元・副会長のCinema Days

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「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」

2021-09-20 06:55:27 | 映画の感想(さ行)

 (原題:THE SUICIDE SQUAD )確実に観る者を選ぶシャシンではあるが(笑)、作品のカラーとリズムに乗ってしまえばこっちのもので、最後まで存分に楽しませてくれる。とはいえ、一般世間的には拒絶反応を起こす向きが多いと思われ、体裁はヒーロー物であるにも関わらずレイティングがR15であるのは、まあ当然ではある。

 米政府に属する特殊工作組織タスクフォースXの司令官のアマンダ・ウォラーは、服役中の極悪人たちを減刑と引き換えに、秘密の研究を行っているナチス時代の研究所ヨトゥンヘイムを破壊する任務を与える。編成された2つの部隊は別々に南米の島国コルト・マルテーゼに上陸するが、そのうち1つは敵の待ち伏せに遭ってほぼ全滅。かろうじて生き残ったハーレイ・クインとフラッグ大佐は、何とかもう一隊と合流することに成功。彼らは反政府組織のメンバーと協力し、謎の研究の指揮を執っているシンカー博士の拉致と実験プラントの破壊を敢行すべく、決死の戦いに身を投じる。

 DCコミックに出てくる悪役どもを寄せ集めて無理筋のミッションを課すという、デイヴィッド・エアー監督の「スーサイド・スクワッド」(2016年)の続編。ただし前作は不評で、これは仕切り直しの“リブート版”と言って良い。冒頭から残虐場面の釣瓶打ちで、スプラッタ度はそのへんのゾンビ映画より上である。ただ、徹底的にカラフルでポップにギャグ満載で仕上げられているので不快感よりも痛快さが先に来る(まあ、不快感しか覚えずに早々とリタイアしてしまう善男善女の皆さんも多いとは思うが ^^;)。

 とにかく、キャラクターの屹立ぶりが尋常ではない。ハーレイ・クインとフラッグ以外にも、スーパーマンも苦しめたという凄腕スナイパーのブラッドスポートに虹色のスーツに身を包んだ根暗のポルカドットマン、平和のためには手段を選ばないピース・メイカー、ネズミを操るラットキャッチャー2、そしてスキあらば人間を食おうとするサメ男キング・シャークという、見た目だけでなく性格もクセのありすぎる面々がそれぞれの持ち味を全面展開させて情無用の殲滅戦に挑むという、振り切った作劇が気持ちが良い。また、アマンダ・ウォラーの冷血ぶりも目立っている。

 ジェームズ・ガンの演出は手が付けられないほどの悪ノリで、しかも無茶苦茶さがドラマが進むごとに積み上げられ、クライマックスは怪獣映画としての一大カタストロフを創出している。クイン役のマーゴット・ロビーは相変わらず快演だが、イドリス・エルバやデイヴィッド・ダストマルチャン、ヴィオラ・デイビスら他の面子も負けずに濃い。またラットキャッチャー2に扮するポルトガルの若手女優ダニエラ・メルヒオールは魅力的だし、シルベスター・スタローンがキング・シャークの声を担当しているのも愉快だ。
コメント
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