NOVEMBER MOONNIGHT

2011-11-10 | 日記

                        

しい月が出ると、僕はなぜか気持ちが晴れるのである。月は秋の季語で、古来、月といえば 「 秋の月 」 なのである。李白 ( 701-762 ) に 「 牀前看月光 疑是地上霜 挙頭望山月 低頭思故郷 」 がある。月光は人をして物思いに沈めるくせがある。

  月見ればちぢに物こそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど  ( 「 古今集 」 より大江千里作  )

名月、無月、三日月、十六夜、立待月、居待月、宵闇、真夜中の月、月にはいろいろあるけれども、やはりここでは単純に 「 秋の月 」 である。深くなる秋夜の雲間に月が見え隠れしている光景はやはり 「 月影 」 であった。もともと民間伝承では月を待つ習慣があって、月の出に先立って、三尊仏の来迎を拝することができると信じられていたそうである。 「 月影 」 というのはその来迎の前兆のことであろうか。イニシエの人々のイマジネーションは、なんとも壮大なるスペクタクルである。

そして僕のデジカメはいつもピンボケであったし、月がきれいだとどうしても写したいのであったから、これはもう性癖に近い。もう何回目だろうか、こんな写真を掲載したのは。結構あるに違いない。それにしても秋の月はジュピターを従えて美しい。

11月の月は彼方、幻想の雲の階段をいつか登って行って見えなくなった。