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イタリアより

滞在日記

サンマリノのランチ

2015年12月02日 | サンマリノ共和国

サンマリノ共和国/バシリカ・ディ・サンマリノ



町の人が祭壇を掃除していました

主祭壇には、サンマリノの守護聖人マリノの聖遺物が納められている



コリント様式の外観からは想像の付かないほど、内部は明るく綺麗でした


イタリア半島の対岸、クロアチアのアドリア海岸地域にあたるダルマチアの石工マリヌス(聖マリノ)とその仲間達が、当時のローマ皇帝によるキリスト教迫害から逃れて作った町、それがサンマリノ国の起源です。その聖マリノを祀るのがこのバシリカなのですが、ローマ帝国が滅んだ後も、他のイタリアの都市とは一線を画し、近代ではあの世界大戦の時ですら中立の立場を貫いて、ひたすら自由と独立を守ってきたサンマリノの歴史は、知れば知るほど圧倒される思いでした。今は、観光産業にすがるこの町ながら、石工マリヌスの信仰の深さと自由への願いは、長い間こうして連々と受け継がれてきたのですね・・・と前置きが長くなりました。久しぶりの更新です。


■2014年12月26日

ボローニャから列車でサンマリノ共和国へ日帰り旅行をしましたが、前述の通り、到着した時は辺り一面霧に包まれて、景色も見えずも風情も感ずるものは皆無でした。それが少しづつ晴れ間が出て来て、天に感謝をしましたが、もしも煙霧のまま視界不良なら、もうさっさと踵(きびす)を返していたことだろうと思います。


サンマリノから、隣の町になるボルゴ・マッジョーレを望む


こんな山のてっぺんの観光地では晴天になる程嬉しいことはなく、この日も一通りの見所を訪ね終えたあと、更にロープウエイに乗りました。乗車時には、前述の通りちょっと手間取りましたが、それでも眼下に広がる景色が見られて私は上機嫌でした。どの町も再訪はそうそう叶いません。ロープウェイだってどこにでもあるありふれた乗り物ですが、体験出来なかったら、小さな悔いが残ったことでしょう。


この通りは、Via oddone Scarito(オッドーネ・スカリト通り)といいます


ロープウエイを降りて、出口から上へ上がる階段があります。その階段から、何気に上の道路に出ると、左手方向に教会らしき建物の塔が目に入りました。いつもの通りハイ、行って見よう~でした。


左手方向の横断歩道を渡る


私のこの好奇心は、時に迷子になる要因でもあるのですが、今回は、功を奏しました。こんなところに?と言う隅っこに、思いも掛けない、地元の人たちが集うレストランがあったのです。時間はちょうど正午を回っていたでしょうか。ガラス越しに見る店内には、お客さんの姿が幾人も見えて、テーブルには予約席の札もあちこちに置かれていました。もしかして、当たりかも?!


こんなところにレストランが・・・見っけ-☆


何やら、ピーンと心に響くものがありました。テーブルには既に予約席が何席もあって、ご近所の人らしき客がワインを片手に歓談している…日本でもそうですが、こんな雰囲気を醸し出す店は、きっと美味しくてリーズナブルな料金設定の料理を出すに違いない。国内でも、旅行に出ると、必ず地元の人に聞いて、評判のお店に食べに行くのですが、そんな時はほぼ間違いなく美味しいのです。そんな経験から働いた私の第6感~このお店も、まさしくビンゴ!でした。


オステリア「Lino」


ボンジョルノ~と言いながら、ガラスの戸を押して中に入ると、スタッフの女性がすぐに応対してくれました。一人ですが、テーブルはありますか、と旅の常套句を言うと、女性は「si si」(はい、ありますよ)とニッコリと笑って、奥へ案内してくれました。入り口にも勿論テーブルはありましたが、イタリアの他のお店に違わず、ウナギの寝床のように、奥にも席は続いていました。


奥のテーブル席に案内されました


イタリアの人たちは、どんな時も食事の時間は家族や友人知人と一緒にテーブルを囲みます。一人だけで食べている人というのは、まず見ない。ジェラート屋さんだって、背広を着た男性が二人連れ立って食べに行く、そんな国民性なので、旅行者と言えども、女性一人がこうして席に座るのは、はたから見れば何とも違和感があるのだろうけれど、一人なのだから仕方がない。これまでだって、レストランのクリスマスディナーやランチに、正装して一人で臨んだことがあったし、そんなことを気にしていたら、一人でイタリア旅行なんて敢行できません。と、まあ、気合いも入るのですが、取りあえず、メニューを持って来て貰って、料理の選択に入りました。


沢山の料理が並ぶメニュー


というと、大げさで、実のところ、選ぶといっても、私が承知している食材の単語なんてたかが知れています。肉なら、豚や牛、鶏にイノシシ、そしてウサギくらいだし、、野菜だって、ありふれた材料の語彙しか判読できません。知っている食材を目で確かめた上で、注文を取りに来た女性に、お勧めをアドバイスしてもらって決めたのは「strozzapreti al filetto」(ストロッツァプレーティ アル フィレット)です。メニューに食材が記されているのは、とても親切で、私でも理解出来た上、この地域の風土料理だから、食べて行って、と言ってくれたスタッフの言葉も後を押し、迷いなくこのパスタ料理に決められたのでした。


