・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続きです
「君は、独自に調査しているはずだ。何を見つけた?
何かある。そうだろ?そして、それを俺に報告していない」
「報告する必要が無いからだよ、ジャック。
調査の結果を取捨するのは、私の権限で。それに何が不服なのか?」
「何かを隠している可能性があるからだよ、ベン。
一体、何を得た?」
「警部補の話の後、私はロレンス・ハリヤノシュに会った。
家族の悲劇を、重く受け止めている。
シェネラのカウンセリング、カトリンのダメージ・・・
カトリン一家は、NYを出る予定だと。カトリンの夫も、同意している」
「・・・・なんだ、それは? 一体、何が真相なんだ?
金持ちが、一家の恥をひた隠して、終わりだと?」
「何を拘っているんだ、ジャック?
私には、君が何を言いたいのかが、分からないよ」
「分からないって?ベン!これは、殺人事件ではないのか?」
「殺人・・・・誕生していない胎児のことを言ってるのか?」
「そうだ。出産予定日まであと2週間だった胎児だ。
銃で殺された・・・胎児の人権・・・君の分野だろ」
「確かに私はカトリック教徒だ。しかし、仕事では持ち込まない」
「その姿勢には賛成だ。まぁ胎児の人権問題活動家は、声を挙げているがな」
「君の標的は、胎児の人権ではないだろ、ジャック?」
「あぁ、そうだ。ハリヤノシュから、何を聞いてきた?ベン?」
「・・・・・何も・・・・」
「君が、私に対して強硬姿勢なら、私も考えがある。
私は、殺された赤子の後見として、訴訟を起こそうかと思っている」
「何ですって?一体何をやる気なのか??」
「君が隠していることだ・・・そしてハリヤノシュ家が隠していること・・・
赤子は、医師の判断で帝王切開で産まれ・・・暫くの間生きていた、と。
そんなんだろ?ベン」
「・・・・・・」
「世間には、銃撃で浮かれる前に命を失った、と伝えられているが、本当は生きていた。
しばらくの間でも。だから、もう胎児ではない。人間だ。人の権利を有する」
「あぁ、その通りだ。しかし、だれも赤子の殺人事件の犯人捜しを求めていない」
「誰も?違うだろ、ベン?ハリヤノシュ家、がだろ?
あの一家は知っているのさ。誰が少女に銃を渡しのかを」
「仮に、それが真相だとしても・・・・誰が求めているんだ、ジャック?
ジェニスは、確かに精神状態が不安定だった。それは一家が知っていた。
恵まれた生活。世間はそう見ていたが、彼女自身は常に、妹に嫉妬していた。
自分に比べて、華やかさもない平凡な生活を送る妹を。
私には、分かるんだ、ジャック。
才能や容姿、そして財産なんかじゃない。本当に欲しいものは、単純なものなんだよ。
しかし、それが自分のものにはならない・・・
幼い子がじゃれつき、大きなお腹を幸せそうに見せつける妹・・・・
自分には届かない幸せを、見せつけられた・・・ジェニスはそう思った。私はそう考える。
発作的な行動だったんだろう。
シェネラに銃を渡し・・・撃て、とは言ってない。そう聞いている。
ただ、もし撃ったら・・・とは思ったろう。それが罪か?
もう今では、カトリンも納得している。だから、街を去るんだ。
これ以上、何をかき回す必要があるんだ?」
「本当にそう思っているのか、ベン?それが真意?
もしそうなら・・・・一体我々は、何を仕事としているんだ?」
「凶悪な事件ではない。時には片目をつぶる必要もある」
「いつから宗教家になった?我々は検事だぞ。市民に対し責任がある」
「君の言う市民とは、数回息をした赤子のことなのか?
確かに気の毒だ。それは私も思う。
しかし、カトリン夫婦が、赤子の殺人事件として、捜査を依頼したのか?
誰も依頼などしていないはずだ」
「それでも、見逃せない。殺人事件だ。私は、そう認定する」
「それは、君のエゴからの考えじゃないのか、ジャック?
