夕陽の見えない夕べの空

2010-07-23 | 日記
7月23日午後7時11分の夕陽風景。昨日に続き 「 夕陽 」 です。昨夜やっと加藤周一著 『 夕陽妄語 』 を見つけました。なんと言っても積読なので、探す本が何処にあるのか、探索するのがとても大変。
今、手元にあるのは朝日新聞社1997年発行の 『 夕陽妄語第一輯 1984・4-1987・12 』 です。巻頭に新聞記事の一番最初の文章 「 夕陽妄語の辯 」( 1984年 ) が掲載されています。その一節を紹介します。

 ……
旭日昇天の意気は、初めから私には縁がなかった。今でも、出世、成り上がり、勢力拡大、狂信主義という種類のことを、私は好まない。私が好むのは、長い年月の間に楽の茶碗に滲み出す微妙な色調であり、沈みゆく町に沈む夕陽の最後の輝きであり、あらゆる価値に対する懐疑主義である。もし私の雑文に時節があるとすれば、その時節は夕暮れにちがいないだろう。「妄語」は、兼好法師のいわゆる 「 心にうつるよしなしごと 」 である。…… ( 加藤周一著 『 夕陽妄語輯 第一輯 』 )