元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「男はつらいよ 寅次郎紅の花」

2010-05-15 07:16:46 | 映画の感想(あ行)
 95年作品。シリーズ第48回目にして最終作。渥美清の最後の主演作であるが、残念ながらつまらない出来だ。本作は寅次郎の甥・満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)の恋の顛末を描くパートが半分以上を占めるが、ハッキリ言ってこれが全然面白くない。

 名古屋に住む泉が突然柴又を訪れて、満男に“別の男と結婚する”と言う。満男は彼女が好きなのに“そりゃよかった、おめでとう”と言ってしまう。その日からショックを受けた満男は会社をサボり、泉の結婚式をメチャメチャにし、そのまま奄美群島までフラフラと流れ着き、そこで出会ったリリー(浅丘ルリ子)に親切にされるが、彼女の家にはなぜか寅次郎(渥美清)が居座っていて・・・・、というご都合主義の権化みたいな展開からしてついて行けない。



 だいたい結婚前に以前の男を訪ねて来たってことは、まだ彼女が結婚に踏み切れないという証拠じゃないか。ダメもとで無理矢理口説けばいいではないか。それを何だ? 一応“おめでとう”なんて理解のあるセリフを吐いたあと、家出して式をぶち壊すとは(「卒業」のマネのつもりか?)。こういう優柔不断なヒネクレ野郎がもし近くにいたら、シバいてやるところだよ。さらに泉が奄美に来て、満男と和解(?)するに至っては何をかいわんや。あんたたち勝手にやってなさいという感じだ。

 肝心の寅次郎とリリーの関係はどうなったかというと、いちばん寅次郎と息が合ったマドンナだから(シリーズ通算4回目の登場)、この際一緒になっても全然かまわないと思ったけど、やはりラストは“約束通り”である。二人の描写は不十分で弛緩した演出も目立ち、正直言ってどうでもいい感じだ。

渥美清は寅次郎と一心同体みたいな感があったが、年齢相応の枯れた演技を他の役でもっと見てみたかった。それだけに近作「おとうと」では山田洋次監督の本シリーズへの“想い”が感じられるだけに、より一層そう思う。

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