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ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

ザトウクジラが救われた

2007-12-21 | ちょっと一言
政府がザトウクジラの捕鯨をやめることを表明した。オーストラリアやニュージーランドの強い抗議に折れた結果であろう。ザトウクジラの捕殺が調査に必要という無理な理由付けが国際的に通らなくなったことをようやく政府も理解したのだろう。鯨肉の消費需要がないこともこの決断に結びついたのだろう。無駄なお金も費やしていたのだから。

 なにはともあれ、よかった。よかった。鯨の国際保護区となっている南極海での捕鯨も全面的にやめて欲しいものだ。
 

マンボウとテレビに出る

2007-12-21 | 南の海
マリタ市での最後の日は、みんなで山のリゾートへ出かける予定だった。ところがこの前日の夕方から土砂降りの大雨。雨は止みそうもない。それでも出かけるという現地の人の話で、準備を始めていた。Tシャツに短パンでは肌寒いくらいの気温だ。迎えの車を待っていると、大きい魚が捕れたので魚を見に行くという。雨はまだ激しく降っており、宿の周りや庭には大きな水たまりができている。オートバイの横に荷台を付けてお客を運ぶトライスクルという小型タクシーのような乗り物がここでは主流の公共交通だが、そのトライスクルの車輪が半分埋まるほどの深さにまで道路が冠水している。どうやらかなりの範囲で水害が発生しているようだ。どうも今日は山のリゾートへ行くには不適のようだ。

 そう思いながら、人々といっしょに近くの大学の構内に巨大さかなを見に行った。知り合いの大学の先生が私を見つけて駆け寄ってきた。大きい魚だ!1m以上は優にあるが何という魚か判らない。見たこともない魚だ。と叫んでいる。人混みをかき分けて魚を見ると、見覚えのある円くて扁平な身体。マンボウとすぐわかった。

 マンボウとしては普通の大きさで体長1m30cmくらい。体重は250kgくらいだ。われわれもあまり見る機会がない魚だけれど、マリタの人はまったく見たことがないという。初めて見る巨大魚に人々は興奮気味だ。次々に人々が詰めかけてくる。最初は大学の学生が集まり、そのうち付属の高校生が続々とやってくる。先生もいっしょに来ているところを見ると、授業を中止してみんなで巨大魚を鑑賞に来たようだ。そのうち、役場の人たちが集まり始めた。農業水産局の役人が視察に来、その話を聞いて他の部局の人も見に来ている。市長の秘書たちも顔を出す。みんな楽しそうだ。町の人たちも話を聞いて駆けつける。まあ、大変な騒ぎだ。

 漁師もマンボウを見たことがないという。マンボウは北の魚だったかなと一瞬思った。日本では三陸沖や千葉沖あたりでマンボウの突きん棒漁が行われているので、やはり北の魚なのかな。しかし、帰ってからWikipediaでみると、どうやらマンボウは深海魚らしい。海面にぽかっと浮いていてふわふわ浮いているクラゲを食べているという知識しかなかったので、深海魚とは知らなかった。

 そのうち、車で2時間半もかかってダバオ市からテレビのクルーもやってきた。マンボウをあっちやこっちから写していたが、そのうち私のところへやってきてインタビューしたいという。あわてて私はジュゴンを見に来ている旅行者なのでインタビューをしても何も話すことはないと断ったが、しつこく迫られ、じゃあ~少しならとインタビューに応じた。しかしマンボウのことなんか何も知らないし、私はジュゴンを見に来たという話をした。テレビキャスターはこのマリタの海岸の海の豊かさについて話をしてもらいたかったようでしきりにここの海はどうですかと聞いてくるので、「ジュゴンが棲み海草があり、いい海ですね」と言っておいた。マンボウとは何の関係もない。

 午前中はマンボウ騒ぎでつぶれた。雨はまだ降り続き水かさは増してくる。結局、山へ行く話はなくなり、午後はのんびり帰りの用意をした。夜になってようやく雨が小降りになったが、あちこちで水害が起こっているという。昨日まで面倒を見てくれていたおばさんのうちも床下浸水だとかで今日は忙しそうにしていた。

 夕食後、市長に帰る挨拶にいったら会議中だ。どうやら水害対策委員会のようなものができていて、市長は陣頭指揮を執っているらしい。市長は無線機を抱えて各地からの調査点検結果の報告を待って待機中のようだ。会議の部屋へ通されて数人の人たちと雑談を交わし、別れを惜しんだ。市長は今度は日本へ行きたいという。冗談に「招待してくれ」と言って笑う。そんなお金はないけど、是非来てくださいと言っておいた。

 次の日に、ダバオ市へ向かった。途中何カ所も道路の山側が崩れていたが、なんとか車は通れた。ラッキーだ。ダバオ市であった何人かの人に、あんた知っているよ、夕べテレビに出ていたね、と言われてびっくりした。どうやらテレビであのいいかげんなインタビューが放映されたらしい。いったいどのような内容で私の話のどこをどう編集して放映したのかわからないので困ったことになったと思ったが、人々は話の内容には関心がないらしい。ようするにテレビに出ていた人という反応だった。テレビは怖い。

 ダバオから一日かけて成田空港へ帰ってきた。また、来年もジュゴンに会いに行きたい。みなさん、いっしょに行きましょう。