goo blog サービス終了のお知らせ 

イタリアより

滞在日記

スクロベーニ礼拝堂を訪ねて3

2013年12月01日 | パドヴァ

切符売り場のある博物館の中庭


こうしてすったもんだの末、見学時間の予約をすることになりましたが、思いも掛けなくロビーには結構人が居てびっくり。これまでも、オフシーズンのこの時期においては、ウフィツィ美術館初めアカデミアやボルゲーゼなど予約は日本から必須だといわれている美術館に当日でもすんなり入れているので、この礼拝堂もそのつもりでいましたが、今日は三時間もあとの時間でしか予約は取れませんでした。きっとクリスマス休暇で観光客が一気に増えたのだろうと思います。


予約完了のバーコードの入った書面


この礼拝堂は一度に入場できる人数は限られていて、しかも事前に、別室で礼拝堂に関するビデオを見ながら“体温の調整”をすることになります。これはフレスコ画保存の為に見学者が出入りすることによる室温の変化を防ぐ処置ですが、実際に入場してみると、管理はとても厳重で驚きました。


内部を埋め尽くすジョットのフレスコ画には圧倒されました

凄いっ

1301年に出現したハレー彗星をキリストの誕生をいうベツレヘムの星としてこのフレスコ画に描いているとか

吸い込まれるような“青”は天空だったんだ…


砂と石灰を混ぜて作ったモルタルで壁を塗り、その上に水だけで溶いた顔料で絵を描くフレスコ画は、絵の定着のための溶剤を一切使いません。なので描かれた絵画は油絵や水彩画と違った独特の色と表情を醸し出します。石灰が作り出す結晶に顔料の微細な粒が一粒一粒封じ込められるので色も鮮やに長期間保たれるのだそうですが、それでも何百年と時が経てば修復や管理なしでは当時の状態を維持できないのは火を見るより明らかで、この絵も700年の時を経ても未だ完全には乾いていないのだとか。小さな聖堂内、なんだか息さえもこの絵画に影響を与えそうで、密やかに吐いて吸って…ケホッ みんな静かに静かにたたずみました。


オフシーズンにもかかわらず見学者は沢山いる

左下の青いケープをまとった年配の女性が、予約のあるなしをチェック。

「Ha un bglietto?」「Ha un bglietto?」“切符は持ってんの?”と手当たり次第聞いていました(^^)



ジョットの肖像画

1266年フィレンツェ生まれ/1337年70才で死去…らしい


この礼拝堂のフレスコ画の作者ジョットについては意外に知られていることは少なくて、イタリア・ルネッサンスの先駆けとなった偉大な芸術家というのがもっとも一般的な彼への評価ですが、その名声はゆるぎなく一貫していたことを思うと、まさしく比類なき天才だったのだろうと思います。有名なフィレンツェのジョットの鐘楼は、この礼拝堂の絵を描いた後の彼の作品だそうですが、その記録のほかには、生まれた年月日や亡くなった日などの確たる詳細は残っていず、革新的な芸術を生んだ彼の生涯は結構謎に包まれていることを知りました。


ユダの裏切りなんてなかったことにしよ~

左下、黄色い服を着て、頭にわっかのないのがユダ

礼拝堂に描かれているのは「キリストの生涯」と「聖母マリアの生涯」です。上記はその中の「最後の晩餐」

ダ・ヴィンチが描いた同じモチーフでは、裏切り者は誰か、猜疑心に満ちた弟子たちの表情が窺えますが

ジョットの作品にはそれがない…

食卓には温かな雰囲気さえ漂って、ジョットの世界観が垣間見えました

なお、スクロベーニ礼拝堂は、高利貸しだったエンリコ・デッリ・スクロヴェーニが建てたお堂です。

当時高利貸しで財を築いた者は罪人とされるため、お堂の建設はその償いなのだとか


ヨーロッパにおける中世の美術では絵画のほとんどが宗教画でした。その手法にはじめて自然で人間的な表情を与えたのがジョットです。彼はそれまでの判を押したような神秘的で象徴的、かつ平板な表現を打破し、人を人として描き、奥行きのある現実的な空間を作り出しました。キリストだって例外ではありません。スクロベーニ礼拝堂に描かれているキリストは、もはや神の世界ではなく、聖書から抜け出た現実の魂あふれる人間として描かれています~とここまで事前学習して、入場しました(*^_^*)。


入場時間午後5時40分を待つ


実は待ち時間は、約3時間~パドヴァの町の散策と由緒あるカフェ「ペトロッキ」で時間をつぶしましたが、パドヴァの町は思った以上に小さいエリアに見どころは収まっていて、ベネチアを午後から出かけた割にはまずまず効率はよかったと思います。行き当たりばったりの旅は、少しばかりドジったものの、でもそれだけにジョットのフレスコ画への感動と共に、一年経っても印象深く残っているのは面白いです。


事前のビデオ鑑賞/25名限定

ビデオを見ながら礼拝堂の中と私たちの身体の体温を一定にして、フレスコ画へのダメージを防ぐ


そうそう、ジョットのフレスコ画は以前アッシジの大聖堂でも見ましたが、「ほんとにジョットが描いたのか」と、なんとこの真偽が問われているとか。何しろアッシジの大聖堂は広すぎるので、二つを比べると、この小さなスクロベーニ礼拝堂を埋め尽くすフレスコ画の方が何と言っても感動的で軍配は上がるのだけれど、作品の善し悪しは、もしかすると建物の大きさのせいばかりではないのかもしれません。アッシジでは真偽のほどを巡って、専門家たちが現在論争中なのだとか。

