元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ジャンヌ」二部作

2014-01-12 07:14:55 | 映画の感想(さ行)
 94年作品。 第一部が「ジャンヌ/愛と自由の天使」(原題:Jeanne la Pucelle Les Batailles )、第二部が「ジャンヌ/薔薇の十字架」(原題:Jeanne la Pucelle Les Prisons )で、本来は一本の映画であるが、各2時間ずつ別個に公開された。監督は「ランジェ公爵夫人」などのジャック・リヴェットで、主演はサンドリーヌ・ボネール。ジャンヌ・ダルクの戦地での活躍から悲惨な最期までを描く。



 さて、ジャンヌ・ダルクといえば、昔イングリット・バーグマンが主演したハリウッド製スペクタクル大作を思い浮かべてしまうが、当然そんな雰囲気は皆無。ならばカール・テオ・ドライヤー監督の「裁かるるジャンヌ」のように、とことんストイックにヒロインの実像に迫るのであろうと予想した。

 しかし、観た印象は“なんじゃこりゃ”である。確かに舞台劇のような静的な場面が目立ち、スペクタクル性は微塵もないはず・・・・なのだが、時おり出てくるママゴトのような珍妙な戦闘場面は何? みっともないし意味もないのでやめた方がよかった。ヒロインはなぜ神の啓示を受けたのか、それがどうしてフランス軍全員を鼓舞していったのか、なぜ火あぶりになったのか、彼女の魂は救済されたや否やetc.知りたいことは何も教えてくれない。



 登場人物の激しい葛藤や苦悩をジリジリ描き出す演出もなく、あるのは棒読みのセリフとつっ立ったままの場面説明だけ。リヴェット監督の旧作「美しき諍い女」のようなワクワクするような展開は皆無で、歴史的事実とやらを忠実に追っているに過ぎない。観客無視も甚だしい。ただ時代考証はしっかりしているらしく、このへんは歴史学者が大喜びしている要因だろう。

 主役のボネール以外に知っているキャストはおらず、観た印象は恐ろしく地味。各地の映画祭で絶賛されたのはホントかいなと疑いたくなる。ジョディ・サバールによる音楽だけは秀逸。
コメント
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