殺虫剤

夜になると、寝室に飛び回る蚊に腹を立て、しかも、朝起きると、絶対に一個か二個ほど蚊に噛まれた跡ができるのです。
そのことで、母が強力な殺虫剤を買ってきました。

それはそれでいいんです。
問題は、ここからなんです。
昨晩、殺虫剤の威力を見るために、寝る前に寝室にくまなく殺虫剤を振りまわることになりました。
それはもう、ものすごい噴射量です。

朝、起きて、なんか母の顔色が冴えないのです。
どうも気分が悪いらしく、朝ご飯、昼ご飯を食べず、寝込むことになりました。
私と言えば、ものすごい下痢を起こし、トイレに駆け込まないといけないくらい。
別の部屋で寝ている父は、いつも通りの生活です。
「これは、きっと、殺虫剤が体をいわしているのではないか。」と、思うのです。
それに、体がキワキワして、気持ち悪いのです。
「これなら、蚊にくわれてもいいから、殺虫剤はやめよう。」と、考えます。

でも、確かに蚊は寝室に見当たらないので、殺虫剤にやられたのかもしれません。
「強力過ぎるわぁ。」と、恐るべし殺虫剤です。
しかし、便秘は無くなって、ちょっとだけよかった。と、思います。

今日は、生ごみの日で、ゴミ袋をゴミ収集の場所まで持って行くのに、お向かいのおばさんに顔を合わせ、「お母さんは？」と、聞かれました。
まさか、「殺虫剤にやられた。」ともいうことが出来ず、「お手伝い。」と、ウソをつきました。
多分、ウソと言うのはばれているはずです。
今まで、お手伝いなんてしたことないんですから。
でも、ちょっとだけ自分を美化したい私は、平然とウソをつきます。