いちおう、窓を開けて …

2013-05-18 | 日記

            

いちおう、今は朝の七時である。いちおう、窓を開けてみる。いちおう、空は曇りながらも、いちおう、青空は澄んで、いちおう、カエルの鳴く声が山の麓の村である。いちおう、気持ちのいいモーニングである。いちおう、まだフトンの中に横たわって、いちおう、昨夜の本の続きを開く。いちおう、それは 『 枕草子 』 だったり。いちおう、読み出す。

遠きところより、想ふ人の文を得て、固く封じたる続飯 ( そくひ、糊 ) など開くるほど、いと心もとなし。 ( 第百五十三段 )

遊びは、夜。 人の顔見えぬほど。 ( 第二百段 )

人の容貌 ( かたち ) は、をかしうこそあれ。憎げなる調度のなかにも、一つよきところの、目守 ( まも ) らるるよ。 「 醜きも、さこそあらめ 」 と思ふこそ、わびしけれ。 ( 第二百五十三段 )

目や鼻などを、顔の調度品と言うところがいい。その道具の中で一個でもいいところがあれば目を引くのだが、自分はそう思わずに 「 醜いところも、きっと目を引くのだわ 」 と思う自分が情けないのである、という。いちおう、おんな心である。いちおう、十世紀に生きた才女のセンスを近く思う。もうそろそろ、いちおう、起き出さなければならない。いちおう、母がうるさいのである。