君の、その正義は、時には人の事を考えない傲慢さに繋がる」
「人のこと?一体、我々は、いつから人の幸せを考慮する必要を持ったのだ?
罪を正当に裁く。これが仕事ではないのか?」
「その通りだよ、ジャック。私も、その通りのことをしてきた。
しかし、時には、その正当さが本当に正しいのかどうか
立ち止まる必要も、あるのではないか?それが今では?」
「ベン・・・・君はジェニスに同情しているのか?
子供を持てない彼女に・・・・同情する気持ちは私的なものだ。
それを、仕事に持ち込むとは・・・・君には、失望したよ・・・まさか、君が・・・」
「ジャック・・・君の厳しさは、時には救いである場合もある。
しかし、血の通わない惨い決断の時もある・・・・
君の、その冷たさと断じる姿勢には、もう付いていけない・・・
本来なら、その椅子には、私が座るはずだったんだ、ジャック」
「それは、知っているよ、ベン。
多くの人が、それを望み、そうなるだろうと期待した。
しかし、今、この椅子に座っているのは私だ。
それが、一体何を意味するのか、理解できない程愚かになったとは」
「・・・・・・この事件は、切っ掛けに過ぎない。
どうも、私の場所は、ここには無さそうだ・・・そうだろ、ジャック?」
「君の検事としての能力は、私以上だよ、ベン。
それは、全く疑いの余地が無い。私自身がそう言うんだから、間違いない。
しかし、時には自身の視点が入り込んでしまう。
勿論、それは検事としての個性であり、特色でもある。
個人としての資質でもある・・・・それは大いに発揮しても構わない。
しかし最初に情を絡めては、クリアに見えなくなってしまう。違うか?」
「・・・・・・・出て行け、ということか、ジャック・・・・!」
「それは君次第だろ。今の私には、そうできる権限がある。
しかし、それを今、君に振るう気はないよ、ベン・・・・」
「・・・・・少しだけ・・・・もう少しだけでいい・・・時間をくれ」
「構わんよ。市長には、うまく言っておこう」
退出するストーン。
閉じた扉を、長い間見つめているマッコイ・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・追記は、次で。
「君は、独自に調査しているはずだ。何を見つけた?
何かある。そうだろ?そして、それを俺に報告していない」
「報告する必要が無いからだよ、ジャック。
調査の結果を取捨するのは、私の権限で。それに何が不服なのか?」
「何かを隠している可能性があるからだよ、ベン。
一体、何を得た?」
「警部補の話の後、私はロレンス・ハリヤノシュに会った。
家族の悲劇を、重く受け止めている。
シェネラのカウンセリング、カトリンのダメージ・・・
カトリン一家は、NYを出る予定だと。カトリンの夫も、同意している」
「・・・・なんだ、それは? 一体、何が真相なんだ?
金持ちが、一家の恥をひた隠して、終わりだと?」
「何を拘っているんだ、ジャック?
私には、君が何を言いたいのかが、分からないよ」
「分からないって?ベン!これは、殺人事件ではないのか?」
「殺人・・・・誕生していない胎児のことを言ってるのか?」
「そうだ。出産予定日まであと2週間だった胎児だ。
銃で殺された・・・胎児の人権・・・君の分野だろ」
「確かに私はカトリック教徒だ。しかし、仕事では持ち込まない」
「その姿勢には賛成だ。まぁ胎児の人権問題活動家は、声を挙げているがな」
「君の標的は、胎児の人権ではないだろ、ジャック?」
「あぁ、そうだ。ハリヤノシュから、何を聞いてきた?ベン?」
「・・・・・何も・・・・」
「君が、私に対して強硬姿勢なら、私も考えがある。
私は、殺された赤子の後見として、訴訟を起こそうかと思っている」
「何ですって?一体何をやる気なのか??」
「君が隠していることだ・・・そしてハリヤノシュ家が隠していること・・・
赤子は、医師の判断で帝王切開で産まれ・・・暫くの間生きていた、と。
そんなんだろ?ベン」
「・・・・・・」
「世間には、銃撃で浮かれる前に命を失った、と伝えられているが、本当は生きていた。
しばらくの間でも。だから、もう胎児ではない。人間だ。人の権利を有する」
「あぁ、その通りだ。しかし、だれも赤子の殺人事件の犯人捜しを求めていない」
「誰も?違うだろ、ベン?ハリヤノシュ家、がだろ?
