本の御紹介です。
『私たちが死刑評決しました。』
フランク・スワートロー
リンドン・スタンブラー
グレッグ・ベラトリス(陪審員№1)
トム・マリノ(陪審員№2)
マイク・ベルメッシエリ(陪審員№4)
デニス・リア―(陪審員№5)
リッシェル・ナイス(陪審員№7)
ジョン・グイナソ(陪審員№8)
ジェリー・ザナーツ(陪審員№9)
2002年12月24日クリスマス・イブ
カリフォルニアの静かな街モデスト。
レイシー・ピーターソンが失踪した。
彼女は妊娠8カ月であり、胎児にコナーと名付けていた。
身内だけではなく、多くの人々が捜索に加わった。
そして・・・2003年4月13日&14日、レイシーが遺体で発見された。
同じくコナーも。
そして・・・2003年4月18日、夫であるスコット・ピーターソンが逮捕された。
さて御存知の方もいますかと・・・私は知らなかったが。
アメリカを騒がせたスコット・ピーターソン裁判です。
日本語でも検索可能です。興味のある方はどうぞ。
そして・・・『L&O』でもドラマになっていました。
ちょっと確認・・・S13#23「4組のカップル」ですね。
2003年5月21日初放映・・・逮捕されて約1カ月後・・・恐ろしい・・・(苦笑)
まだ裁判も始まっていないので、詳細は不明状態ですね。
この本は、この裁判で陪審員を務めた方々の物語です。
著作者として名を連ねていますが・・・全員ではない様で。
さて、事件ですが・・・
ピーターソン夫妻は、好青年夫&笑顔ステキ妻の、申し分ないカップル。
そう周囲に思われてきたのですが・・・
では、なぜこの事件に、人々が夢中になったのか?
まるでドラマのような素敵なカップルの殺人事件。
スコットは、レポーター&傍聴人、更には陪審員まで
魅了するほどのハンサムで申し分なしの色男。
妻レイシーは・・・捜索ポスターや写真等しかないが
それでも、笑顔が眩しい、「息子の嫁に欲しい」と親が望む女性。
弁護士は、ハリウッドの有名弁護士。
マイケル・ジャクソン(途中で身を引いたらしい)
ウィノナ・ライダー万引き裁判(これは敗訴)
そしてロス疑惑の三浦和義の弁護もしたとか。
まぁ、ブランドスーツを着こなす、典型的なスター弁護士。
そして対する検察・・・カリフォルニアといってもモデストは田舎町。
その検察官は、地味で実直でスター性など微塵もなく・・・
もう冒頭陳述から「勝負あり」な状態だったらしいが・・・
評決は有罪。そして量刑は死刑。
確たる証拠はない。状況証拠だけに等しい。
凶器、そして動機すら解明されていない裁判。
そしてスコット自身、証言を拒否し、彼の言葉がない裁判でも。
陪審員達にも嵐が。
裁判中に1人、評議中に2人、解任されている(補充陪審員が代わりを)
スコットの愛人の登場。スコットとの会話の録音。
負けが見えた検察に登場したフラダジャー主席地方検察官。
彼女の決して派手では無い、しかし人を説得させる魅力が、功を奏したのか。
そして海に投げ捨てられたレイシーの検視写真。
魚が食い散らかしたのか、レイシーは骸骨になっていた。
医師の証言
「頭部、頸部、上腕、下肢、などがなくなっていました。
頭がないので、脳を検証することもできません。
胸も空洞で、心臓も肺も調べることができません。
腹部も空っぽで肝臓も腎臓もありませんでした」
唯一残っていたのが子宮。
胎児のコナーは、子宮の中で死亡したという。
母体に充満したガスによって、子宮から出されたとのこと。
コナーの写真も。コナーは姿を保っていた。
・・・・子宮に保護されていたのだ・・・・レイシーの最後の力で。
とまぁまぁ・・・まるでドラマ。まるで『L&O』でしょ?