「strozzapreti al filetto」


要は、鶏ヒレ肉のニョッキなのですが、新鮮なルッコラやトマトが沢山入っている上、パルメザンチーズもたっぷりと掛かっていて、それらと濃厚なソースが相まって実に美味でした。ストロッツァプレーティは、ねじりを入れたニョッキなのですが、熱々で手打ちのもちもち感が何とも言えず、口の中に入れるとつきたてのお餅のような感触でした。こんなニョッキは日本ではまずお目に掛かれない。元々は、食べず嫌いもあるけれど、小麦粉を水で練ったお団子のようで、決して好きなパスタではなかったのですが、それはどうも私が“本物”の味を知らなかったせいだろうと思わせられました。ここでも、一人では食べ切れないほどの量でしたが、気付けばほぼ完食。やっぱり美味しいモノは食が進むのですよね。

サンマリノの町の中にも、勿論美味しいレストランはあるのでしょうけれど、こうしてガイド本にも載っていないお店をたまたま見つけた時は、とても得した気分で、サンマリノ訪問の良き思い出にもなったのでした。
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サンマリノ共和国にて/ロープウエイに乗る方法

2015年09月13日 | サンマリノ共和国

サンマリノ共和国リベルタ広場の“自由の女神”


アメリカの自由の女神よりも古く、いや、歴史があって
レプリカではなく本物です

彼女こそ本家「自由の女神様」!


2014年12月26日のことでした。フィレンツェからボローニャに移動して、サンマリノ共和国へ行きました。駅からはバスに乗って山の頂きへ上がって行くのですが、到着した時は、町は霧にすっぽり覆われていてがっかりさせられました。オフシーズンのこの時期だけに,観光客もほとんど居ず、何とも居心地が悪いというか、寂しいというか・・・それでも折角来たのだからと、気を取り直して町の散策を開始すると、天は遠来の客を哀れんだのか、雲をかきちらし、霧も少しづつ被いを脱がし初めてくれました。


楽隊の歓待も受けて♪


三つの塔を回り終えた頃には、青空が広がって、すっかり嬉しくなりました。旅先で雨に祟られることほど情けないことはありません。そんなサンマリノへの訪問でしたが、この小さな国は、行くのは時間がかかるものの、観光はきわめてコンパクトにあっという間に済んでしまいます。シーズンなら、今よりももっと出店はあってイベントも盛り沢山なのでしょうけれど、いかんせん、クリスマスの翌日とあっては、仕方ない。


少しづつ観光客もやって来て…


それでも、晴れ間が出始めると、観光客も少しづつ増え始めて、さすが世界遺産の国だけあると独りごちたのでした。塔も全て回ったし、町の散策も終了したので、次はロープウエイに乗って、景色を楽しもうと思いました。あれほど霧に覆われていた空も回復して青空が広がっているし、山のお天気は、いつ何時変わるか分からない。そう考えて、早々にロープウェイの乗り場に直結している建物に入ったのですが、なんと乗車口が見当たらないのです。


この建物の中に入ってロープウエイに乗る・・・はず


私一人がこの建物内でウロウロ。何度も出たり入ったりしましたが状況は変わらず、半ば諦め掛けたとき、一組の家族が入って来て、ロープウエイはどこから乗るのかと聞いて来ました。この建物内だと思うけれど、分からないと、というと、彼らもあちこちの扉を開けようとしたり、中にあるトイレをのぞき込んだりしていましたが、やはり乗り場は不明です。おかしいこともあるものだと互いに顔を見合わせましたが、その時、閉じられていたドアが開いたのです。えーっここ?


やっと現れた乗降口


それまでは押しても引いてもびくともしなかった扉ですが、どうもロープウェイが下から上がって来た時に、自動で開くようになっていたらしく、安全のためだとやっと合点がいったのでした。シーズンではここに沢山の人が並んで順番を待つのだろうけれど、ロープウエイが動いている以上、誰か一人でもここに係の人が居るか、案内表示でも出して置いてくれればいいのに。


ドアの向こうにロープウエイの乗り場がありました


こうして、やっとロープウエイに乗ることが出来たのですが、着いた先で、思いがけず、観光本にも載っていない地元の人が通うオステリアを見つけることになったのでした。ロープウエイに乗るのを諦めなくて良かった-!押してもダメなら引いてみな、それでもダメなら待ってみよ~私の旅の鉄則に加えねばならない格言がこうして又一つ増えた瞬間でもありました(^^)。
コメント (2)
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サンマリノ共和国へ

2014年12月27日 | サンマリノ共和国

サンマリノの塔巡り・第一の塔

ロッカ・グアイタに上がりました


■2014年12月26日(金)