あの一家は知っているのさ。誰が少女に銃を渡しのかを」
「仮に、それが真相だとしても・・・・誰が求めているんだ、ジャック?
ジェニスは、確かに精神状態が不安定だった。それは一家が知っていた。
恵まれた生活。世間はそう見ていたが、彼女自身は常に、妹に嫉妬していた。
自分に比べて、華やかさもない平凡な生活を送る妹を。
私には、分かるんだ、ジャック。
才能や容姿、そして財産なんかじゃない。本当に欲しいものは、単純なものなんだよ。
しかし、それが自分のものにはならない・・・
幼い子がじゃれつき、大きなお腹を幸せそうに見せつける妹・・・・
自分には届かない幸せを、見せつけられた・・・ジェニスはそう思った。私はそう考える。
発作的な行動だったんだろう。
シェネラに銃を渡し・・・撃て、とは言ってない。そう聞いている。
ただ、もし撃ったら・・・とは思ったろう。それが罪か?
もう今では、カトリンも納得している。だから、街を去るんだ。
これ以上、何をかき回す必要があるんだ?」
「本当にそう思っているのか、ベン?それが真意?
もしそうなら・・・・一体我々は、何を仕事としているんだ?」
「凶悪な事件ではない。時には片目をつぶる必要もある」
「いつから宗教家になった?我々は検事だぞ。市民に対し責任がある」
「君の言う市民とは、数回息をした赤子のことなのか?
確かに気の毒だ。それは私も思う。
しかし、カトリン夫婦が、赤子の殺人事件として、捜査を依頼したのか?
誰も依頼などしていないはずだ」
「それでも、見逃せない。殺人事件だ。私は、そう認定する」
「それは、君のエゴからの考えじゃないのか、ジャック?
君の、その正義は、時には人の事を考えない傲慢さに繋がる」
「人のこと?一体、我々は、いつから人の幸せを考慮する必要を持ったのだ?
罪を正当に裁く。これが仕事ではないのか?」
「その通りだよ、ジャック。私も、その通りのことをしてきた。
しかし、時には、その正当さが本当に正しいのかどうか
立ち止まる必要も、あるのではないか?それが今では?」
「ベン・・・・君はジェニスに同情しているのか?
子供を持てない彼女に・・・・同情する気持ちは私的なものだ。
それを、仕事に持ち込むとは・・・・君には、失望したよ・・・まさか、君が・・・」
「ジャック・・・君の厳しさは、時には救いである場合もある。
しかし、血の通わない惨い決断の時もある・・・・
君の、その冷たさと断じる姿勢には、もう付いていけない・・・
本来なら、その椅子には、私が座るはずだったんだ、ジャック」
「それは、知っているよ、ベン。
多くの人が、それを望み、そうなるだろうと期待した。
しかし、今、この椅子に座っているのは私だ。
それが、一体何を意味するのか、理解できない程愚かになったとは」
「・・・・・・この事件は、切っ掛けに過ぎない。
どうも、私の場所は、ここには無さそうだ・・・そうだろ、ジャック?」
「君の検事としての能力は、私以上だよ、ベン。
それは、全く疑いの余地が無い。私自身がそう言うんだから、間違いない。
しかし、時には自身の視点が入り込んでしまう。
勿論、それは検事としての個性であり、特色でもある。
個人としての資質でもある・・・・それは大いに発揮しても構わない。
しかし最初に情を絡めては、クリアに見えなくなってしまう。違うか?」
「・・・・・・・出て行け、ということか、ジャック・・・・!」
「それは君次第だろ。今の私には、そうできる権限がある。
しかし、それを今、君に振るう気はないよ、ベン・・・・」
「・・・・・少しだけ・・・・もう少しだけでいい・・・時間をくれ」
「構わんよ。市長には、うまく言っておこう」
退出するストーン。
閉じた扉を、長い間見つめているマッコイ・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・追記は、次で。