でも本文でも「『L&O』のようにはいかない」風に書かれていましたよ(笑)
序章、他16章ありますが、次の章に行く度に
「チャンチャン!」って音が聞こえる気がしたわ(笑)
陪審員さん方が主役なので、陪審員さん方の感想で話が進みます。
勿論、州によって色々違うのでしょうが、
陪審員席から見た法廷や関係者、そして遺族。
陪審員生活の窮屈さ、そして大変さ。
陪審員選任って、ドラマでは弁護士&検察官が行っていますが
この本では、どちらも専門のやり手コンサルタントを雇っていました。
選任は、特に検察にとって重要なようで・・・
御存知の通り、陪審員12人全員が、有罪としなければ、成立しない。
しかし、弁護側は、1人にだけ有罪に疑問を持たせればいい。
だから、検察側は慎重に慎重に行っていましたね。
選ばれるまでも一苦労。しかし選ばれて嬉しい訳でもない。
そして仲間と対面・・・先ずはニックネーム選び。
どうもニックネームで、互いを呼ぶようですね。
『~TBJ』が、どんなドラマか??ですが
まぁ、ここまで詳しくは描かないだろうし・・・と思っていますが。
私が、オォ!と思ったのは・・・
勿論検察、更に更に弁護側は
やはり陪審員の情に訴えるんだろうなぁ、と思っているのですが。
勿論、この本の中でも、その戦略は取られていますが。
しかし、この裁判の陪審員達は、情もあったろうが、もっと冷静。
しっかり考えていたのには、驚き&さすが、でしたね。
立証責任って、検察なんですよね。
だから弁護側は、何も立証しなくていいし、
検察の提示したものに、反論すればいい訳で。
しかし、この裁判の冒頭陳述で、スター弁護士が意気揚々に語る中で
「・・・(スコットは)冷たい石のようにまちがいなく無実」
こうい表現を使い、検察に挑むような口ぶりだったそうです。
陪審員達は「冷たい石と無実、この2つの言葉が並べて使われるのはおかしい」
と感じたそうです。まぁそれは、単なる言葉の印象かもしれませんが
しかし、何かおかしいと感じた。
そして、その言葉を発した弁護士にも、疑問を感じた。この時は僅かであるが。
さらに、弁護士の挑戦的な態度から
「弁護側が、スコットの無実を証明してくれるに違いない」と
思うようになったそうです。
この思いは、裁判の終盤まであったそうで・・・
「いつ弁護士が、ひっくり返してくれるんだろ?
いつドラマのように、劇的な逆転劇が起こるんだろ?」
そう思っていたそうです。しかし、それは起こらなかった・・・・
何度も繰り返しますが、陪審員の物語です。
しかし要所要所で、裁判の描写があるので、法廷ものともいえる(勝手に)
興味のある方は、ぜひ!
スッゴク、読み応えあります。
人様の裁判なので、「〇も〇ろいッッ!」は控えましょうね(ウムウム)
最後に・・・本文から・・・
「カリフォルニア州の法律では、死刑判決の出た裁判は
自動的に同州の最高裁に上訴される。
しかしそれには、
第一審の記録すべてを認証する作業を済ませなくてはならない。
上訴も長い道のりなのだ。
スコットが死刑に処されるには、まだ20年、
いやそれ以上かかるかもしれない」
・・・・・・・・・・・・まだスコットは、生きています・・・・
『私たちが死刑評決しました。』
フランク・スワートロー
リンドン・スタンブラー
グレッグ・ベラトリス(陪審員№1)
トム・マリノ(陪審員№2)
マイク・ベルメッシエリ(陪審員№4)
デニス・リア―(陪審員№5)
リッシェル・ナイス(陪審員№7)
ジョン・グイナソ(陪審員№8)
ジェリー・ザナーツ(陪審員№9)
2002年12月24日クリスマス・イブ
カリフォルニアの静かな街モデスト。
レイシー・ピーターソンが失踪した。
彼女は妊娠8カ月であり、胎児にコナーと名付けていた。
身内だけではなく、多くの人々が捜索に加わった。
そして・・・2003年4月13日&14日、レイシーが遺体で発見された。
同じくコナーも。
そして・・・2003年4月18日、夫であるスコット・ピーターソンが逮捕された。
さて御存知の方もいますかと・・・私は知らなかったが。
アメリカを騒がせたスコット・ピーターソン裁判です。
日本語でも検索可能です。興味のある方はどうぞ。
そして・・・『L&O』でもドラマになっていました。
ちょっと確認・・・S13#23「4組のカップル」ですね。
2003年5月21日初放映・・・逮捕されて約1カ月後・・・恐ろしい・・・(苦笑)
まだ裁判も始まっていないので、詳細は不明状態ですね。
この本は、この裁判で陪審員を務めた方々の物語です。
著作者として名を連ねていますが・・・全員ではない様で。
さて、事件ですが・・・
ピーターソン夫妻は、好青年夫&笑顔ステキ妻の、申し分ないカップル。
そう周囲に思われてきたのですが・・・
では、なぜこの事件に、人々が夢中になったのか?