ボローニャを、8時ちょうどのインテルシティに乗ってリミノまで、そこから更にバスに揺られて山の町、いや、国であるサン・マリノ共和国へ行って来ました。世界で5番目に小さい国、そしてもっとも古い共和国であるサンマリノ。町はすっかり観光化されていて面白みに欠けるけれど、古い町並みは、さすが歴史を感じさせました。



到着した当初は、↑こんな風に霧が出ていて、周辺の景色は冴えませんでした。「霧のサンマリノかぁ」とがっかりもしましたが、いや、山では、朝、霧が出ると昼からはお天気になると聞いたこともあるし、気を取り直して、取りあえず、歩みを進めたのでした。

と・・・どこからか、陽気なバグパイプの音が突然鳴り響きました。もうびっくり。そして、霧の中からだんだんとこちらに近づいてきます。


サンマリノの音楽隊♪


勿論、これは偶然ですが、周辺には、私以外に誰も居ないし、彼らは、私への歓待に演奏してくれていると勝手に思い込むことにして、すっかり嬉しくなったのでした。

サンマリノに来れば、町の散策はともかくも、何としてもこの国のシンボルである、三つの要塞を回りたいと思っていました。晴れてくれたらいいのになぁ・・・折角来たのにぃブツブツ


アドリア海が見えそうに晴れ間が広がり始めました


一人でぶつぶつ文句を並べながら歩いていると、少しづつ空は明るくなって、やがて山を覆っていた蒸気が流れ始めました。心配事が無くなる例えに“霧が晴れる”とよく言いますが、まさくしその光景が目の前にありました。


バシリカを通って、この階段を上がって第一の塔へ


下調べでは、要塞の回り方がよく分からなかったのですが、現地に来れば、標示がちゃんと立っていて、方向音痴の私でも迷うことなく回れそうだ・・・ちょっと元気が出てきました。


霧がかき消されていく


晴れ間が広がることがこんなにも嬉しいなんて、小学校の遠足みたいだと苦笑いもしながら~


恐る恐るの自撮りもしましたよ

黄色の矢印にカメラを置いて、セルフタイマー10秒

はい、にっ(^_^)v


まだまだ道は続いて、次はここから第二の「チェスタの塔」を目指します。



カステッロ・チェスタ


第二のチェスタの塔に到着


この辺りの標高は、700メートル以上あって、さすがに空気は冷たい。風がないのが幸いですが、雨が降ったりしていたら、もう心が折れていたに違いありません。あちこちに水たまりがあることを思うと、今朝方あたりまで雨が降っていたのでしょう。ほんとにラッキーでした。

このお城をぐるりと要塞が囲んでいる様を見て思うのは、サンマリノが何故これほどまで長く国として成り立ってきたか。周辺の国との戦いに明け暮れていただろうに、難攻不落のまま今に至るその理由。現地でこの光景を見ればそれは一目瞭然で、城塞はもとより、この大パノラマこそが、サンマリノを守ってきた、いわば永遠の要塞。3つの塔と眼下に広がるこの圧倒的な景観は、サンマリノの人の宝物ですね。


次はいよいよ第三の塔「ロッカ・モンターレ」を目指す


ロッカ・グアイタを訪ねれば、道は第二の塔、そして第三の塔と続いていて、勝手に足が前を向く、疲れたからといって、引き返す選択肢はありませんでした。だってこんなにいいお天気になったのだもの。

さて、いよいよ最終のロッカ・モンターレへの小道を行きますが、さすがに息が上がってきました。この第三の塔は、ただの見晴台。13世紀に使われていたらしいのですが、現在の塔は、20世紀に入ってリノベーションされたものなのだとか。まっこの場所にあったのには違いないし、頑張って行ってみる。

そして・・・



到達記念ー☆

単なる見晴台ですが、それでもこの達成感!


サンマリノの旗には、三つの塔が描かれていますが、成る程そのワケがよく分かりました。町は小さくて、迷いようもなくあっという間に回れます。やはり思った通り、一番の見どころは要塞でした。ボローニャから往復約5時間、帰りのバスと列車の中ではくたびれて爆睡しましたが、やはり訪ねる価値はあったと一人合点をしています。

余談

ランチに選んだレストランが大正解でした。ロープウエイを使って下の町ボルゴ・マッジョーレまで降りますが、このレストランは地元の人が通うお店らしく、昼時とも重なって、店内はほぼ満員。それでも私一人が幸いして、予約なしでテーブルに座れました。そのお味はもう絶品。もちもちとしたニョッキの歯ごたえとヒレ肉やルッコラ、パルメザンチーズがトマトの酸味と合わさってほんとに美味しかった。食べきれないと思ったけれど、ほぼ完食。満足なランチなのでした。

このお話は又後日したいと思います(^^)


サンマリノのランチ

メニューには「Strozzapreti al filetto」とある

お店の人にお勧めを聞いたところ、このニョッキがいいと


ヒレ肉とルッコラ、パルメザンチーズ、トマトなどが入った熱々のパスタでした


コメント (6)
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