アメリカン・バレエ・シアター『マノン』(2月28日昼)-1
お天気の良い暖かな平日の日中にお出かけして、なんか不思議な感じだった。とても楽しかった♪
『マノン』全三幕(2014年2月28日13:00開演、於東京文化会館大ホール)
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
選曲・編曲:レイトン・ルーカス、ヒルダ・ゴーント
改訂編曲:マーティン・イエーツ
舞台指導:ジュリー・リンコン、内海百合
装置・衣装デザイン:ピーター・ファーマー(てっきりニコラス・ジョージアディスのを使ってると思ってたので残念)
照明:クリスティーナ・ジャンネッリ(照明ちょっと暗すぎ)
指揮:デヴィッド・ラマーシュ(愛嬌のあるカワイイおっさん)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(すばらしかったです!!!!!)
マノン:ポリーナ・セミオノワ(脚と爪先でもっと表現したほうがよかった。でも第三幕での脚の動きは壮絶で雄弁だった)
デ・グリュー:コリー・スターンズ(ソロもパートナリングもよく頑張ってたし、原振付や演出から勝手にはみ出さず、好感が持てた)
レスコー:ジェームズ・ホワイトサイド(勢いとスピードでごまかさず、もっと丁寧に踊ってほしかった)
レスコーの愛人:ヴェロニカ・パールト(超美人。踊りも艶があって見事)
ムッシュG.M.:ヴィクター・バービー(これほど存在感のないムッシュG.M.もめずらしい。外人のおっさんがやりゃいいってもんじゃねえな)
マダム:ニコラ・カリー(これほど存在感のないマダムもめずらしい。外人のおばさんがやりゃいいってもんじぇねえな)
物乞いの頭:ジョセフ・ゴラック(なにも身体の硬いダンサーにこの役を踊らせなくても。膝曲げピルエットもできてなかった)
老紳士(第一幕):クリントン・ラケット(特になし)
高級娼婦:ジェマ・ボンド、メラニー・ハムリック、ローレン・ポスト、エイドリアン・シュルツ、カレン・アップホフ(特になし)
紳士たち(第二幕):アレクセイ・アグーディン、グラント・デロング、ルイス・リバゴルダ(互いに動きを合わせて、間隔をしっかり取って踊ってくらさい)
看守:トーマス・フォースター(デニス植野?)
平日の昼公演にしては観客が大入りだったのでびっくりしました。4階席まで観客がいたような?
上にも書きましたが、アメリカン・バレエ・シアターはお金持ちだろうから、ニコラス・ジョージアディスがデザインした装置と衣装を使ってるはずだ、とすっかり思いこんでました。ジョージアディスの重厚な装置と豪華な衣装を見るのが楽しみでもあったので、少し残念でした。ジョージアディスの装置と衣装を使ってるのは、本家の英国ロイヤル・バレエくらいなのかしらね?でも、パリ・オペラ座バレエ団は使ってそうだな。
照明は大いに問題ありだと思います。スタッフの技術不足かもしれません。たとえば、前奏曲の終わりに幕が開いて、座っているレスコーの姿が現れるシーンでは、レスコー役のジェームズ・ホワイトサイドの表情が完全に影になってしまって見えませんでした。あとは、第二幕でデ・グリューがムッシュG.M.に怪我を負わせて逃げ、レスコーが机の陰に隠れるシーンでも、照明を落とすのが異常に早くて、最後はどうなったのかが分からなかったり。
演奏は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団で、非常にドラマティックなすばらしい演奏でした。奏者のみなさんの力量が高く、指揮者のデヴィッド・ラマーシュとの関係もうまくいったのでしょう。ラマーシュは陽気で気さくそうな雰囲気の人でした。ラマーシュがオーケストラ・ピットに出てきて、指揮台から客席に向かってにこにこ笑うだけで、会場がかなり盛り上がりました。
海外のバレエ団が日本で公演を行う場合、ソワレ(夜公演)が上でマチネ(昼公演)が下、という区別があるのかどうかは知りません。区別があるのだとしたら、今回は昼公演にふさわしい出来だったと思います。
主要キャストの中で、ムッシュG.M.役のヴィクター・バービー、マダム役のニコラ・カリー、物乞いの頭(「乞食」という語はNGだけど「物乞い」はOKなのか?)役のジョセフ・ゴラック、看守役のトーマス・フォースターについては何も書きません。個人的には、何か書くほどの演技でも踊りでもなかったから。
ああ、一つだけ(←右京さん)。第三幕の沼地の場面、意識の朦朧としたマノンの脳裏に、過去のいろんな人々が浮かんでは消えるところで現れたニコラ・カリーのマダムが、なんとドレスをふんづけてつまづいてすっ転んだ。絶対にミスしちゃいけないシーンで凡ミスするのはやめてほしいっす。
(その2に続く)