自動車レース、例えばF1をサーキットで観るのと、テレビで観るのでは、どちらが良いか?
と訊かれると、実は私は悩みます。
サーキットで観る臨場感は、テレビで再現できるはずもないし、
逆に、サーキットではテレビの様に全体の展開をみながらオーバーテイクのシーンも沢山見ることができません。
・ ・ ・ だから、
サーキットに行く時は録画しておいて、帰ってからもう1度観ることになります。
今、テレビで 文楽 『 曽根崎心中 』 を観ながら、この文章を打っています。
舞台の芝居、特に文楽はテレビで観たのでは全くその良さが伝わらないと思っています。
劇場で観ると、人形遣いの姿が完全に消えてしまいます。
人形遣いの修行の成果でもあると思いますが、ヒトの目が良く出来ていると思う部分です。
見たいものだけを見て、見る必要のない部分は消してしまう事が出来ているのでしょう。
ところが、
テレビで観ると、人形と人形遣いが同列で見えてしまって、
大きな人間が小さな人形をコネコネしている様に見えてしまうのです。
これが、建築をテレビで紹介する時にも感じる違和感です。
設計者は、目に入る部分と背景で消えてしまう部分を上手く演出しているのに、
テレビでは、それを同列で映してしまいます。
有名な建物をテレビで観ると大したことがない様に感じますが、現地に行ってみるとその美しさに感動するという経験を何度もしています。
プランの段階では、プレゼンする側もクライアントもテレビ的なイメージの交換になりますが、
完成した建物は舞台的です。
この違いが 建築の難しさ ですね
因みに、
20歳
・ ・ ・ 21歳になっていたでしょうか?
お初天神のすぐ近くのスナックでアルバイトしていました。
どうでもいい話ですが、曽根崎心中と聞くとよみがえる、
若き日の思い出ですワ!
迷惑がかかってはいけないので、細かい紹介は伏せますが、
建築関係の ある業者の奥さんで、
頑張り屋さんの上に正義感で色々な行動 ( 活動?) をする人がいます。
いくらか営業になることも意識しているのでしょうが、
“ 職業で社会奉仕 ” って、
ロータリアンの精神を地で行くような活動をしています。
・ ・ ・ 時々、くじけることもあるようですが!
その中で、何年も続けているのが、
「 一生懸命頑張っている職人さんはいっぱいいるのに、
そんな人は自己主張がヘタなので、なかなか社会から認知されない。
営業も上手くないから、営業が上手いだけのところに負けていく。
そんな人達が、今の腕を大切にしながら少しでも仕事が取れるように応援したい 」
という活動です。
電話で
「 今言われている、次の建築基準法の改正は、
大手の住宅会社に有利で、小さな業者に厳しすぎる 」
と、怒っていました。
怒りながら、今日もそんな職人さんのところに、改正される法の説明に行くところだったようです!
私の感想は
「 今回の改正はそうでもないんじゃないの? 」
なのですが ・ ・ ・
いづれにしても、
こういう人の地道な活動が、地域の文化を守る役割をしてくれることを期待しています。
自己主張が苦手な人達も、甘えるばかりじゃイカンわなぁ。
って、他人事じゃない ・ ・ ・
午前中少し日差しがあった分だけ予報よりはマシでしたが、
やはり今日も風の強い寒い1日でした。
朝、現場に着いて、車の後ろのドアを開けて ・ ・ ・
「 え? コートない! 」
( 戦場カメラマンの様なコートです )
なんで?
なんで?
と考えて、先日知り合いの車にコートを持って乗ったのに、
降りるときには持っていなかった様な ・ ・ ・。
さむ~い風が吹く中、
シャツにセーターだけで2時間あまり。
基礎の杭打ちの立会いで、ずぅっと付き合っている必要もなかったのですが、
一通り、基本的なところまでは確認しておきたかったので、
寒い事を理由に帰るのも良くなかろうと ・ ・ ・
身体冷え冷えでした。
今日、夫婦で日帰りで温泉に行って来た両親の会話です。
「 あの施設が出来てから10年くらいやと思うけど、
浴槽の木の部分がヌルヌルして気持ち悪かった。
やっぱり古くなるとアカンわ!
新しい温泉もいっぱい出来てるからなぁ! 」
確かに、この周辺でも各市町村に1ヶ所ずつは温泉施設ができてしまったので、
新しいほど良いという感じになっていますが、
今新しくても、また次の施設が出来れば “ 気持ち悪い ” 施設になってしまう感じです。
ところが、
白浜温泉の元湯の建物は、強烈に古くて、木の部分は尋常じゃなくヌルヌルしているのに、気持ち悪くないですね。
・・・こりゃどういうことでしょうか?
最近の施設は、鉄筋コンクリートで、妙に上辺だけ清潔そうなフリをした建物ですが、
薄ッペライ!
白浜温泉の元湯の様な建物は、おそらく新しかった頃から薄暗かったと思いますが、
どの部分を見ても “ ホンモノ ” なのですネ!
そんなことが答えだと思うのです。
竣工直後を比べると、最近の温泉施設の建物の方が断然気持ちいい建物に感じると思いますが、たった5年・10年で逆転してしまう。
温泉であれば、選んで気に入ったところに行けば良いですが、
自分の住まいではそんなわけに行きません。
住みながら良くなって行くことが大切だと思うのです。
「 ご主人様でしょうかぁ? 」
事務所に入った電話。
間違いなくセールスです。
「 塗り替えの必要が、全くない外壁の塗料を開発できましたので、
モニターのご案内をさせていただいておりますぅ 」
何ヶ月か前に、同じ内容の電話を受けたときには
「 うち、設計事務所ですけど! 」
と答えたら、早々に電話を切られたことがありましたので、
今回は、
「 全く塗り替えの必要がないっていう話がおかしいよね 」
と、返してみました。
「 一般的に、40年で建て替えされている住宅が多いので、
対応年数が30年なので、
普通新築から10年で塗り替えされますから、
建っている間は塗り替えの必要がないとご案内しています。 」
だと!
『 40年で建て替えされている 』
の部分は、統計の上では間違っていないと思うのですが、
ある大手ハウスメーカーの設計担当者から
「 設計上の設定対応年数30年で、基礎を考えている 」
と聞いたこともありますが、
そのこと自体が問題なわけで!
第一声
『 全く塗り替えの必要がない 』
って ・ ・ ・。
もう少しからかってやりたかったのですが、
怒りの方が強くなってきて、
「 興味ないから! 」
で、電話を切りました。
ある人の言葉を思い出します。
「 紫外線の強いこの国で、
永久に塗り替えの不要な塗料を開発できたらノーベル賞ものや!」