アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ド・アップにハマった時代

2018-05-12 22:00:00 | 国鉄時代(モノクロ)

古い写真が続いてしまい恐縮してしまうが、自分の履歴として記載し、将来読み返すことも目的としているので、どうかご勘弁願いたい。当時の記憶や想いを出来るだけ自身で残しておきたいのだ。写真は、撮影日や場所、機材等がはっきりしていれば、画像が残っている以上結構当時の場面を振り返ることができる。それでも30年以上の歳月が経つと、いよいよ薄れてしまう印象が最近多くなってきた。今のうちに、自分のために書き残しておき、将来楽しもうという懐古趣味だ。

音楽鑑賞については、さらに具合が悪い。音楽は、演奏されたと同時に消えていくもの。保存できない空間芸術とでも言えるのか。だから今聴いた音楽を心の中に留めておくことしかできないのだ。その演奏会のCDが将来発売されたとしても、全くの別物に感じ、本当にあの時の演奏なのかと疑いたくなったことが何回あったことか。つまり、多くの聴衆と同じホールで同時に音楽を共有し、その音楽に感動できたのなら、指揮者、演奏者そして聴衆たちとどこか心が一つになった感覚が生まれる。それぞれ思いの丈は違うが、一つの同じ音楽で心が繋がる感覚だ。アントンKも今まで何十何百と演奏会に出向いて来たが、そんな演奏会に出会えるのは、ほんの一握り。でもその瞬間を味わいたくて足を運ぶ。これは男のロマンだ。毎回期待して会場に向かい、期待以上の演奏だった時、感情が一気に爆発する。喜怒哀楽が一点に集まり、心の中で昇華する。どこか写真撮影と通じるところがあると感じているが、今は具体的にはまとまらない。将来時間をかけて考えていきたい。

さて前置きが長くなってしまったが、アップの写真撮影にハマっていた頃の画像を掲載してみる。諸先輩方から、ペンタックス67は、流しの決まるカメラだと言われ随分練習した頃があると以前記載したが、それと同時進行で、被写体を限りなく大きく撮影することにこだわり、シャッターを切っていたことがある。ご存知だろうが、ペンタ67のファインダーは、覗いてもファインダーの四隅を一度では確認できず、意識して見渡さなくてはならない。視野率の悪さも手伝って、アップでの撮影はリスクが大きかったが、当時鉄道撮影の神様と言われた廣田氏がやたらとアップの写真を発表され刺激を受けたことも要因の一つだろう。とにかく最初は標準レンズを装着して撮影していたが、ファインダー内の被写体の動きに身体が慣れてくると、レンズの長さを少しづつ長くしていき、あまり被写体がゆがまない角度を身体で習得していった。この手の写真は、画角よりも被写体のはみ出しとピントとブレが難しく、ペンタ67のシャッター癖と相まってなかなか手ごわかった思い出がある。ただでさえ、被写体深度が浅いペンタ67だから、ピントは枕木3本もズレれば外してしまうだろう。失敗は限りないが、納得できる画像が現像された時の興奮は、今でも心に焼き付いている。

そんな想いで撮影した急行「銀河52号」。東京機関区所属EF58124号機けん引。早朝から快晴に恵まれ、背景の富士山も綺麗に見えていたが、この列車だけは敢えて機関車主体で撮影していた。この当時は、何号機がけん引してくるという事前情報もなく、撮影してわかった状況だからあまり良い心持ではなかったはず。しかし今見るとどこか懐かしく、東機のハズレガマでも愛着が沸いてくる。

1982-10-10   6102ㇾ  EF58124  銀河52号   東海道本線:三島-函南