まるでドラマのような素敵なカップルの殺人事件。
スコットは、レポーター&傍聴人、更には陪審員まで
魅了するほどのハンサムで申し分なしの色男。
妻レイシーは・・・捜索ポスターや写真等しかないが
それでも、笑顔が眩しい、「息子の嫁に欲しい」と親が望む女性。
弁護士は、ハリウッドの有名弁護士。
マイケル・ジャクソン(途中で身を引いたらしい)
ウィノナ・ライダー万引き裁判(これは敗訴)
そしてロス疑惑の三浦和義の弁護もしたとか。
まぁ、ブランドスーツを着こなす、典型的なスター弁護士。
そして対する検察・・・カリフォルニアといってもモデストは田舎町。
その検察官は、地味で実直でスター性など微塵もなく・・・
もう冒頭陳述から「勝負あり」な状態だったらしいが・・・
評決は有罪。そして量刑は死刑。
確たる証拠はない。状況証拠だけに等しい。
凶器、そして動機すら解明されていない裁判。
そしてスコット自身、証言を拒否し、彼の言葉がない裁判でも。
陪審員達にも嵐が。
裁判中に1人、評議中に2人、解任されている(補充陪審員が代わりを)
スコットの愛人の登場。スコットとの会話の録音。
負けが見えた検察に登場したフラダジャー主席地方検察官。
彼女の決して派手では無い、しかし人を説得させる魅力が、功を奏したのか。
そして海に投げ捨てられたレイシーの検視写真。
魚が食い散らかしたのか、レイシーは骸骨になっていた。
医師の証言
「頭部、頸部、上腕、下肢、などがなくなっていました。
頭がないので、脳を検証することもできません。
胸も空洞で、心臓も肺も調べることができません。
腹部も空っぽで肝臓も腎臓もありませんでした」
唯一残っていたのが子宮。
胎児のコナーは、子宮の中で死亡したという。
母体に充満したガスによって、子宮から出されたとのこと。
コナーの写真も。コナーは姿を保っていた。
・・・・子宮に保護されていたのだ・・・・レイシーの最後の力で。
とまぁまぁ・・・まるでドラマ。まるで『L&O』でしょ?
でも本文でも「『L&O』のようにはいかない」風に書かれていましたよ(笑)
序章、他16章ありますが、次の章に行く度に
「チャンチャン!」って音が聞こえる気がしたわ(笑)
陪審員さん方が主役なので、陪審員さん方の感想で話が進みます。
勿論、州によって色々違うのでしょうが、
陪審員席から見た法廷や関係者、そして遺族。
陪審員生活の窮屈さ、そして大変さ。
陪審員選任って、ドラマでは弁護士&検察官が行っていますが
この本では、どちらも専門のやり手コンサルタントを雇っていました。
選任は、特に検察にとって重要なようで・・・
御存知の通り、陪審員12人全員が、有罪としなければ、成立しない。
しかし、弁護側は、1人にだけ有罪に疑問を持たせればいい。
だから、検察側は慎重に慎重に行っていましたね。
選ばれるまでも一苦労。しかし選ばれて嬉しい訳でもない。
そして仲間と対面・・・先ずはニックネーム選び。
どうもニックネームで、互いを呼ぶようですね。
『~TBJ』が、どんなドラマか??ですが
まぁ、ここまで詳しくは描かないだろうし・・・と思っていますが。
私が、オォ!と思ったのは・・・
勿論検察、更に更に弁護側は
やはり陪審員の情に訴えるんだろうなぁ、と思っているのですが。
勿論、この本の中でも、その戦略は取られていますが。
しかし、この裁判の陪審員達は、情もあったろうが、もっと冷静。
しっかり考えていたのには、驚き&さすが、でしたね。
立証責任って、検察なんですよね。
だから弁護側は、何も立証しなくていいし、
検察の提示したものに、反論すればいい訳で。
しかし、この裁判の冒頭陳述で、スター弁護士が意気揚々に語る中で
「・・・(スコットは)冷たい石のようにまちがいなく無実」
こうい表現を使い、検察に挑むような口ぶりだったそうです。
陪審員達は「冷たい石と無実、この2つの言葉が並べて使われるのはおかしい」
と感じたそうです。まぁそれは、単なる言葉の印象かもしれませんが
しかし、何かおかしいと感じた。
そして、その言葉を発した弁護士にも、疑問を感じた。この時は僅かであるが。
さらに、弁護士の挑戦的な態度から
「弁護側が、スコットの無実を証明してくれるに違いない」と
思うようになったそうです。
この思いは、裁判の終盤まであったそうで・・・
「いつ弁護士が、ひっくり返してくれるんだろ?
いつドラマのように、劇的な逆転劇が起こるんだろ?」
そう思っていたそうです。しかし、それは起こらなかった・・・・
何度も繰り返しますが、陪審員の物語です。
しかし要所要所で、裁判の描写があるので、法廷ものともいえる(勝手に)
興味のある方は、ぜひ!
スッゴク、読み応えあります。
人様の裁判なので、「〇も〇ろいッッ!」は控えましょうね(ウムウム)
最後に・・・本文から・・・
「カリフォルニア州の法律では、死刑判決の出た裁判は
自動的に同州の最高裁に上訴される。
しかしそれには、
第一審の記録すべてを認証する作業を済ませなくてはならない。
上訴も長い道のりなのだ。
スコットが死刑に処されるには、まだ20年、
いやそれ以上かかるかもしれない」
・・・・・・・・・・・・まだスコットは、生きています・・・・