
ベネチアのリアルト橋
この橋のふもとで・・・
世界広しといえども、海の中に杭を打ち、その上に町を造ってしまうだなんて、こんな国は他にはありません。古代、この地域に住む人たちが、ゲルマン人の侵略を受けて逃れた先の湿地帯がこの町の原点なのですが、時は5世紀にも遡ります。沢山の戦いの歴史はこの地にも勿論あって今に至っている訳ですが、他では見られない特異な地形と唯一無二の町の風情は、ここが例え世界遺産にならずとも、世界中の人々の旅情をかき立てることだろうと思います。

町の至る所で、カーニバルの仮面が売られています
何とも怪しげな、そして魅了されるマスケラ
何とも怪しげな、そして魅了されるマスケラ
はい、私もその一人で、ここ数年ベネチア通いをしています。何にこんなにも惹きつけられるのか、決して住みたいとは思わないのだけれど、どうしても足が向いてしまう。元々私の故郷神戸の須磨地区も、JRの駅を出るとすぐそこは海が広がる水辺の町だったからか、幼い頃の刷り込みによって、異国の町でも水域に心が駆り立てられることになるのかもしれません。

ベネチアでも運河にクリスマスのプレゼピオが飾られていました
イタリアを旅して、いつも最終の地にベネチアを選ぶのですが、年々観光客が増えるようで、海に浮かぶこの小さな町は大丈夫なのか、などとつい思ってしまいます。自分だってその当事者の一人なのは分かっているけれど、それ程、人人人で溢れるベネチアの町…

ヴァポレットも、まるで難民船のようで^^;
そんな愛して止まないこの町で、昨年ちょっとしたトラブルに遭いました。いや、トラブルと言うには余りにもお粗末で、あのぉ、その、しどろもどろo$μσυεπΦ~実は、スリに出会いました。とまたまた、中途半端な物言いをする…スリ男さん、スリ子さん、こんにちは~ではありません、ポケットからお金をすられたのですハッキリキッパリ。ハイ、カミングアウトです。

ベネチアの町のワンコは…
andiamoとは、イタリア語で「さぁ行きましょう」の意
2014年12月28日のことでした。駅近くのホテルから、リアルトまで散策しようと、バッグも持たず身軽な格好で出かけたのですが、それが徒になったというか、ポケットに入れた30ユーロほどの現金をものの見事に持って行かれてしまいました。

頑固そう(^^)
気付いたのは、リアルトの橋のふもとにある両替所の前でした。何気にポケットに手を入れて、まさぐった時の空虚感は今も指先に蘇るのですが゛、あーやられたなぁ~と思わず口を突いて出た言葉は無念と言うよりあきらめの境地。しかし、ポケットはチャック付きで、閉めていたはずなのに、なんという鮮やかな手口…

レストラン・ブルーノで食べたクモガニのサラダは絶品でした
2012年の旅より
実は、今回は旅行前からひいていた風邪が原因で、機中で航空中耳炎に罹り、その為に抗生剤をずっと飲んでいたのですが、今から思えばその副作用せいで、頭はぼんり注意も散漫になっていたのでしょう。いや、そうじゃないって?ペルージャでカメラを落としたじゃない、ロシアではパソコンも~という声がどこかから聞こえて来そうですが、どちらにしてもホヤホヤと歩いている観光客は、格好の餌食ですよねぇ。

ブルーノで食事中、来るなっ来るなっと念じていたけれど
彼はやってきて…
彼はやってきて…
仕方なくチップをあげました(-_-)

サン・マルコ広場
2本の柱の上には、獅子の彫像(右)と聖テオドーロの彫像(左)が置かれている
この柱の下では、公開処刑が為された歴史があり、地元では不吉な場所とされているらしい
ベネチアの人は通らないそうな
私はもう何度も何度もくぐったけどなぁ…
この柱の下では、公開処刑が為された歴史があり、地元では不吉な場所とされているらしい
ベネチアの人は通らないそうな
私はもう何度も何度もくぐったけどなぁ…
ベネチアは、イタリアの観光地の中でも比較的安全な町で、夜遅くまで人々は散策を楽しんでいます。黄色いチョッキを着けたお巡りさんも巡回していて、安心感を持ちますが、ここはやはりイタリアだということを忘れてはいけません。うっかり置いたモノは即効無くなるし、こうしてスリも暗躍しています。あのカオスのスパッカ・ナポリの町歩きでさえ、同じ格好で無事にやり過ごせたのに、まさかベネチアでスリに遭うなんて思ってもみませんでした。この時のレートで、日本円にすれば、わずか4000円ばかりの被害でしたが、それでも、この日の夕飯代だったのに、あー今頃になって腹が立ってきた。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の鐘楼から対岸のサン・マルコ広場を望む
ベネチアも、決して安心できる町ではありません。特に今年はミラノで万博が開催されているために、この地に寄る観光客も多く、彼らは手ぐすね引いて待っています。リアルト付近やそこから伸びるクリソストモ通り、サン・マルコ広場は勿論のこと、時計台の下から続くメリチェリア等、道幅が狭くて混雑する場所ではゆめゆめ油断のないように。この町にだってスリはいる!
それにしても、スリに遭われたなんて!!! 30ユーロは残念でしたが、用心されて少額だけ持ち歩かれていたので、大切な身分証明書やほかのお金が無事で本当によかったですね。うちの夫はローマの駅のトイレで身分証明書と大金入りの財布、わたしはポルトガルでカメラをわずかの時間置き忘れ、すぐに戻ったのに見つかりませんでした。お互いに気を引き締めなければいけないとはいいつつ、体調も優れなかったのですもの。今後は、こんなことが起こりませんように。
なおこさんもご主人様もそんな被害に遭われて、失礼ながら、ちょっと安心しましたが、しかし、大金と身分証明書、そしてカメラまで、大変な被害でしたね。きっとご心痛だったことと思います。わずか4000円でも、ショックでしたもの。私はパスポートは、いつもコピーを携帯しているので、その点は心配ないのですが、そんなとき、身分証の再発行の手続きなど相当時間が掛かったのではないですか。ベネチアは安全な町という勝手な思い込みがありましたが、この町に限らず、なおこさんが言われる通り、旅のさなかはどんなときも気を引き締めなければと猛省です。優しいお言葉を掛けて頂いて心が安らぎました。ありがとうございます。