私の建物が落ち着くと言われる特徴の1つに、
照明計画があると思っています。
照明計画が、建築のプランと非常に強い結びつきで影響し合っています。
普通の人は、滅多に照明器具のカタログを見ることはないと思いますが、
どのメーカーもブラケット ( 壁付けの照明器具ですね ) の多くが、
上に向けて強く光を飛ばすようになっています。
頭の中だけで考えると、壁に扇型やリボン型の光が出てカッコ良く感じますが、
日本の住宅は、それ程天井が高くない!
扇型が出来る前に、
光が天井に当たってしまっておかしな模様になってしまうことが多いのです。
まして、まっすぐな天井ではなくて、
傾斜していたり、途中で天井の高さが変わっていたりすると、
こりゃもう “ 汚い ” モノにしかなりません。
照明器具を眺めて生活するわけではなくて、
欲しいのは “ 光 ” です。
どう光をだして、
どこに光が当たって、
どこに影が出来るか。
照明計画っていうのは、そんなことを総合的に検討することです。
紀美野町にある、山の中で手作り感いっぱいの建物の喫茶店、
初めて知った頃は、まだそこを訪れる人も少なくて、
安らげる感じだったのが、
今日は、順番待ちするほどお客さんが多くて驚きました。
非常にいいロケーションの中に建っていますが、
何度も訪れるうち
和歌山のように、見渡す限り絶景という場所が少ないところでは、
その中に建ってしまうと、窓から見える風景はあまり良くないことに気付きます。
ほんの少しでもいい、
眺めていたい風景があったときには、
その中に建物を置くのではなくて、
その境目に置いて、
上手く風景を眺められるプランを考える方が有効なのだと思います。
敷地は、理想的な土地が手当てできるとは限らないので難しいですが、
上手く手に入るならば、検討が必要でしょう。
今の季節に気付き易いのですが、
同じ緑でも、
落葉の広葉樹を中心にした雑木林と、
針葉樹の林では、その趣が全く違いますね。
「 緑の山の風景がキレイ! 」
と言うとき、きっと雑木林の方をイメージしていると思います。
植林された針葉樹の山は、これはこれでいいものですが、
窓から眺める風景としては弱いことも
考慮した方がいいと思うのです。
今日の喫茶店は、
ロケーションだけが、そのお店の特徴ではなくて、
「 プロがすると絶対こうはならないな! 」
という建物の粗い造り。
働く人の態度も含めていい感じをつくっているので、
“ 全体ではやっぱりいい感じ ”
ということをおことわりしておきます。
西アフリカで、
14世紀だったか15世紀だったかに造られた、
エジプトのピラミッドを真似た王の墳墓があるらしいのです。
頂上まで登れるようになっているのですが、
その通路の途中で、かがんでしか通れない天井の低い部分があって、
これは、
王に対する敬意を払うために、誰でも頭を下げなければいけない仕組みだそうです。
茶室の 『 にじり口 』 と、発想が同じですね。
千利休が16世紀の人なので、時代も大きな差がありません。
場所も気候も肌の色もまったく違いますが、
「 人間は同じようなことを考えるんやなぁ! 」
と思います。
日本のいいモノと、海外のいいモノは、
2つを並べてコーディネートしても結構キレイに決まったりしますものネ!
精神の部分ではつながっているんだと思います。
蒲公英工房の敷地に生えている桐です。
高さ、6メートル
・ ・ ・ 7~8メートルはあるでしょうか?
元々、この場所はゴミを焼く場所で、
この桐が勝手に生えてきたのは3~4年前だそうです。
女の子が生まれたときに桐を植えて、
お嫁に行く時にはタンスが作れるという話も、
この育つ早さを考えると納得できます。
今月の 『 茅の会 』 のテーマは
『 和歌山と源氏物語 』
“ 紫の上 ” は和歌紫で、
和歌の浦と無関係ではないこと、
源氏物語と万葉集との関わり、
天皇家と徳川家の関わりから、
古い時代の ( 冷泉家が所蔵していたような ) 写本が、
紀州徳川家に渡ったことから、
和歌山で大変な資料が見付かる可能性もあること、
などの話だったと思います。
( “ 思います ” と濁したのは、難しい話とか、漢字とかがあって
正しく理解できた自信がないので ・ ・ ・ )
今日のような話を聞く度思うのですが、
歴史を学校で習うような年号を追いかける学問にすると、
全く楽しくないのですが、
ヒトの営み、心理で学ぶと、
ロマンになって、凄く楽しいものになります。
楽しくなるから得ることも多い!
学校のカリキュラムもこうならんか?