元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ザ・ハリケーン」

2014-03-20 06:15:18 | 映画の感想(さ行)
 (原題:The Hurricane)99年作品。1966年、ニュージャージー州においてボクシングのウェルター級チャンピオン、ルービン・カーター(通称ハリケーン)は身に覚えのない強盗殺人事件の犯人として逮捕される。翌年下された判決は終身刑であった。これは彼を蛇蝎のごとく嫌う刑事のデッチあげによるもので、ルービンは獄中で自伝を執筆。彼と司法当局との長い戦いが展開する。



 実話の映画化だが、さすがにノーマン・ジュイスン監督は昨今の駆け出し作家とは違い、堂に入った演出ぶりを見せてくれる。主演のデンゼル・ワシントンの力演を中心に、ドラマがカッチリとかみ合い、正攻法に徹する社会派ドラマの真髄を堪能できた。

 ただし、真正面からのアプローチであるだけに、クライマックスに至る展開がすべて読めてしまう難点もある。デボラ・カーラ・アンガーら3人のカナダ人の扱いなど、クセ球っぽいテイストも挿入されてはいるが、正当派社会告発劇としての構図にはあまり影響がない。このへんが、当時のアカデミー賞の作品部門候補からもれた原因ではないかと思う。個人的には終盤のロッド・スタイガーの登場が嬉しかった。
コメント
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