元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ヒットマンズ・ボディガード」

2020-09-18 06:10:23 | 映画の感想(は行)

 (原題:THE HITMAN'S BODYGUARD)2017年作品。日本においては劇場未公開だが、Netflixにて配信されている。ライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンが主演のアクション・コメディということなので、ある程度の内容と出来が予想されるが、実際観た印象もその通りだ。つまりは“殊更優れているわけではないが、少なくとも観ている間は退屈しない”というシャシンである。

 ロンドンにある大手ボディガード会社の主任マイケル・ブライスは、日本人の武器商人の護衛を担当していたが、任務完遂の寸前に依頼人は暗殺されてしまう。2年後、責任を取って会社を辞めたマイケルは、単発的な護衛の仕事で細々と生計を立てていた。その頃、ベラルーシの独裁者デュコビッチは人道に対する罪でハーグの国際司法裁判所で裁かれる予定になっていた。しかし、重要な証人が次々と消される中、残されたのはデュコビッチと一時取引関係にあった凄腕の殺し屋であるダリウス・キンケイドだけだった。

 インターポールに拘留中のダリウスをハーグまで護送する途中、デュコビッチの一派が襲ってくる。生き残ったのはダリウスと、マイケルの元カノであるルーセルだけだった。ルーセルは仕方なく護衛をマイケルに依頼。ダリウスとマイケルは過去に遺恨があるのだが、成り行き上マイケルは協力を承諾し、期限内にハーグまでダリウスを送り届けることにする。

 雲霞の如く襲来するデュコビッチ配下の刺客たちを蹴散らしながら、タイムリミットが設定された中、決死の道中が続く・・・・と書けばサスペンスフルな内容かと思われるが、実際は脱力系のバディ・ムービーである。パトリック・ヒューズの演出はゆるく、各エピソードの細部が練り上げられずにキレが悪くなっている面がある。しかしながら、本作においてはそれが大きな欠点になっていない。これはひとえに、レイノルズとサミュエル御大の存在感ゆえである(笑)。

 2人は顔を合わせた時点から火花を散らし、隙あらば相手を潰してやろうという緊張感をみなぎらせる。それでいて次第に(やむを得ない事情により)連帯感を共有し、終盤には何とか助け合うようになる。御都合主義の展開だが、主演の2人の顔を見ていると、あまり気にならない。アクション場面は新しいアイデアこそ無いものの、かなりの迫力だ。特に、アムステルダムやハーグ市内でのカーチェイスは見応えがある。繰り出されるギャグも上手くハマり、退屈させない。

 それにしても、ベラルーシという実在の国の元首を悪者に仕立て上げるとは、なかなか大胆だ。デュコビッチ役のゲイリー・オールドマンをはじめ、エロディ・ユンにサルマ・ハエック、ジョアキム・デ・アルメイ、ティネ・ヤウストラと、脇の面子も良好。ネット配信作品としては観て損した気分にはならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする