アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

ブロムシュテットのブルックナー第7番

2011-09-22 13:30:15 | 音楽/芸術

昨日は、嵐の中ブルックナーを聴いて来た。N響の定期公演で、ブロムシュテット指揮による第7番の交響曲。今年は、なかなかコンサートに恵まれず、久しぶりの実演鑑賞になったが、結果として感動的な演奏であったことをまず伝えておきたい。指揮者のブロムシュテットも、今年で84歳、いよいよ指揮者としては巨匠の部類になるのであろうが、今までの演奏スタイルでは、あまり個性の少ない、どちらかと言うと無難なオーソドックスな演奏スタイルであった。しかし、録音は、かなり昔から存在し、今日の第7も、何種類か残されているが、その年代を通してもあまり解釈は変わらないように思えた。最近の録音こそ、どちらかと言うと巨匠スタイルに変わりつつある部分も散見できたのだが、果たして今日の演奏はどうなるか、そんな気持ちで会場に向かった。

前半には、よくあるパターンで、シューベルトの未完成交響曲の演奏。中庸な速度で開始されたが、出だしの低音の弱いこと弱いこと。そしてそれに続く弦の刻みが明確ではなかったので、この部分だけでもう自分の好みからは、離れて行った。しかし、オケであるN響は、良く鳴っており好演を繰り広げている。そして後半は、いよいよブルックナーだ。第1楽章の弦が、未完成と同じに扱われるのかと思いきや、今度はしっかりとEとGisの和音の刻みが感じられる。そこに、ゆうゆうと主題が提示されとても安心できたのである。一応ノヴァーク版とのことであったが、アダージョのクライマックスでのシンバル、トライアングルは省略されていた。これは賢明な解釈である。ティンパニだけを残しているので、スカスカにならず非常にこの部分も好みにあった。曲が進むにつれ、オケが安定し益々綺麗になっていき、良い意味で予想を超えた素晴らしい演奏であった。当日は、FMでも生放送が入っており、またVTRも撮っているようだったが、果たしてどれだけ、この内容が伝わっただろうか。嵐が直撃して、交通網が寸断され、1~2割の聴衆であったことが心苦しい。