余談
フレスコ画を案内してくれたお姉さんに、公園内の礼拝堂を最初に訪ねたことを言いました。どこから入るのか分からなかったと。するとお姉さんは、礼拝堂の正面は開けることがないと教えてくれました。でもこうして見学できて良かったねとも。ハイ、終わりよければ全て良し…この言葉はこんなときに使うのでしょうね(^^)♪。
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スクロベーニ礼拝堂を訪ねて2

2013年11月19日 | パドヴァ

アレーナ公園脇から見えた衝撃の光景


スクロベーニ礼拝堂は閉まっているのだと諦めて、それではせめて公園でも散歩して帰ろうと園内に入りましたが、その脇から見えた光景に衝撃を受けました。なんと礼拝堂の真後ろに人が並んでいるではありませんか。考えるまでもなく、これは礼拝堂の見学の為に入場を待っている人たちなのだと直感し、大急ぎで礼拝堂にきびすを返しました。一体どこから入るのだろう、切符を売っているという博物館はどこにあるのだろう?


スクロベーニ礼拝堂へきびすを返すと

来たときには開いていなかった南側の門がいつの間にか開いている…

※私は青い矢印から入りました



切符売り場は、駅前から歩いて行くと礼拝堂を通り過ぎて南隣りの奥まった場所にある


駅前からポポロ大通りを歩いてくると、運河を通り過ぎたあたり左手に礼拝堂があるのですが、それに目を取られ、私のように敷地内に入ってしまうと切符売り場のある博物館は死角になって見えません。いや大通りからでも、切符を買う為には礼拝堂を通り過ぎねばならないのですが、何だかこれってちょっとしたトラップだわ。礼拝堂の公園エリアに入って上記の南門に気付けばまだいいですが、でも、よしんば気付いたとしても、閉まっていれば同じ結果になる。とにかく礼拝堂を通り越して、ポポロ通りを行く方が賢明です。私が入ったエリアには何も見どころはありません。


2012年12月29日、礼拝堂はなんとこの日は午後10時まで見学出来ました


何でも知ってしまえば、な~んだ、となりますが、この時は深く考えずにとにかく礼拝堂に行きさえすれば分かると侮っていました。観光本には確かに「切符売り場は市立博物館に隣接」とあるので、まずは博物館を訪ねるべきでした。

礼拝堂の前で入り口はどこかしらん~と一緒に考え込んだドイツから来たという女性は、どうされただろう、この博物館に気付かれて入場できたならいいのだけれど。

余談 ヒソヒソ
もしももしも私が「地球の歩き方」の編集者なら、切符売り場(博物館)は駅から歩いて行くと礼拝堂の建物を通り過ぎ南隣にある、と※印を付けた注意書きを添える。この本が時として旅行者の間で「地球のこけ方」なんて陰口を言われるのもこんなところに起因するのだろな…。あっ私の場合は、自分の不注意を棚に上げているだけですハイ。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スクロベーニ礼拝堂を訪ねて1

2013年11月18日 | パドヴァ

パドヴァのスクロベーニ礼拝堂の内部

ジョットのフレスコ画で埋め尽くされています

黄色の矢印の場所に立って見学しました


■2012年12月29日
国鉄のパドヴァ駅の構内にある、イタロのオフィスの写真を見つけたことから思い出したスクロベーニ礼拝堂を訪ねた際の大失敗。2012年12月29日のことでした。その日はベネチアに滞在していたのですが、ベネチアのサンタ・ルチア駅からレッジョナーレ(普通列車)で約30分、日帰りが出来るのでパドヴァの町に行こうと思い立ったのです。日本人の旅人がよく手にしているあの黄色い表紙の観光本「地球の歩き方」にさらさらと目を通してから、パドヴァの町に出かけました。この観光本は分厚くて重いので、いつも必要な箇所だけ目を通し、大切ななことはメモして本はホテルに置いて出ます。


パドヴァの駅前

黄色いバスの進行方向に歩いて行きます


その観光本には、駅前の道路、ポポロ通りをまっすぐに20分ほど歩いていくと目的のスクロベーニ礼拝堂があると、バスやトラムに乗らずとも簡単に行けることが書いてありました。まっすぐ歩くだけ~地図の読めない女にもこれは楽勝だと足取りも軽く歩いて行きました。そういえば、この礼拝堂の近くには、19世紀の由緒あるイタリア最高のカフェ「ペドロッキ」もあるようだし、予約の必要なこの礼拝堂の見学に、もし待ち時間があるなら、そのカフェにも寄ってみようと算段をしていました。


礼拝堂へ行く途中にある運河


本に書いてある通り、運河が見えました。この運河を越えると公園があって、その一角に礼拝堂があるのです。見学には、48時間以上前の予約が必須と本にも書いてありましたが、これまでの経験から、このオフシーズンでは当日でも見学はできると確信していました。


こんな簡素な礼拝堂の中には…


観光本に書いてある通り礼拝堂に着きましたが、入り口は閉まっています。何人かの外国の観光客も私と同じように、どこから入るのか立て看板を読んだり(上記写真の丸印)、入り口はいつ開くのかと、ベンチでひなたぼっこをしている地元の人にも聞いたりしましたが、結局分かりませんでした。この礼拝堂の前をあっちこっちウロウロしたものの、入り口は閉まったままだし、どこからも入る場所はない…イタリアの教会は、結構こんなことがあるしな、まっ仕方ない、と諦めて、この公園を散策することにしたのですが…


礼拝堂のある公園/Giardini Arena

お天気もいいし、ぶらぶらと~


えっーーーーっ!!

うっそー?!
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする