレエの団員ですから、もちろんウクライナ在住です。現在のウクライナの情勢は報道されているとおりです。キエフ・バレエ、ウクライナ国立歌劇場管弦楽団、歌劇場スタッフのみなさんのことを、私はとても心配しています。

  それでも田北さんやキエフ・バレエのみなさんが、日本の震災を今も忘れずに行動を起こしてくれる強い意志と優しさを、心から尊敬します。

  キエフ・バレエは、この間も日本であんなにすばらしい舞台を見せてくれた。ウクライナ、というよりキエフ・バレエのダンサーたちのために、何かできないものかなあ…。

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